チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら

チケットぴあコラム

岡林信康

 “フォークの神様”という異名で知られるベテランが、“2010 INTRODUCTION”と銘打ったコンサート・ツアーを行なう。今年1月にリリースした最新アルバム『レクイエム~我が心の美空ひばり~』は、彼が美空ひばりの名曲をカバーした作品とあって、長いキャリアを持つ彼自身にとっても特別な意味合いを持つステージになりそうだ。

 岡林信康は一般的には“フォークの神様”というニックネームで知られている。これは彼のキャリアの中では最初期にあたる60年代後半のプロテスト・ソングを歌っていた時期のイメージから付けられたものだ。しかし彼自身はそうしたイメージに縛られることを嫌い、実はロック、演歌、ニューミュージック、エンヤトットなど、時代ごとに様々な作風にチャレンジしてきた。

 70年代前半の彼は、時代の寵児としてもてはやされることを避けるようにして農村で生活しており、そうした中で『月の夜汽車』という演歌風の楽曲を作詞作曲した。それを聴いた美空ひばりが気に入ってレコーディングしたことから、両者は意気投合して親交を深め、岡林のコンサート活動再開のきっかけとなった1975年の中野サンプラザ公演には、彼女が飛び入りで参加している。

 当時、美空は岡林に手紙で歌詞を書き送り、作曲を託したが、実現できないまま、1989年に彼女は他界してしまった。しかし昨年、岡林はその因縁のコンサートの音源を聴いたのをきかけに、当時受け取った歌詞に曲をつけ、さらに彼女の代表曲をカバーしたアルバム『レクイエム~我が心の美空ひばり~』を制作し、今年1月にリリースした。

 本作で彼は自分なりの解釈を行なうことで、美空の曲を通じて、フォーク、ロック、カントリー、演歌、エンヤトットなど、様々な音楽性を引き出している。つまり彼のミュージシャンとしての活動に大きな影響を与え、昭和歌謡を代表する天才的な歌手でもあった美空の存在を振り返ることで、彼自身の40年を越えるキャリアの中で培ってきた様々な要素を統合するような作業を行ったのである。しかも昨年は岡林の全作品がCD化されたタイミングでもあり、“2010 INTRODUCTION”というツアー・タイトルからも、特別な意気込みのステージとなりそうだ。