『バッド・デイ~ついてない日の応援歌』の大ヒットで鮮烈なデビューを飾ったシンガー・ソングライターが、ピアノマンとしての作風に加え、ギターも活用するようになった2ndアルバム『アンダー・ザ・レーダー』を携えて再び日本にやってくる。ナイーブな感性の持ち主ならではの赤裸裸な説得力に満ちた楽曲を、ライブで堪能しよう。
ポップ・ミュージックの大ヒットは、リスナーだけでなく、アーティストにとっても大きな影響を与える。時にはそれがプレッシャーとなってしまうことも決して珍しくはない。カナダ出身のシンガー・ソングライターであるダニエル・パウターの場合は、最初は2005年にヨーロッパでリリースされたデビュー曲『バッド・デイ~ついてない日の応援歌』の評判が、他の国にも飛び火して、各国で2006年を代表するビッグ・ヒットとなり、日本でもアルバムが、オリコンの洋楽チャートでナンバー1に輝いた。『バッド・デイ~ついてない日の応援歌』という楽曲の歌詞は、30代半ばにして展望の見えない日々を過ごしていたダニエル・パウター本人のぼやきのような内容。ドキュメント的な生々しさが、繊細なボーカルの説得力となり、心の琴線に触れた人も多くいるはずだ。
そうした楽曲を生み出すアーティストは、当然ながら内省的な側面を持っている。そのヒットは10年以上にもおよぶ下積み状態を経験していた彼にとっては、あまりにも急激な生活の変化を強いるものでもあった。実際に彼は、ヒットの後で自分が燃え尽きてしまったように感じ、アルコールやドラッグに溺れていた時期がある事を告白している。だが今年リリースされたセカンド・アルバム『アンダー・ザ・レーダー』は、そうした経験をもバネにして、彼が表現者としてひとまわり逞しくなったことを確信させる。
本作に大きく貢献したのは、プロデューサーとして関わっているリンダ・ペリー。以前4ノン・ブロンズというギター・バンドのフロントウーマンとして活躍していた彼女との共同作業は、ピアノの弾き語りを得意とするシンガー・ソングライターであった彼が、自分の作品にギターを大きくフィーチャーして作風を広げるきっかけにもなった。今回の来日公演では、そんな人間的な起伏も含めて魅力的な彼の本領が、パワー・アップして伝わってくるはずだ。(2008/11/7)