彼女を発掘したクライヴ・デイヴィスのプロデュースによる7年ぶりのオリジナル・アルバム『アイ・ルック・トゥ・ユー』のリリースで、完全復活を印象付けたホイットニーによる13年ぶりの来日公演が決定。改めてステージに立つ現在の彼女の歌声は、数々の障害を乗り越えた者ならではの逞しさと優しさで観客を包み込んでくれるはずだ。
ホイットニー・ヒューストンは、ディオンヌ・ワーウィックをはじめとする多くのミュージシャンを親戚に持ち、10代の頃からモデルやシンガーとしての経験を積み、1985年にデビュー・アルバム『ホイットニー・ヒューストン』のヒットで、いきなり頂点に立った。しかもシングルでは、7曲連続全米ナンバー1に輝くなど、その成功のスケールは、まさに歴史的という言葉がふさわしい破格のもの。90年代に入ってからも本人が主演した映画『ボディガード』サウンドトラックの大ヒットなど、その地位は揺るがないもののように映っていた。
しかし90年代後半以降の彼女は、結婚相手のボビー・ブラウンとの不仲やドラッグのトラブルなどもあって、健康も損ね、デビュー時には想像できないほどのスランプに陥ってしまう。だがホイットニーはそれにもめげず、リハビリや2006年の離婚を経て、7年ぶりとなる最新アルバム『アイ・ルック・トゥ・ユー』を今年の夏にリリースして、初登場一位を獲得。見事な復活を遂げている。
この復活に多大な貢献を果たしたのは、かつて彼女を見いだしてデビューに導いたクライヴ・デイヴィスのプロデュースだった。こうした経緯はアメリカでは誰もが知るところとなっているだけに、歌詞もキレイごとではない。特にタイトル曲の『アイ・ルック・トゥ・ユー』や角川春樹監督映画「笑う警官」の主題歌に起用された『夢をとりもどすまで』などは、困難に打ち勝った彼女ならではの説得力が光る内容となっている。
初期の彼女はまばゆいばかりの輝きで人を魅了していたのに対し、現在の彼女はそれだけでなく、自分自身の弱さに向かい合って克服する姿勢で、多くの人の共感を呼ぶことができるようになった。実に13年ぶりとなる来日公演では、そうした成長をまざまざと見せてくれるはずだ。(2009/12/18)