見逃せない!国内ラグビー

8/22(金)開幕! 4強+αのトップリーグV戦線を読む

いよいよ8月22日(金)、トップリーグが開幕を迎える。昨季、日本選手権との2冠を達成したパナソニック、その前年に連覇を達成したサントリー、最多V5の東芝、初代トップリーグ覇者の神戸製鋼を中心にした優勝戦線が繰り広げられるだろう。ヤマハ発動機にトヨタ自動車、NEC、クボタ、キヤノンも上位進出が期待される。混戦必至の12年目のシーズンを展望する。

TEXT●村上晃一
PHOTO●(C)JRFU

2013-2014シーズン、3年ぶり2度目のトップリーグ制覇を果たしたパナソニック

2013-2014シーズン、3年ぶり2度目のトップリーグ制覇を果たしたパナソニック ワイルドナイツ (c)JRFU 2014, photo by H.Nagaoka

 2003年に発足したジャパンラグビートップリーグは、12年目のシーズンを迎えた。参加16チームの実力は着実に向上し、年を追うごとにスコアの接近した試合が増えている。順位争いは混とんとしているが、昨季のトップ4(パナソニック、サントリー、東芝、神戸製鋼)が、選手層、経験値からいって優勝争いの主役になるだろう。

 大会方式は昨年同様、2ステージ制だ。前シーズンの順位を基に実力を均等に分けたファーストステージ、各上位4、下位4チームずつに分かれるセカンドステージ、そして、上位4チームによるプレーオフトーナメントとなる。つまり、ファーストステージで4位以内に入らなければ優勝の芽はなくなる。セカンドステージの下位グループに入れば下部リーグへの降格(※13~15位は入替戦、16位は自動降格)もあり、各チームはまずファーストステージに照準を絞ってチームの仕上がりを早めている。優勝を狙う上位陣はシーズン終盤を見据えてチーム力を整えるため、序盤戦では波乱が起きる可能性もある。

 パナソニック、東芝の入るプールAは、ヤマハ発動機、NEC、クボタなど強力フォワード(FW)のチームが揃い激しい肉弾戦が多くなりそうだ。サントリー、神戸製鋼が引っ張るプールBでは、トヨタ自動車が夏合宿で東芝と引き分け、プレシーズンマッチではパナソニックと接戦するなど面白い存在。昇格3年目ながら11位、7位と順位を上げてきたキヤノンもおり、こちらのトップ4争いも予断を許さない。

ベリック・バーンズ(パナソニック ワイルドナイツ)

ベリック・バーンズ(パナソニック ワイルドナイツ)
(c)JRFU 2014, photo by H.Nagaoka

 続々と海外の有力選手が加入するトップリーグは世界のラグビー関係者からも熱い視線を送られているが、今季も多数のスター選手がやって来る。
 南アフリカ代表68キャップのフランカー(FL)、スカルク・バーガー(サントリー)は、金髪を振り乱しての激しいプレーが売り。ニュージーランド代表(オールブラックス)のスクラムハーフ(SH)として26キャップを持つアンドリュー・エリス(神戸製鋼)は、卓越した戦術眼で防御網をかく乱する。オーストラリア代表のウイング(WTB)として、その風貌を真似るファンが続出するなど絶大な人気を誇るニック・カミンズ(コカ・コーラ)の来日は世界を驚かせた。長髪にテーピングのヘアースタイルを日本でも見せてくれるかどうかは未知数だが、怪我さえなければ、トップリーグの名物選手になるだろう。
 パナソニックの監督に就任したロビー・ディーンズ(前オーストラリア代表監督)、神戸製鋼のヘッドコーチ(HC)に就任したギャリー・ゴールド(元南アフリカ代表アシスタントコーチ)など、世界的に著名なコーチも増えてきた。「世界のトップコーチが多くなってきたのは、トップリーグのレベルアップを物語っています」。そうコメントしたサントリーのアンディ・フレンドHCも、スーパーラグビー(南半球スーパークラブ選手権)の強豪ブランビーズのHCを務めた経験がある。昨季まではキヤノンを指導した。
 そんなトップレベルのコーチ達が求めるのは、練習中から100%の力を出す選手だ。ゴールドHCは言った。「すべての試合に勝つとは約束できませんが、試合を見に来るファンの皆さんが、感動し、チームを応援していることを誇りに思えるような試合をすることはお約束します」。他のコーチも同じような気持ちだろう。昨季以上にスピーディーで運動量豊富なラグビーが多く見られるということだ。

 最多トライゲッター、得点王などの個人賞争いほか、さまざまな角度から楽しめるトップリーグだが、今季は、日本代表選手をぜひとも注視してもらいたい。
 2015年秋、英国ロンドンを中心に第8回ラグビーワールドカップ(RWC)が開催される。史上初の決勝トーナメント進出を目指す日本代表は、今年の6月21日にイタリア代表を下し、世界ランキングは史上最高位の10位に上がった。イタリア戦直後の会見で、エディー・ジョーンズHCは、「トップリーグでは常にインターナショナルレベルを意識してプレーしてもらいたい」と語っている。日本代表のRWCメンバーの大枠は固まっているが、当落線上の選手もいる。「スペシャルな才能を発揮すれば」(ジョーンズHC)、新たに代表入りする選手も出てくるかもしれない。今季はRWC出場を狙う選手にとっては自己アピールのラストチャンスでもある。

大野均(東芝ブレイブルーパス)

大野均(東芝ブレイブルーパス)
(c)JRFU 2013, photo by H.Nagaoka

 優勝を争うチームは、いずれも日本代表選手が中心だ。王者パナソニックには、日本代表FWの要であるフッカー(HO)堀江翔太、日本人初のスーパーラグビー選手となったSH田中史朗、ハードタックラーのナンバーエイト(NO8)ホラニ龍コリニアシ、トライゲッターのWTB山田章仁もいる。堀江は抜群の運動能力の高さで、試合の流れを変える突破、タックルを連発する。来季もスーパーラグビーのレベルズと契約するなど世界的評価も高い。この他、昨季のトップリーグMVPのスタンドオフ(SO)ベリック・バーンズも見逃せない選手だ。視野が広く、スペースを見つければそこに正確なパス、キックでボールを運ぶ。粘り強いディフェンスからの切り返しを得意とするパナソニックは、今季も優勝候補の筆頭だろう。
 昨季準優勝のサントリーには、日本代表スクラムを最前列で支えるプロップ(PR)畠山健介、アグレッシブな突進で防御網にくさびを打ち込むロック(LO)真壁伸弥がいる。タックルをかわす能力の高いFLツイ ヘンドリックは突破役として欠かせない。日本代表の次代を担うセンター(CTB)中村亮土、フルバック(FB)松島幸太朗のルーキーも即戦力だ。松島の爆発的なスピードは観客を沸かせることだろう。ただし、攻守の要だったFLジョージ・スミスが退団し、プレーメイカーのSHフーリー・デュプレアが怪我で長期離脱となった。果たしてその穴は埋まるのか、気になるところではある。
 昨季3位の神戸製鋼は、トップリーグ初年度2003-2004シーズン以来の優勝を狙う。新しいHCの就任で、これまで出場機会に恵まれなかった選手のモチベーションが高まり、3年目のFB井口剛志、実質2年目のSO山中亮平らもレギュラー争いに絡む。日本代表選手は、PR平島久照、山下裕史、HO木津武士、LO伊藤鐘史とFW陣に多い。ここに元南アフリカ代表でトップリーグ最長身(208cm)のアンドリース・ベッカーがおり、スクラム、ラインアウトのセットプレーは強力だ。
 同じく3位の東芝は、日本代表でキャプテンを務めるFLリーチ マイケル、日本代表キャップを85まで伸ばし、史上最多保持者となったLO大野均、スクラム最前列のPR三上正貴、浅原拓真らが揃って強力FWを形成する。どんな試合でも手を抜かずに走り続ける大野の姿は今季も感動を呼ぶだろう。新HCの冨岡鉄平は、2004年度からの3連覇時代のカリスマキャプテン。入社3年目のSO森田佳寿をキャプテンに指名し、「一番いい男だからです」と現役時代と変わらぬ熱い言葉を発する。ただし、「これまでのスタンディングラグビーではベスト4止まり」と、組織的にパスを動かして防御を破るスタイルを模索しており、新しいプレースタイルで世界のトップコーチ達に挑む。

五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)

五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)
(c)JRFU 2014, photo by Kenji Demura

 これらトップ4を切り崩そうと腕を撫すのがヤマハ発動機だ。日本代表バックスの中心選手であるCTBマレ・サウ、FB五郎丸歩を擁し、セットプレーへのこだわりは強く、昨年はフランスにスクラム強化だけの合宿に出かけたほど。正確なプレースキッカーである五郎丸を得点源に接戦をものにする。
 キヤノンもトップ4候補のひとつだろう。「ここまでは若さの勢いで戦ってきましたが、トップ4には壁がある」(永友洋司監督)と、今季は、2011年RWCの日本代表キャプテン菊谷崇(前トヨタ自動車)、元日本代表WTB小野澤宏時(前サントリー)というベテランを獲得。シーズンを通してコンスタントに力を発揮するふたりの経験をチームに落とし込み、日本一を狙うチームに脱皮させようとしている。
 チーム名を変更した宗像サニックス(前・福岡サニックス)はトップキュウシュウへの降格から1年で戻ってきた。ディフェンスを改善し、春の練習試合はトップリーグのチームにも勝っている。何かを起こす期待感を抱かせるチームだ。

 日本代表躍進の原動力は、フィジカル面で格段の進歩と、スクラムの強化だ。この影響はトップリーグに必ず現れる。特にスクラムは勝敗を分ける要素としてクローズアップされるだろう。ファーストステージは7試合しかなく、開幕ダッシュが上位進出の鍵。どのチームが快調に走り出すのか。まずは、3週連続で行われる第3節までの戦いに注目したい。