米政界スキャンダルを描く極上のサスペンス劇。
最強のキャストで、日本上演が実現!
2007年度のトニー賞主演男優賞を受賞するなど、世界で大きな話題を呼んでいる本作。ウォーターゲート事件を背景に、ニクソンとフロスト、ふたりの男が対決する。日本版に主演するのは北大路欣也と仲村トオル。その存在感で見せる熱い戦いは絶対に見逃せない。
──アメリカ大統領を演じるのは今こそできる挑戦
男の名はリチャード・ニクソン。ウォーターゲート事件によってその座を退いた元アメリカ大統領である。もうひとりはデビット・フロスト。英国で活躍しているテレビ司会者である。この実在するふたりの男が顔を合わせたのが1977年。全米で4500万人が目撃したというテレビインタビューでのことだった。それから30年。そのエキサイティングなやりとりを再現した舞台『フロスト/ニクソン』が、今、人気を博している。ブロードウェーでは2007年度のトニー賞主演男優賞を受賞。映画版も日本で公開されたばかり。そんな話題の作品が、ついに日本でも幕を開けることになった。それも最強のキャストをそろえて。
「お話をいただいたときは、やはり怖さを感じましたね。自分に演じることができるんだろうかと」
そう語り始めたのは、ニクソン役を務める北大路欣也だ。
北大路「アメリカ大統領なんて僕らにははかり知れない世界の人ですからね。その職務の内容といい、権限の大きさといい。でも、声をかけていただいたということは、挑むべき役なのかもしれないと思ったんです。この年齢だからこそできる新しい挑戦なんじゃないかって」
一方、フロスト役を演じる仲村トオルにとっても、これはまさに挑戦的な作品になるという思いが、出演の決め手になったという。
仲村「どんな作品でも挑戦すべき目標は設定します。でも、今回は具体的に挑む相手がいる状況で、それが北大路欣也さんであるというのがやはり魅力的でしたね。この大きな俳優さんと、ニクソンとフロストとして対決することによって、自分も向上した、でかくなったというような手応えを感じられるのではないか。そう期待しているんです」
──役者としての情熱や魂を感じ取れる作品
北大路と仲村は、テレビドラマ『華麗なる一族』ですでに共演経験がある。が、このときは役柄的に濃いぶつかり合いがなかったため、真っ向勝負をするのは今回が初めて。仲村は言う。
仲村「北大路さんは役への取り組み方が徹底している俳優さんだと思います。その情熱とか魂みたいなものを、今回はドラマのとき以上に感じられる気がしてるんですね。おそらくフロストも、同じような気持ちでニクソンに向かっていったんじゃないでしょうか。この人にぶつかってみれば、何か見えるかもしれないと」
この舞台の面白さは、政治的な話よりも、そんな人間の心の内側にあると言ってもいい。ウォーターゲート事件の真相を語らないまま大統領を辞任したニクソン。フロストはインタビューで彼を追い込み、真相を明らかにすることでステップアップを狙っている。ニクソンも然り。この若造を使って政界復帰を目論んでいる。そう思うと、ニクソンという役も身近に感じられるのだと北大路はいう。
北大路「元を糾せばニクソンもひとりの人間。大統領を辞めても家族や自分を支えてくれる人たちを守っていかなきゃいけない。だから、何としてでもこのインタビューに勝ちたいと思う。そういう心情は誰のなかにもあることですからね。まったく別世界のお話というのではなく、同じひとりの人間として、またその向こうに家族が見えるように演じたいと思うんです」
──格闘技のような舞台。毎日本気で試合ができれば
舞台上で繰り広げられるインタビューの様子を、仲村は「言葉の格闘技」と表現する。北大路もまた、「それぞれにトレーナーがついてトレーニングを重ね、作戦を立てたうえで、ボクシングのリングに上がるようなもの」だという。
仲村「だから、ニクソンはいわば叩いても効いている感じがしないっていう相手でしょうか。しかも、1ラウンド終わるたびに、セコンドについてるヤツらがいろんなことを言ってフロストの足を引っ張るという最悪な試合なんです(笑い)」
そう言って苦笑する仲村。
北大路「だけど最終的には、リングに立っているふたりだけが感じ合う何かが生まれる。そこがとても魅力的な作品だと思いますね」
北大路が感慨深く言う。そして、ふたりが同じように期待していることがある。それは、舞台というナマで演じる場所だからこそ、その試合は毎日違って、毎日面白くなるであろうということだ。
「本当にできるのか不安ではありますけど、毎日本気の試合をお見せできたらと思いますね」という仲村に、「毎日毎日、緊迫した舞台を届けたいです」と重ねる北大路。これまでにない熾烈で熱い舞台が生まれそうである。
取材・文:大内弓子 <8/6付 朝日新聞夕刊より>
▼「フロスト/ニクソン」
【東京公演】11月18日(水) ~ 12月5日(土) 天王洲 銀河劇場
【愛知公演】12月9日(水) 名鉄ホール
【大阪公演】12月12日(土)・13日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【宮城公演】12月17日(木)・18日(金) イズミティ21 大ホール
[劇作・脚本]ピーター・モーガン [演出・上演台本]鈴木勝秀
[出演]北大路欣也/仲村トオル/佐藤アツヒロ/中山祐一朗/谷田歩/中村まこと/安原義人
━ ストーリー ━
全米を揺るがした政治的スキャンダル“ウォーターゲート事件”によって、大統領辞任に追い込まれて3年。謝罪のない会見を最後に、リチャード・ニクソン(北大路欣也)は姿を消していた。そんな彼の前に、英や豪のテレビで活躍している司会者デビット・フロスト(仲村トオル)が現れた。ジャーナリストとしての起死回生を狙って、ニクソンへインタビューを申し込んだのである。これを政界復帰のチャンスにしたいと考えたニクソンは、多額の出演料をとりつけて、テレビインタビューを承諾する。両者それぞれにブレーンを従えて対決することになったふたり。息詰まる攻防戦が始まった!


















