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チケットぴあインタビュー

福田正博 vol.2

福田正博 vol.2

今シーズン、6シーズンぶりの優勝へむけて好調をキープする浦和レッズ。好調の要因を現役時代、浦和レッズのフォワードとして活躍、日本人で初めてJリーグの得点王に輝いた福田正博氏に語ってもらった。
――今季ここまで、浦和レッズは順調な成長を見せていると思います。優勝争いにも踏みとどまっています。そこで終盤戦に向けて、キーとなる選手を教えていただけますか?

「間違いなく柏木だと思います。ペトロヴィッチ監督の目指すサッカーの形で、彼の役割は非常に大きいです。攻撃面でのアクセントになる存在ですし、彼のところにボールが入ることが、浦和の攻撃の起点となっています。逆に彼のところでボールがしっかりと収まらないと、なかなか攻撃に変化を出すことができません」

――柏木選手のプレー面での特徴を教えてください

「ボールの受け方、縦パスが入ったときの判断など、柏木のプレーがチームの戦いにリズムをつけていきます。ペトロヴィッチ監督と一緒にプレーした広島時代の経験も含めると、この戦い方をかなり長くやっていますし、熟知しています。その中で、今何が必要なのか、何を求められているのか、ということを理解してプレーしています。終盤戦に入り、今後はもう簡単な試合など一つもありません。またペトロヴィッチ監督のやり方もかなり研究され、相手も警戒して試合に入ってきます。苦しい試合が続いていくと思いますが、その中で柏木がいるといないとでは、攻撃のリズムを形作る上で大きく変わってくると思います」

――去年と比較すると大きくチームは変化し、攻撃面では特徴的な形が見られるようになってきています

「ペトロヴィッチ監督のもとでチームは順調に成長を遂げていますし、安定して良い形を作り出す場面も増えてきました。今後の試合でも、多くのチャンスを生み出すことはできる筈です。そのチャンスをどれだけ得点に結びつけられるか、ということがより重要性を増していきます。柏木は、チャンスの質と量を高めてくれる、今のチームにとって非常に重要な選手です」

――チャンスを多く作るために、求められるのはどんなプレーでしょうか?

「如何に中央でボールを収めていくのかが、ペトロヴィッチ監督のサッカーの鍵となります。ピッチの中央、特にバイタルエリアと呼ばれるペナルティエリア近辺は、当然相手もしっかり守る場所ですし、スペースはほとんどありません。その中で、柏木が持つアイデアは欠かすことができませんし、今の浦和には彼以外、中央の狭いスペースで上手くボールを受けられる選手が見当たらないのも現実的な問題としてあります。中央での攻撃が機能しないと、相手のディフェンスを寄せることができませんから、サイド攻撃も上手くいかなくなります。攻撃は、中・外・中・外とバランス良く展開することが大事ですし、その“中”を見せていくためには、柏木のプレーが欠かせないものです」

――次に、ディフェンス面で鍵になる選手を教えていただけますか?

「ディフェンス面でキーになるのは、キーパーの加藤です。加藤はキーパーとしてはそれほど上背のあるほうではありませんが、それを補って余りある、瞬発的な身体の強さがあります。運動能力に関しては、フィールドのプレーヤーを含めても浦和の中で1、2を争う存在です。そのくらいフィジカルに強みのある選手ですし、常に良いポジショニングを取ることで、身長の低さをカバーしています」

――加藤選手は足もとの技術にも定評があります

「ペトロヴィッチ監督のサッカーでは、ゴールキーパーにも足もとの技術や高いフィード能力が求められます。今季の浦和は、攻撃の第一歩が彼からのフィードで始まることも多いですし、彼の素早いスローイングから生まれるカウンターでいくつかチャンスを作り出しています。第27節の柏戦では、試合終了間際に彼の素晴らしいスローイングから、ポポの劇的な勝ち越しゴールが生まれました。加藤は守っているだけでなく、攻撃面での貢献度も非常に高い選手です。現代のキーパーに求められる力を持っていると言えるでしょう」

――今季の浦和は失点も少なく、安定した試合運びを続けていると思います。ディフェンス面で、終盤戦に向けて気をつけなければならない点はありますか?

「今季の浦和は、攻守の切り替えが早く、ディフェンス時には多くの選手が帰陣して人数を掛けた守り方をしています。ただ、厚みのあるディンフェンスを構築できているという側面がある一方で、ペナルティエリア内で人が余りすぎている、という状況に陥ることもあります」

――エリア内に人が多いことで考えられる弊害はありますか?

「エリア内に人が多いと、自分のマークに対する甘さが生まれてしまったり、人が多い分コミュニケーションの面で問題が発生することがあります。また、キーパーとしても目の前に多くの選手がいると、プレーするのが難しい面もあります。相手がシュートを打とうとしたとき、多くのディフェンダーがいることでシュートコースを切ることができる反面、キーパーとしてはブラインドになってシュートを打たれる瞬間が見えない、という瞬間が生まれます。今季は、加藤がまったく反応できずに失点しているシーンがいくつかあると思いますが、それはディフェンスに多くの人を掛けていることが、一つの要因になっています」

――そこを改善していく必要はありますね

「もちろん、パーフェクトなやり方など存在しませんし、やり方にはそれぞれ長所と短所があります。厚く守ることで今季の浦和は少ない失点でシーズンを戦えています。ただ、もっとコミュニケーションを高めていって、相手をマークするときにチャレンジ&カバーを徹底していくことが、失点を減らすことに繋がっていくと思います」

――浦和は終盤戦まで優勝を争い、来季のACL参加も狙える位置に付けています。先の話になりますが、来季の展望についても少しお聞かせください。ペトロヴィッチ監督が来季指揮を執ることも決定しましたので、ポイントを補強に絞ってうかがいたいと思います。今季の戦いを見て、福田さんが必要と考える補強ポイントはどこになりますか?

「アウトサイドのプレーヤーが必要になってくると思います。今季は平川と梅崎が素晴らしいパフォーマンスを見せていますが、彼らと同等の力を持つような選手を補強していく必要はありますね。というのも、ペトロヴィッチ監督のサッカーでは、アウトサイドの選手が非常に重要なタスクを担うからです」

――具体的には、アウトサイドの選手はどのようなタスクを与えられているのですか?

「ペトロヴィッチ監督のサッカーは、守備のときに5-4-1、攻撃に入ると4-1-5のような形にシステムが変化します。ここで鍵を握るのが、アウトサイドの運動量です。3バックや1トップ2シャドーは攻守が変わっても、システム上ほとんど位置を変えませんが、アウトサイドの二人はディフェンスラインから最前線まで、何度も上下動を繰り返す必要があります。そして、特に攻撃のときはアウトサイドの選手が最前線のワイドな位置にポジションを取ることで、相手のディフェンスラインに混乱を与えます」

――なるほど、チームの中でも突出して運動量が多いということですね

「そうですね。アウトサイドの選手には、相当な運動量が求められます。今季、前半は良いパフォーマンスを見せていても、後半になると急に失速するような試合が多くありました。もちろん要因を一つだけに絞ることはできませんが、アウトサイドの選手が後半になって疲労して上下動することが難しくなってくると、ボールを奪っても押し上げることができず、相手に押し込まれる時間が長くなります」

――そのためにも、補強が必要だということですね

「かなりハードなポジションだということに間違いはないですし、そのバックアップは絶対に必要です。スタメンで出場する選手と同レベルの力を持った選手がベンチに控えていれば、逆に後半の途中で選手を入れ替えてさらにパワーアップしていくことも可能になります。そのくらい、チームに与える影響が大きいポジションですし、今季は平川や梅崎、宇賀神で上手く回してきましたが、継続して優勝争いを狙うのであれば、ここにもう一枚選手が必要になると思います」

――チームは目に見える形で成長を遂げていますが、それをさらに加速させるためには何が必要でしょうか?

「チームは成熟してきてもっと良くなっていくとは思いますが、その反面、選手は例外なく毎年1歳ずつ歳を取っていきます。もともと今季の浦和は平均年齢が高いですし、若い選手がもう少し突き上げていかないと、チームとして活性化されていきません。若くて生きの良い選手を外部から連れてくる、というのも一つの考え方でしょう」

――最後に、終盤戦へ向けた展望をお願いします。

「まだ十分、ACLに挑戦できる可能性は残っています。残留争いを強いられた昨季から、チームは素晴らしい反応を見せて、良い戦いを続けています。これを継続しながら、最後まで優勝争いに加わって欲しいですし、それができるチームだと思います。期待感を持って、残りの試合を見ていきたいですね」

取材・文:浦山利史
撮影:鈴木俊介


(プロフィール)
福田正博
ふくだまさひろ。1966年生まれ。神奈川県出身。中央大学を経て、1989年に三菱重工サッカー部(現浦和レッズ)に加入。95年のJリーグで50試合に出場し32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王に輝く。“ミスターレッズ”と呼ばれ、サポーターから愛された。2002年の現役引退後、JFAアンバサダーに就任。2008年~2010年に浦和のコーチを務め、2011年よりサッカー解説者として活動をしている。Jリーグ通算228試合93ゴール 日本代表45試合9得点 2006年・JFA公認S級コーチ取得