――劇中でイヴ・モンタンとして披露する、初めてのシャンソンはいかがですか?
「今まで触れたことのない音楽に向き合う面白さを実感するとともに、まだイメージどおりに表現できない葛藤もあります。これまでと違う歌唱法、筋肉が必要とされているので。『枯葉』のレッスンでは、音楽監督の甲斐正人さんから『その声色だと〝枯葉〟じゃなくて〝若葉〟になっちゃうよ』といった感じで、たくさん指導して頂いています。技術的なこともちゃんとクリアした上で、楽曲の持つストーリーやメッセージをお客さまに伝えなくてはシャンソンにならない。課題は山積みですが、この山を乗り越えたら、きっと自分の糧になるのではと思っています」
――もうひと役のテオは、どんな男性ですか?
「モンタンとはガラッと色味の違う、ピアフの全てを受け入れ、包み込むような優しい男。なぜピアフが人生の最後にテオを選んだかは、彼を演じる上のとっかかりとして考えるべきところだと感じます。恐らくピアフは劇的な人生だったがゆえに、普通の家庭で愛情を注がれて育ったテオに惹かれたのではないでしょうか。ただし疲れ切ったからではなく、自然の流れで運命的な出会いをしたんだろうと思うんです。シャンソンのシーンも含め、アクティブな〝動〟のモンタンに対してテオは〝静〟。受け身のお芝居を念頭に取り組んでいます」
――稽古場の雰囲気を聞かせてください。
「余裕を持って役と向き合う先輩方が醸し出す、大人な雰囲気です。オンとオフを切り替えながら、壮絶な人生を生きたピアフという女性をみんなで作っている感じ。ピアフ役の安蘭さんとは、以前ご一緒させていただいたコンサート以来の共演ですが、役の感情や相手役とのやり取りを大切にされる姿勢が素晴らしいなと思います。その一方で、クマちゃんのブランケットを『かわいいでしょ~』と見せて回るお茶目な一面もあるんですよ」
――どんなミュージカルになりそうですか?
「『愛の讃歌』や『バラ色の人生』といった超有名な楽曲をたくさん聞けますので、そこも楽しんで頂けたら。作品の根底に流れているのは、愛に生きたピアフという人間の生き様。人間愛、恋愛、家族愛など、物語に散りばめられたいろいろな「愛の形」を描いていると思うので、お客様に「そんな愛し方もあるわね」と思いながら観て頂けたら嬉しいですね」
取材・文:山上裕子 撮影:源賀津己
スタイリスト:宮崎智子
衣裳協力:M DKNY (ダナ キャラン ジャパン)
ヘアメイク:山下由花
▼ミュージカル「エディット・ピアフ」
1月20日(木) ~ 2月13日(日) 天王洲 銀河劇場(東京都)
2月18日(金) ~ 20日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪府)
[出演]安蘭けい / 浦井健治 / 鈴木一真 / 佐藤仁美 / 八十田勇一 / 床嶋佳子 / 中嶋しゅう / 甲本雅裕 / 他
□発売中