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チケットぴあインタビュー

庄司紗矢香 東芝グランドコンサート2013

庄司紗矢香 東芝グランドコンサート2013
オランダの名門ロッテルダム・フィルが、音楽監督のヤニック・ネゼ=セガンと共に来日する2013年の東芝グランドコンサート。カナダ出身の俊才ピアニスト、ヤン・リシエツキと共にソリストを務めるのが、ヴァイオリニストの庄司紗矢香だ。デビューから早いもので13年。今や、人気と実力のいずれにおいても日本を代表する演奏家となった彼女が、公演に向けた抱負や近況を語ってくれた。

――今回が初共演となるロッテルダム・フィルに対して、どのような印象をお持ちですか。


弾き慣れた楽団との共演の場合は、やはり安心感がありますし、再会する度により緻密で洗練された高みを目指せるのが嬉しいですね。でも、今回のような新しい楽団との共演には、まったく別の喜びや面白さがあります。お互いに何が起こるかわからない、いわば即興的な掛け合いは、新しい音楽が生まれる可能性を大いに秘めていますから。初共演の楽団とのリハーサルでは、指揮者だけでなくメンバーの皆さんとも積極的にコミュニケーションをとるようにしています。そうすることで、楽団によって大きく異なる“空気”を感じられるのです。


――指揮者のヤニック・ネゼ=セガンさんとも、今回が初共演になるそうですね。


最近は同世代の仲間たちとの共演も増えてきました。年齢は音楽作りと関係ありませんが、同じ年齢のセガンさんの音楽作りがどのようなものになるか期待しています。最近ヨーロッパで大変すばらしい評判を聞いているので、共演がとても楽しみです。


――今回演奏されるのは、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。日本での演奏は、2005年のジョナサン・ノット指揮・バンベルク交響楽団との公演以来、実に7年ぶりということでも話題になっています。


プロコフィエフは勉強を始める前は少し距離を感じた作曲家でした。しかしその後、演奏していくうちに少しずつ彼の作品の中に含まれるユーモアや皮肉が見えてきて、今では私にとってとても近い存在です。例えば、この作品の第1楽章の第2主題や、第2楽章の旋律主題といった美しい歌の数々。昔はこれらが「シンデレラ」の魔法の世界と重なっていたのですが、その後、彼の書いた日記や物語などを読んだことで、次第にその裏側にある“隠された毒”を感じるようになりました。ですから、今回は7年前とは少し違った演奏になるかもしれません。


――この作品を含むプロコフィエフの2つのヴァイオリン協奏曲は、今年の9月にレコーディング(ユニバーサル/ドイツ・グラモフォン)もされたそうですね。


ユーリ・テミルカーノフさんが指揮されるサンクトペテルブルク・フィルが伴奏をしてくださいました。彼らとは何度もプロコフィエフの協奏曲を演奏してきたので、そうした積み重ねの成果を録音として残せて幸運でした。テミルカーノフさんは、私が最も敬愛する指揮者の一人ですが、特にプロコフィエフの演奏解釈に関して学んだことは多いですね。彼の片目をつぶるような少し意地悪なユーモアの見せ方は、プロコフィエフの作風とピッタリ重なるように思います。


――ロシア繋がりだと、庄司さんはドストエフスキーをはじめとしたロシア文学がお好きと伺っていますが。


ドストエフスキーの本はほとんど全て読みました。最近になって発見したのはプラトーノフ。「ジャン」に代表される彼の作品はロシア文学の中でも異色です。でもプロコフィエフの音楽はどちらかというと、ゴーゴリやブルガコフの世界に近いと思います。


――ドイツのケルンで学んだ後、現在の拠点であるフランスのパリに移られたのも、そう言えばちょうど7年前になりますね。ツアーのない日常はどのようにお過ごしですか。


多種多様な文化を持った都市なので、いつも楽しく刺激を受けています。時間があると、美術館やオペラハウスに通っていますね。特に好きなのが、ポンピドゥー国立現代美術館。ヨーロッパ最大の現代美術館ということもあり、創造的で面白い企画が多いのです。パリ・オペラ座も、自宅にいる時に行われている公演は必ず鑑賞するようにしています。そういったヴァイオリン以外の栄養を豊富にバランスよく摂ることで、演奏の視野も大きく広がっているように思います。ヴァイオリン以外の世界からの刺激が音楽作品への理解を助けてくれることが多いです。


――美術と言えば、庄司さんは3年前に絵画の個展を開かれたほどの腕前ですね。


いいえ、そんな。絵はずっと趣味として続けていて、今年の夏にも少し描きました。写実と抽象が半々くらいですが、最近ようやく色使いを意識できるようになってきた段階です。


――最近の演奏活動のバランスを教えてください。


今年はソロ(ピアノとの二重奏を含む)、室内楽、協奏曲のバランスがほぼ均等。来年(2013年)は協奏曲が多くなりそうです。


――最後に日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。


今回のツアーでは、これまで何度も弾いてきた大好きな作品を皆さんにお届けできるということで、私もとても楽しみにしています。瑞々しい感性にあふれた指揮者とオーケストラとの共演を通して、ソロと伴奏の双方で協奏曲の醍醐味をたっぷりお楽しみいただけたら幸いです。どうぞ聴きにいらしてください!



取材・文:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)
2012.10.31. ホテルオークラ東京,虎ノ門


◆東芝グランドコンサート2012  (★)庄司紗矢香出演公演
1月31日(木) 東京/サントリーホール 大ホール (★)
2月1日(金) 金沢/石川県立音楽堂 コンサートホール (★)
2月2日(土) 兵庫/兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール (★)
2月3日(日) 福岡/アクロス福岡 福岡シンフォニーホール (★)
2月6日(水) 広島/広島国際会議場 フェニックスホール
2月8日(金) 名古屋/愛知県芸術劇場 コンサートホール
2月9日(土) 仙台/東京エレクトロンホール宮城
2月10日(日) 東京/サントリーホール 大ホール

[Aプログラム] <1/31, 2/1, 2/2, 2/3公演>
シューマン:歌劇 『ゲノフェーファ』序曲 Op.81
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 Op.63 (ヴァイオリン : 庄司紗矢香)
ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98

[Bプログラム] <2/6, 2/8, 2/9, 2/10公演>
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58 (ピアノ : ヤン・リシエツキ)
ラフマニノフ : 交響曲 第2番 ホ短調 Op.27

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庄司紗矢香 東芝グランドコンサート2013

(c)Kishin Shinoyama

プロフィール

■庄司紗矢香 Shoji Sayaka
「絶大なスタミナと何事にもひるまない精神により、庄司は希有な音楽家として出現した。世界は彼女のものだ。」
グラモフォン誌 2011年7月

1999年、パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少、日本人として初めて優勝して以来、庄司紗矢香は、ウラディーミル・アシュケナージ、サー・コリン・デイヴィス、シャルル・デュトワ、マリス・ヤンソンス、ロリン・マゼール、ズービン・メータ、セミヨン・ビシュコフ、ユーリ・テルミカーノフ、パーヴォ・ヤルヴィ、アントニオ・パッパーノといった世界を代表する指揮者たちと共演を重ねる。

2011/2012年シーズンは、ボン・ベートーヴェン音楽祭及びドレスデン・聖母教会での、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団との共演や大野和士率いる東京都交響楽団との共演をおこなった。また突然のソリストキャンセルにより、代役としてヤン・パスカル・トルトゥリエ率いる、デンマーク放送交響楽団のショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲第2番の演奏をし、高い評価を受けた。その他の最近の活動としては、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団、シンシナティ交響楽団、シドニー交響楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団とのコンサート共演があげられる。

2012/2013年シーズンのハイライトは、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、セビリア王立交響楽団、BBCウェールズ交響楽団、ロシア国立交響楽団(ミハイル・ユーロフスキ指揮)との共演がある。また日本ツアーに引き続き、ウィーン・コンツェルトハウスでウィーン交響楽団(大野和士指揮)と再共演する。その他の日本ツアーとしては、ジャンルカ・カシオーリとのデュオ・リサイタルツアーがある。2013年春には、プラハの春国際音楽祭での演奏を含む東京都交響楽団との東欧ツアーを予定している。

ソリストとして多忙の活躍を見せている庄司紗矢香は、リサイタルや室内楽を通じての活動にも力を入れており、これまでにジョシュア・ベル、ヴァディム・レーピン、ジュリアン・クエンティン、イタマール・ゴラン、イェフィム・ブロンフマン、スティーヴン・イッサーリスと共演。音楽祭では、ヴェルビエ(2011年にネルソン・ゲルナーとのリサイタル)、ラヴェンナ、エヴィアン、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、アヌシー、トゥーレーヌ、キジアーナ音楽祭そしてナント、ワルシャワ、東京、金沢で開催されたラ・フォル・ジュルネなどに出演。

庄司紗矢香は、ドイツ・グラモフォンと契約を結んでおり、ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルとのデビューCDは高い評価を得ている。次いでパリ・ルーブル美術館でのデビュー・リサイタルのライヴ録音とプロコフィエフとショスタコーヴィッチ(イタマール・ゴラン伴奏)の作品集をリリース。最初のベートーヴェン作品集は、ジャンルカ・カシオーリとのヴァイオリン・ソナタ集で2010年に、続く作品集は2012年秋にリリースされた。今後のレコーディング予定としては、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テルミカノフ指揮)との共演でプロコフィエフの協奏曲などがある。2011年にはソロアルバム、バッハ&レーガーの無伴奏作品集を、2012年にはウラル・フィルハーモニー管弦楽団(ドミトリー・リス指揮)との共演によるショスタコーヴィッチヴァイオリン協奏曲をミラーレ・レーベルからリリースしている。 これまでに、ザハール・ブロン、サシュコ・ガヴリーロフ、シュロモ・ミンツ、ウート・ウーギ、リッカルド・ブレンゴーラ等に師事。2004年ケルン音楽大学卒業以来、ヨーロッパを拠点として活躍中。1999年度都民文化栄誉章、2000年出光音楽賞、2009年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

使用楽器は、上野製薬株式会社より貸与された1729年製ストラディヴァリウス“レカミエ(Recamier)”である。