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チケットぴあインタビュー

諏訪内晶子 国際音楽祭NIPPON 2013

諏訪内晶子 国際音楽祭NIPPON 2013
パリを拠点に世界各地で活躍を続けるヴァイオリニスト諏訪内晶子。チャイコフスキー国際コンクール日本人初優勝から早いもので20年余りが経つが、この度、10年以上かけて温めてきたという「国際音楽祭NIPPON」が横浜と仙台で行われることになった。演奏家としてだけでなく、今回は芸術監督も務めるという注目企画のコンセプトや聴きどころを訊いた。

――自ら芸術監督となって音楽祭を始めようと思われたきっかけを教えてください。


演奏活動を始めて10年くらい経った20代後半の頃から、「このままツアーで客演するだけで良いのだろうか」と考えてきました。演奏活動の中で、ソリストとして出来ることは何か、沢山の機会を与えていただいたことに対して、社会に恩返しをしてゆくことが出来ないか、それを形にしたのが今回の音楽祭です。柱には「世界で活躍する現代作曲家の作品紹介と作品委嘱」「マスタークラスやシンポジウムなど、現役の演奏家による教育プログラム」「音楽と芸術(美術)を通しての国際的な文化交流」「東日本大震災の被災者の方々への支援」を掲げています。


――4つの柱を拝見すると、広い意味でチャリティ的な要素が強いように思うのですが。


アメリカのジュリアード音楽院とコロンビア大学で学び、習慣や価値観が異なる友人と過ごし、切磋琢磨した経験が今につながっているのかもしれません。アメリカへの留学直後に湾岸戦争が起こり、ニューヨークの寮でイスラエル出身の友人達と一緒にニュースを見たことは、大変衝撃的なことでした。


――開催地に横浜を選ばれた理由は。


横浜には中学生時代から10年近く暮らしたことがあります。メイン会場の横浜みなとみらいホールの音響も大変すばらしいと思います。開国以来、150年以上に渡って外国文化との交流における最前線であり続けてきましたし、熱心な音楽ファンが多くいらっしゃいます。様々な要素を鑑みて、自然に横浜が音楽祭最初の開催地に決まりました。


――この音楽祭の最大の魅力は何と言っても豪華な出演者の皆さんだと思います。ピアノのレイフ・オヴェ・アンスネスさんと江口玲さん、チェロのピーター・ウィスペルウェイさん、そしてエサ・ペッカ・サロネンさんが指揮するフィルハーモニア管弦楽団。彼らをどのような基準で選ばれたのですか。


音楽祭の柱である「現役演奏家」という観点から、いわゆる巨匠ではなく、若手から中堅の方々にお声をかけさせていただきました。皆さん、快くお引き受け下さいました。プログラムに関しては、通常の演奏会の延長線は避けるように心がけ、音楽祭だからこそ聴けるプログラムを企画しました。


――音楽祭の開幕を飾るのは今回が初共演となるアンスネスさんとのデュオ。バルトークのソナタ第2番、ウェーベルンの4つの小品、ベートーヴェンのソナタ第9番「クロイツェル」を演奏されますね。


アンスネスさんは、ソロ活動だけではなく、アンサンブル活動も積極的に行っており、音楽に対して非常に真摯です。その幅の広い芸術性をかねてから尊敬しておりました。プログラムは、アンスネスさんと相談して決めたものです。日本では現代音楽をどうしても敬遠しがちですが、その魅力を一人でも多くの方にお伝えすることは私のライフワークだと思っています。今回は終演後にアンスネスさんと一緒にお話をする予定です。私たちが演奏に込めた思いなどを皆さんと共有できたら嬉しく思います。


――指揮者のサロネンさんとも初共演だそうですが、フィルハーモニア管弦楽団とは10年来のお付き合いだとか。


フィルハーモニア管とは、武満徹さんの「遠い呼び声の彼方へ!」で初共演して以来、ロリン・マゼールさんの指揮、BBCプロムス、録音など、何度も共演させていただいています。今回は、サロネンさんと同じフィンランド出身のシベリウス、そしてサロネンさんの色彩豊かな協奏曲を、一夜で演奏するというすばらしい機会に恵まれました。どちらも技巧的に大変難しく、しかも一晩で大きな協奏曲を2曲弾くのは初めてです。公演当日の昼間には、「エサ=ペッカ・サロネン自作を語る」と題したディスプレイ&レクチャーとシンポジウムも行います。作品をより深く多角的にお楽しみいただければ幸いです。


――そして音楽祭のファイナルを飾るは、ウィスペルウェイさんと江口玲さんとの共演によるトリオ。諏訪内さんにとって国内初のアンサンブル・コンサートが実現する訳ですが。


私は、国内でアンサンブル・コンサートをすることは稀ですが、国外ではこれまでにも機会が多くありました。プログラムは、ブラームスとメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。どちらも瑞々しい名曲で、作曲家それぞれの魅力を体現していると思います。


――このお二人とは、横浜美術館で行われる「光をテーマにした音楽と美術のコラボレーション」でも共演されますね。


江口さんとの共演プログラムはまだ決まっていませんが、これまでに何度も共演させていただいているので、安心して音楽に集中が出来ます。ウィスペルウェイさんとは、ハルヴォルセンのヘンデルの主題によるパッサカリアや、ラヴェルのヴァイオリンとチェロのためのソナタなどを演奏予定です。ラヴェルはチェロ・パートがとても難しいので、名手であるウィスペルウェイさんの演奏にぜひご注目ください。この美術館には展示室が3つあり、演奏曲目により演奏する場所を変える予定です。音と光のコラボレーションに関しては、聴き手の皆さんが思い思いの世界を想像していただければと思います。また、今回開催するマスタークラスの優秀受講生にも演奏していただく予定です。


――マスタークラスの話が出ましたが、今回は諏訪内さん、ウィスペルウェイさん、江口さんがそれぞれクラスを開講されますね。諏訪内さんにとって初のマスタークラスということでも話題になっています。


私は海外の国際コンクールに参加をする頃、江藤俊哉先生に師事していましたが、直前に海外から招聘された教授のマスタークラスを受講する機会が度々あり、とても有意義な時間を過ごすことができました。また、アメリカ留学後も、普段師事している教授陣とは別に、マスタークラスを受講する機会があり、普段のレッスンとはまた別の、貴重なアドヴァイスをいただいていました。現役奏者によるマスタークラスは、これからプロを目指そうとしている方々にとって良い経験になればと思い、企画しました。

今年(2012年)の5月にエリーザベト王妃国際音楽コンクールで初めて審査員をさせていただきました。才能にあふれた若手に数多く接する中で、指導者の重要性も感じました。また、通常クラス以外に、小学生のための公開マスタークラスも行います。


――子供向けという意味では、「0歳児から聴くコンサート」もありますね。


私が幼少の頃に、「未就学児お断りの演奏会」があったというのは記憶にありません。私は幼稚園に通っていた頃、ヴァイオリンのイツァーク・パールマンとピンカス・ズッカーマンの演奏会を続けて聴きに行きました。その時の感動は、今でもよく覚えています。「0歳児から聴くコンサート」のプログラムはまだ思案中ですが、年齢制限のない演奏会がそういう機会になれば嬉しいですね。


――横浜以外に、仙台の電力ホールにおいて「諏訪内晶子&Friends 仙台チャリティ・コンサート」と題した東日本大震災復興支援のための演奏会も企画されていますね。


今年4月、仙台に公演で行きました。この音楽祭では、被災地の子供たちを継続的に支援する「桃・柿育英会」を主宰する建築家の安藤忠雄先生とも連携し、継続的に支援をしたいと考えています。


――最後に、今後の音楽祭の発展に向けた抱負をお願いします。


初回を迎えるにあたり、現役演奏家だからこそできることを、地道に長く重ねていきたいと思っています。次回以降は、横浜、仙台以外の場所での開催も検討中です。また、この音楽祭のための新作を現代作曲家に委嘱して、新しい音楽をご紹介していければと思っています。



取材・文:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)
2012.10.23.ユニバーサルミュージック,赤坂


国際音楽祭NIPPON 2013 横浜&仙台<芸術監督:諏訪内晶子>
■諏訪内晶子&レイフ・オヴェ・アンスネス ヴァイオリン・リサイタル
2月2日(土) 16:00開演 横浜みなとみらいホール 大ホール
*終演後18:00頃より、諏訪内&アンスネスによるアフター・コンサート・トーク開催

■エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団 with 諏訪内晶子
2月9日(土) 18:00開演 横浜みなとみらいホール 大ホール
*関連イベント
同13:00開演 『作曲者サロネンが語るヴァイオリン協奏曲』
同14:00開演 『現代曲の魅力』シンポジウム
同15:15開演 『公開リハーサル』

■『公開マスター・クラス』
2月11日(月・祝)~13日(水) 横浜みなとみらいホール 小ホール、リハーサル室
講師:諏訪内晶子、ピーター・ウィスペルウェイ、江口玲

■小学生のためたの公開ヴァイオリン・マスター・クラス
2月11日(月・祝) 横浜みなとみらいホール 小ホール
講師:諏訪内晶子

■0歳児から聴くコンサート
2月12日(火) 11:00開演 横浜みなとみらいホール 大ホール(ステージ特設バージョン)

■小学生のための公開ヴァイオリン・マスタークラス
2月14日(木) 15:00開演 仙台・電力ホール
講師:諏訪内晶子

■『諏訪内晶子&Friends』仙台チャリティ・コンサート
2月14日(木) 19:00 仙台・電力ホール
出演:諏訪内晶子、ピーター・ウィスペルウェイ、江口玲

■美術館コンサート
2月15日(金) 19:00開演 横浜美術館 コレクション展示室
出演:諏訪内晶子&ピーター・ウィスペルウェイ ほか

■美術館コンサート (2回公演)
2月16日(土) 11:00開演 / 12:30開演 横浜美術館 グランドギャラリー
出演:諏訪内晶子、江口玲

■諏訪内晶子アンサンブル・コンサート
2月16日(土) 16:00開演 横浜みなとみらいホール 大ホール
出演:諏訪内晶子、ピーター・ウィスペルウェイ、江口玲

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諏訪内晶子 国際音楽祭NIPPON 2013

諏訪内晶子 国際音楽祭NIPPON 2013

(c)Kiyotaka Saito

諏訪内晶子 国際音楽祭NIPPON 2013

(c)Leslie Kee

プロフィール

■諏訪内晶子 Akiko Suwanai
東京都出身。1990年に史上最年少でチャイコフスキー国際コンクール優勝。
これまでに、ニューヨークフィルハーモニー、ボストン交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ロンドン交響楽団、ベルリンフィルハーモニー、ゲヴァントハウス管弦楽団、パリ管弦楽団、マリインスキー劇場管など数々のオーケストラと共演を重ね、指揮者では小沢征爾、ゲルギエフ、ブーレーズ、マゼール、ヤルヴィ他と共演している、ベルリン芸術週間、ルツェルン、BBCプロムス、マールボロ、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、ロッケンハウスなどの音楽祭にも出演。レコーディングではデッカ・ミュージック・グループとインターナショナル・アーティストとして専属契約を結んでいる。
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学ディプロマコース修了。
文化庁芸術家在外派遣研修生としてジュリアード音楽院本科及びコロンビア大学に学んだ後、同音楽院修士課程修了。国立ベルリン芸術大学でも学んだ。
使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1714年製作のストラディバリウス「ドルフィン」。