中津留章仁(ナカツルアキヒト) のチケット情報

公演レビュー
  • 黄色い叫び

    東日本大震災にヒントを得て、現代の社会問題に迫る作品に定評のある中津留章仁の戯曲。ある地方の公民館の2階にある青年会の集会所を舞台に展開する。今日も台風が迫る中、今年のお祭りを実施するのかと、例年行われていたお祭りを議論するには訳があった。昨年の台風で、多数の人的被害が発生し、メンバーの一人の両親が犠牲となっていたからだ。町は、振興と防災を少ない予算の中で、何を優先するのかという、地方の町が抱える問題が浮かび上がってくる。町の活性のためには例年通りお祭りを実施すべきだという大勢のなかで、倒壊の危険性のある電柱の地中化を提案する、Uターン組の万里の理想論は、全く賛同を得られない。一応の結論を得て散会し、帰途についたメンバーの二人が台風の直撃を受け、瀕死の大怪我を負い、集会場に運び込まれてきた。……最近見かけなくなった口角泡を飛ばす本音の議論、地方に暮らす青年の諦めにも似た限られた選択、農家の嫁不足の現状と抑えきれない性への欲求、青年会活動と仲間や家庭の問題等、台風襲来の混乱の中でこれらの課題が一気に表面化するのだ。仲間の惨状を目の前に、本音が吐露されてゆく。悲痛な叫びにも似たそれぞれが抱えた、地方特有の問題の中に人間らしい一面を見た思いがした舞台だ。……「対岸の火事」・「喉元過ぎれば熱さを忘れる」格言が身に迫る戯曲であった。

    粗忽者の早とちり
  • 劇団青年座「断罪」

    現代社会に潜み、社会的関心の深い問題に鋭く切り込む戯曲に定評のある中津留が青年座に書き下ろした作品。ある芸能事務所を通して、看板俳優が政治問題にコメントしたことが波紋を呼び、結果事務所を去ることになった。政治とジャーナリズムとの間合いの取り方そして会社経営が深く絡み合い、部内で激しく論争が交わされる。芸能界特有のタレント・俳優の売り出し方や処遇を巡り、経営陣と現場での立場の違いを浮き彫りにする。不祥事があって初めて明らかにされる利益最優先の会社経営とクライアントの意向を忖度し、上司の顔色を窺い、事大主義に走る多くの人々。…沈黙は得てして賛意と捉えられる…独自の正義感から異議を唱える岸本(安藤瞳)は書生論なのだろうか?何が社会を変えるのであろうか?中間管理職として岸本に賛同しながらも生活が頭をよぎる蓮見(大家仁志)・山浦(津田真澄)の苦悩。対照的に利益優先でのし上がった荒木取締役(石母田史朗)ら実在感のある演技にリアリティを感じた。大企業の製品と軍事転用の問題点の指摘は、事を大きくし焦点をぼかしかねないのでは?しかし中津留の筆法は鋭い。田上唯・當銀祥恵・市橋恵を始め全ての俳優陣が、リアリティを発揮したのは、この戯曲が身につまされる、我が事に思えるからだろうか?

    粗忽者の早とちり
  • 明日がある、かな

    東京2020を数年後に控えた現在と、ある意味似た世相の60年代。戦争の残滓が薄れる中、日本が高度経済成長に入ろうとする時期、現代人が悩む花粉症が、その萌芽を出し始めたころのある家族を取り上げた作品だ。アレルギー性鼻炎に悩む息子のために都会を離れ、故郷栃木に移り住んだものの、豊かになることに邁進する世相の中で、その豊かさがもたらす健康被害に、自動車販売会社に勤める阿久津一家のジレンマがある。道路整備のために土地収用される個人の犠牲の上に、多くの人々がその豊かさや便利な生活を享受して疑わなかったあの時代。「明日があるさ」と楽天的に謳った時代。豊かさの代償として何かを見失ったかもしれない今、モノローグに込めた中津留の「明日がある、かな」のメッセージは現代社会への警告のようでもある。頼れる親戚池田夫婦を演じた太平と滝沢花野の栃木弁と田舎もんの演技に人物像と時代を感じさせて好演だった。

    粗忽者の早とちり
アイコン説明
アラートメール登録ボタン
行きたい公演をアラート登録(発売情報やリセール申込情報など購入チャンスをお知らせ)
お気に入り登録ボタン
お気に入り登録
先行予約・販売ラベル
プレリザーブ、プリセール等
プレミアム会員ラベル
プレミアム会員限定
座席選択ラベル
座席選択可能

中津留章仁 のチケット予約・購入はチケットぴあで!

ページ上部へ

絞込み