チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら

チケットぴあインタビュー

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート
ジェイミー・バーンスタイン&クレイグ・アークハート インタビュー ミュージカル映画の不朽の名作『ウエスト・サイド物語』。この映画の上映50周年を記念して未曾有のプロジェクトが始動している。最新鋭の技術を駆使し半世紀前に公開された映像からオーケストラによる演奏音源だけを抽出しカット。映像に残された台詞、歌、効果音などのオリジナル音源に合わせ、ステージに並んだオーケストラがレナード・バーンスタインによるフル・スコアをライブ演奏するもの。既に、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴでは各都市の名門オーケストラにより上演され新旧の映画ファンとバーンスタイン・ファンを感動の渦に巻き込んでいる。
そして2012年9月、このプロジェクトはいよいよ日本に上陸する。オーケストラは東京フィルハーモニー管弦楽団、そして指揮者はバーンスタイン最後の愛弟子であり、この作品を深く理解する佐渡裕だ。「マンボ!」「アメリカ」「素敵な気分」など、数々の名曲を大迫力のスクリーンとともに聴くのは、特別な体験になることだろう。バーンスタインの愛娘ジェイミーと、バーンスタイン・オフィスの顧問を務めるクレイグ・アークハートが、プロジェクトやバーンスタインへの思いについて語ってくれた。

――『ウエスト・サイド物語』のシネマティック・フルオーケストラ・コンサートは、すでにLA、NYそしてシカゴで上演されました。アメリカでの3公演はどのようなものでしたか?


ジェイミー・バーンスタイン(以下J):とても感動的なものだったわ。ミュージカルの場合、狭いオーケストラ・ピットで使用出来る楽器数が非常に限られているのに対し、このプロジェクトでは映画に使用された楽曲を忠実に大編成によるオーケストラでの演奏が可能になったわ。しかし、スクリーンに映し出される映像に合わせ、オーケストラを指揮する事は非常に高度の技術を必要とし、指揮を務めたデイヴィッド・ニューマンと楽団、そして映像技術チームは何度もリハーサルを重ねていたわ。コンサートでは、映像と音響が完璧にシンクロしていて、それはもう素晴らしいものだった。


――CDになっているものには、バーンスタインの指揮でオペラ歌手が歌っているものもありますね。映画のスコアは全く違うものなのですか?


クレイグ・アークハート(以下C):CDで使用されたものはブロードウェイ用のスコアに手を加えられたもの。映画用のスコアはまた別のものなんだ。後者に関しては50年前に使用された指揮者用スコアや各楽器用の楽譜が残っておらず、アメリカ中の図書館や資料館などに運よく残っていた資料を全て収集しアカデミックな調査をする必要があったんだ。宝探しみたいなものだよね。その作業に我々は一年を要したよ。


――スコアに関しても大変な苦労があったのですね。バーンスタインが『ウエスト・サイド物語』を作曲していたとき、ジェイミーさんはもう生まれていたのですか?


J:ええ。ブロードウェイで上演されたとき私は5歳でした。残念ながら小さい子供が見るには内容があまりにも刺激が強すぎると言う事で見せてもらえなかったわ。だから、代わりに何度も何度もレコードを聴いてた。ねえ、「レコード」って覚えてる?(笑)。


――もちろんですよ(笑)。


J:映画が公開されたときは10歳になっていたので、物語をすべて理解することが出来ました。当時は『私はこの映画を10回以上見てやろう!』と思っていたけど、今となっては10回どころか、100回近くも見てしまったわ(笑)。映画に関しては、父よりも私のほうがファンだったと思う。というのも、当時、父は世界中を指揮者として飛び回っていた為、映画の製作に十分に関わり合うことが物理的・時間的に難しくジョニー・グリーン氏に作業を任せていました。


――なるほど。『ウエスト・サイド物語』は公開されて50年が経つわけですが、今この時代にこうしたプロジェクトで上映されることには、とても大きな意義があると思います。


J:この映画では時空を超えたテーマを聴衆に訴えかけています。映画の根底にある憎しみや争いといったものは、いまだに地球上に存在しているわけだし。

C:原作はシェイクスピア(『ロミオとジュリエット』)だけど、この映画のテーマは永遠のものだ。20世紀クラシック界のアイコンであるバーンスタインによるスコアはファンタスティック! 映画ファンとオーケストラ・ファンの両方を熱狂させる要素を持ってるんだ。


――そうですね。バーンスタインは、クラシック界の超エリートでありながら、こうした大衆にもアピールする名作を書きました。このアティテュードは本当に素晴らしいです。


J:彼は、人々を信じ、心から愛していました。この世界が、彼らによってもっといい場所になるのを信じていた。第二次世界大戦を経験しているし、その暗い時代を生き延びて、負った傷をどう癒すかということに心血を注いでいたわ。特に日本の人々にはとても深い想いを抱いていたし。


――広島原爆記念館を訪れて、涙を流されていたというエピソードも。去年日本では大災害がありましたが、バーンスタイン氏が生きていたら何とコメントしたでしょう。


J:間違いなく、私の父はすぐに日本に駆けつけ、チャリティ・コンサートを何度も何度も行ったはずよ。被災者の救済のために、すぐに行動を起こしたはず。


――そういう方でしたね、本当に。日本でのコンサートでは、バーンスタインのお弟子さんであった佐渡裕さんが指揮をされますが、彼については全面的に信頼されていますか? 2年前には『キャンディード』を振りましたが。


J:彼は本当にファンタスティック! 何も言うことがないほど、パーフェクトです。


――よかった! では、バーンスタイン氏の一番の思い出を教えてください。


J:たくさんあるけれど、父の一番の宝物は卓越した記憶力だった。そしてすごいジョークを連発していたわ。膨大なジョーク・コレクションがあったはず(笑)。

C:とても楽しい人だったね。ベートーヴェンの交響曲について語るときも、必ずユーモアが生まれていたし。みんなを幸せにすることに生き甲斐を感じていた人だった。彼の周りはいつでも笑いにあふれていたね。


――ありがとうございました。



取材・文:小田島久恵


◆佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート
【東京公演】
9月21日(金) 13:00開演/19:00開演
9月22日(土・祝) 昼12:00開演/18:00開演
東京国際フォーラム ホールA
【大阪公演】
9月24日(月) 13:00開演/19:00開演
オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)
佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

ジェイミー・バーンスタイン

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

クレイグ・アークハート

佐渡裕指揮「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

プロフィール

ジェイミー・バーンスタイン (Jamie Bernstein)
ナレーター,作家、アナウンサー。父親は、世界的な指揮者であり、作曲家のレナード・バーンスタイン。母親は、女優、ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ。
ジェイミーは、音楽教育に情熱を注いだバーンスタインの意思を受け継ぐ。バーンスタインが取り組んだ「ヤング・ピープルズ・コンサート」 公演を収録したテレビ番組をモデルに、ファミリー向けのコンサート「ザ・バーンスタイン・ビート」を開催、モーツァルト、アーロン・コープランド、その他、多くの音楽家についての本を執筆、またコンサートの司会を行う。
コンサートの司会者としては、上海、カラカス、バンクーバーなど世界中を周り、台本も自分で手掛ける。また、アメリカだけでなく、イギリスのBBCラジオ3など、多くのラジオ番組のプロデュース、司会を務める。
ニューヨーク・フィルのラジオ生放送の司会者、タングルウッドから毎年恒例の生放送、ニューヨークのクラシック音楽局(96.3WQXR FM)の司会者も務めた。 また、ベネズエラの貧困層の子供たちに音楽教育をおこなう教育制度「エル・システマ」(世界で今一番注目されている指揮者ゲスターヴォ・デュダメルもこの制度出身)を支援。「エル・システマUSA」設立にも関わる。


クレイグ・アークハート
(Craig Urquhart)

バーンスタイン・オフィスの元ヴァイス・プレジデント。現在は、バーンスタイン・オフィスの顧問、バーンスタイン作品の広報を務める。
映画「ウエスト・サイド物語」製作50周年を記念した、映画全編をフルオーケストラで見るというコンセプトのコンサートの立ち上げに尽力する。50年前に製作された、映画のオーケストラ部分のスコアを一から創り上げるには、膨大な資料収集と、リサーチが必要だった。本公演の成り立ちや、製作の行程は、クレイグ・アークハートが担っている。
自身は、ニューヨーク在住の作曲家・ピアニストでもある。ミシガン州立大学で修士号(作曲)を取得後、世界的な指揮者であり作曲家の故レナード・バーンスタインの芸術活動を氏が他界する1990年までの15年に渡りサポート。クラシック音楽で培った確かなテクニックと気品ある作風に、 現代的な感性が加味された独自の芸術性が、クレイグの音世界を豊かなものに創り上げている。ピアノ・ソロのアルバムが5枚リリースされておりその魅力が口コミで広がっているなか、歌曲集はトーマス・ハンプソンを始めとする多くの歌手に絶賛され歌われ続けている。映画『アマデウス』では主役トム・ホルスのピアノ指導を担当するほか、音楽家としてアース・デイやエイズ撲滅運動など環境活動・社会貢献活動へ幅広く参加している。