明石城を背景に、かがり火を焚きながら一夜限りの幽玄の世界へいざないます
第27回明石薪能の演目は「敦盛」。平家物語でも有名な平敦盛と彼を討ちとった熊谷次郎直実を世阿弥が描いた能の作品。敦盛は、大変美しい顔立ちをし、笛を奏でる名手でした。16歳という若さで戦に散りますが、彼の持ち物を見ると、天皇から贈られた笛があったといわれています。一方、わが子と同じ年ごろの若者を討ち取った熊谷次郎直実は、大変心を痛め、悲しみその後出家します。能「敦盛」は、熊谷次郎直実が出家して蓮生法師となり、再び一の谷を訪れたところから始まります。敦盛を弔うために再びその戦のあった場所へ訪れると、笛を持った草刈りの男が現れ、自分は敦盛のゆかりのある者であると伝えて去っていきます。その夜、敦盛を弔っていると敦盛の霊が現れて、以前は敵でも今はもう真の友であると喜んで舞を舞って去っていきます。