70年代から活動してきたベテラン・ギター・ヒーローによる21年ぶりの来日公演が実現。ハード・ロック・グループのシン・リジィ、ジャズ・ロック・グループのコロシアムIIでの華々しい活躍、そしてソロとなってからはブルースに傾倒するなど、多彩な表現力を持つスーパー・ギタリストの本領を堪能できる貴重な機会となりそうだ。
70年代のロックは、ギター・ヒーローの歴史であったといっても過言ではない。そしてアイルランド出身のゲイリー・ムーアは、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、ピーター・グリーンなどの影響を受けた正統派のギター・ヒーローのひとりだ。
彼の名前が広く世界に知られるようになったのは70年代。ハード・ロック・グループのシン・リジィ、そしてジャズ・ロック・グループのコロシアムIIでの活躍によるところが大きい。80年代に入ってからの作品は、ソロ名義のものが大半を占めるが、90年代にはクリームのリズム・セクションであったジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルースと共にBBMを結成してアルバムも発表。ここではまさにクリーム直系ともいうべきサウンドを奏でている。
このようにゲイリー・ムーアのサウンドのスタイルは、ハード・ロック、ジャズ・ロック~フュージョン、そしてブルース・ロックと、グループによってかなり極端に異なっている。だが太い弦を使った艶やかな音色によるエモーショナルな速弾きや、バラードにおけるむせび泣くようなソロは、非常に個性的だ。卓越したテクニックと情熱的な表現力を誇る演奏は、キャラクターと直結しており、スーパー・ギタリストの呼び名にふさわしい実力派として君臨してきた。日本との関わりでは、本田美奈子に楽曲を提供したことも知られているが、これまでに彼が来日公演を行ったのは、80年代だけのことであり、今回実現することとなった来日公演は、実に21年ぶりのこととなる。
近年は特にブルースに傾倒した作品を多数発表してきたが、現時点での最新作にあたる08年の『BAD FOR YOU BABY』は、ハード・ロック色も感じさせる内容となっており、日本のステージでどんなレパートリーを披露してくれるのか興味深いところだ。(2010/02/05)