名盤『at 武道館』の発表により、海外のアーティストに日本武道館という会場の名前を広く知らしめ、ロック史の伝説となった1978年のライブを、30年の時を経て再現。リック・ニールセン、ロビン・ザンダー、トム・ピーターソン、バーニー・E・カルロスという強烈なキャラクターの組み合わせによるバンド・マジックに期待大だ。
現在ではチープ・トリックは、キャッチーな楽曲でパワー・ポップの王道を行くベテラン・グループとして多くの支持を集めている。しかし彼らが1978年に初来日した時は、本国のアメリカよりもむしろ日本での人気が先行していた。そしてその4月28日に行ったステージの模様を収録したライブ・アルバム『at 武道館』は、バンドのテンションと観客の熱気が特別な魅力を生み出した傑作となり、全米アルバム・チャートでもナンバー・ワンを獲得するほどの大ヒットとなった。
その結果、彼らの人気はアメリカでも安定したものになったが、このライブ盤の影響は、それだけではない。武道館という会場の存在を、海外の多くのアーティストに強く印象付け、多くのアーティストにとって日本武道館は、憧れの場所となってしまったのである。つまり『at 武道館』は、ロック史上の伝説的な作品といえるだろう。
そして今回のチープ・トリックは、それから丸30年となることを記念してスペシャルなライブを予定している。当時と同じ四月の武道館で、30年前のセット・リストによるステージを一晩限定で再現しようというのだ。
さらにこの公演にあわせて、MC、曲目なども完全に当時のまま収録された『at 武道館』のコンプリート盤のデラックス・エディションが、来日記念盤としてリリースされる。いかにもエンタテイメント精神に富んだ彼ららしいアイデアだが、これは一時期はメンバーが入れ替わる紆余曲折はあったものの、30年という時を経ても彼らのキャラクター性が揺るがないからこそ可能なものでもある。美形のロビン・ザンダー(vo)とトム・ピーターソン(b)、まるでコメディアンのようなリック・ニールセン(g)とバン・E・カルロス(ds)という四人が、時を越えて放つ最強のコンビネーションを味わいたい。(2008/4/4)