アルバム・デビューから10周年を経て、通算5枚目に当たる新作『ザ・レジスタンス』を、初のセルフ・プロデュースで届けてくれたブリティッシュ・ロックの人気グループ、ミューズが、来年初頭にジャパン・ツアーを行う。スリー・ピースの常識を覆すドラマチックなライブ・パフォーマンスの凄みを、思う存分アピールしてくれる。
99年に『ショウビズ』でアルバム・デビューを果たしたミューズは、グラストンベリーやレディング/リーズといったフェスで、ヘッドライナーを務めるビッグ・グループだ。今年9月にリリースした最新アルバム『ザ・レジスタンス』で、全英初登場1位を獲得したのみならず、世界20ヵ国でナンバー1となるほどの大ヒットを記録している。
しかし彼らのサウンドは、現在のロック・シーンを見渡してみても決して主流とは言えない。初期はメランコリックな美しいボーカルから、レディオヘッドなどと比較されることもしばしばだったが、むしろ他に並ぶ者のいない異端的なスタイルこそが、魅力と言えるだろう。まずグループの編成からしてユニークだ。ボーカル&ギター&ピアノを担当するマシュー・ベラミー 、ベースのクリス・ウォルステンホルム、ドラムスのドミニク・ハワードというトリオでハードなギターを聴かせるナンバーもあるが、プログラミング、シンセサイザー、厚みのあるハーモニーなども駆使したサウンドは、いわゆるギター&ボーカルを軸にしたスリー・ピースにありがちな作風とは全く異なる壮大なまでにドラマチックなものだ。
特に今回は2006年の前作『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』で披露したクラシック寄りのアプローチも発展させ、オーケストラを駆使した三部構成の『脱出創世記』という交響曲も収録しており、プログレッシブ・ロックにも通じる振り幅の広さを発揮。さらにジョージ・オーウェルの『1984年』をベースにしたメッセージ性の強いストーリーを展開するコンセプチュアルな構成で、重厚な作風のインパクトを、強烈なものにしている。
日本武道館での東京公演を含む今回のジャパン・ツアーでは、新作でこうした独自の路線を決定的なものにしたミューズの個性を、遺憾なく発揮してくれるはずだ。(2009/10/16)