ネットを活用したユニークなメディア展開で“ブログの歌姫”という異名を与えられてきた女性シンガー・ソングライターの柴田淳が、“月夜PARTY vol.1~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~”と銘打ったツアーを展開。以前はライブが少なかった彼女だが、最新アルバム『親愛なる君へ』を携えていよいよ本領を発揮する。
インターネットが普及して以降、それを活用するアーティストは、多々存在する。そうした状況の中でも柴田淳のこれまでの活動のスタイルは、邦人アーティストの中でも、かなりユニークなものだったといえるだろう。ライブが少なく、ファンが彼女のキャラクター性に触れる機会は、デビュー時の2001年からインターネット上で彼女が公表してきた日記が中心となっていた。ボリュームたっぷりのテキストで、自分の心境を非常に率直に綴る彼女の日記は評判となり、そのキャラクターの立ち方から“ブログの歌姫”という呼び方をされるまでになっていた。
そんな彼女にとって2007年は、大きな変化を迎えた年だった。初めてとなるコンサート・ツアー“ しばじゅん、はじめました! ”を行ったのだ。それよりも前からツアーを実現させようという意向はあったようだが、結果的に二回の事務所移籍を挿み、デビューから6年後に初のツアーを行うという展開は、彼女自身だけでなく、ファンにとっても待ち遠しいものだったに違いない。
その柴田淳が今年6月にリリースした最新アルバムが、通算6枚目にあたる『親愛なる君へ』だ。この作品は、ミディアム~スロー系のナンバーが大半を占めた構成となっている。これはアレンジャーの羽毛田丈史からのアドバイスを受け、彼女の滑らかな声と楽曲の魅力を、自信を持って打ち出した結果で、彼女自身も最も統一感に満ちたアルバムだと自負している。
そしてこの自信作を携え、今年の秋に展開する二回目のコンサート・ツアーが、“月夜PARTY vol.1~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~”である。特に最終日の東京公演では、彼女が多大な影響を受けたピアニストの塩谷哲がゲスト出演することも決定しており、今後の展開の上でも大きなターニング・ポイントとなりそうだ。(2008/8/1)