@ぴあインタビュー

「宮城野」 草刈民代インタビュー

2009年4月、36年間のバレリーナ人生に終止符をうった草刈民代が新たに歩むのは“女優”への道。その“女優転身初作品”がこの『宮城野』だ。江戸時代色街を舞台に、女郎・宮城野(草刈民代)と、東洲斎写楽を殺害したニセ絵師・矢太郎(安田顕)との情愛を描く二人語りの芝居。新たな一歩を前に「これから“女優になりたい”なんて図々しいかとも思うんですけど、チャンスをいただけるのであれば、ぜひやってみたいと思いました。」 ……そう語る彼女の表情は明るく、この作品への、そして自分自身の未来への期待に満ちていた。

 

──まず遊女役”ということで驚かされますが、転身後第一作にこの作品を選ばれた理由は?

「難しい役だとは思いますが、その反面、最初に読んだとき、この役だったらはできるかもしれないとも思ったんです。ダンサーとしての私をあまりご存じない方は驚かれるかもしれませんけどが、実際に私が踊ってきた作品には、いろいろな役がありました。例えばローラン・プティの作品は、男性を破滅させるファム・ファタール的な役柄や官能的な作品もあり、その度に作品に見合う表現を求められてきました。言葉でふたりの関係性を表現していくのはまた違いますけれど、今までの経験が、この役を演じることとかけ離れているようには思わなかったんです。ハードルはとても高いけれど、自分が“できるかもしれない”と思って努力すれば、その分身についたり、返ってくる物は必ずあります。二人芝居なのでセリフも多いですけれど、今後女優として活動していくための第一歩としては、とても良い経験になるのではないかと思い、思い切ってやらせて頂く事にしました。」

──この“宮城野”という役柄について、今どう思われていますか?

「演出の鈴木勝秀さんは、宮城野という女性は“無いものを埋めようとしている人”とおっしゃっていました。例えば家族の愛であるとか、昔の人が日常的に持っていた“何か”が彼女には欠落していると。その姿は、現代人にも通じるのではないかとおっしゃっていました。彼女はその“何か”それを埋めようとして自分のことを裏切るとわかっている男性に尽くしてしまう、ということなのかなと思います。それがどういうことなのか、舞台上で宮城野になることを目指しながら、つかめていければ。でもほんと、稽古してみないとわかりませんね。何しろ(舞台で)芝居をすること自体が初めてなので。踊りは基本的な技術の積み上げが表現を創り上げていくような部分がありますが、芝居も同じなのだろうと思ってます。当たり前のことですが、まずは台詞を覚えることしかないですね。今までのバレエの稽古を、セリフを覚えることに置き換えて、がんばります!(笑)。」

──引退公演を終えられた心境はどうなんだろう、と色々想像して来たんですが、アクティブで少し驚きました(笑)。

「実はね、色々やることがあって今はまだ全然休んでないんですよ。今までは、「踊る」ために目標を定めていろいろと努力をしてきました。ずっと全力投球見たいに過ごしてきたから、私は、何もやることがなくなる方が、かえって怖いですね。これからは、興味があったことになんでもトライしていきたいです。」


取材・文:川口 有紀


▼「宮城野」
【東京公演】9月17日(木) ~ 23日(水・祝) 草月ホール
【大阪公演】9月26日(土) ~ 27日(日) イオン化粧品 シアターBRAVA!
【愛知公演】9月29日(火)・30日(水) 名鉄ホール
【東京追加公演】10月10日(土)・11日(日) 東京グローブ座

[劇作・脚本]矢代静一
[演出]鈴木勝秀
[出演]草刈民代/安田顕(TEAM NACS)


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