ディズニーのアニメーション、映画、テーマパークなどの音楽を、オーケストラとブロードウェイで活躍するヴォーカリストの演奏にのせてお届けする、日本発のエンタテインメント「ディズニー・オン・クラシック」。毎回大好評の全国ツアーは、8回目を迎える2010年、過去最多の全38公演を開催する。
今回は、10月から全国各地を駆け巡るツアーに先駆け、「ディズニー・オン・クラシック」の顔こと指揮のブラッド・ケリーさん、そして今回のハイライト『美女と野獣』でベル役を歌うキャリー・アンダーソンさんが来日。コンサートへの意気込みを語ってくれた。
- ――今回で8回目になる「ディズニー・オン・クラシック」。ブラッドさんは日本にはすっかりおなじみとなりましたが、キャリーさんは日本でのコンサートが初めてですね。ブラッドさんからキャリーさんへコンサートに向けてのアドバイスなどはありますか?
ブラッド・ケリー「『ディズニー・オン・クラシック』の歴史をキャリーさんに伝えることは色々としました。彼女はとても好奇心旺盛なので、とても興味をもって聞いてくれますね。また、『ディズニー・オン・クラシック』の過去の公演に出演した友人のキャストからも様々なアドバイスを既にもらっているみたいですね!」
――ブラッドさんがキャリーさんにおすすめする日本の観光スポットはどこですか?
ブラッド「ちょうど今日は原宿に行こうかと思っているんですよ。それから明治神宮にも行きたいですね。あそこの鳥居をぜひ見てもらいたいし、桔梗のお花が咲いているエリアもとてもきれいですよね。それから表参道のオリエンタルバザーのお土産屋さんや上野、浅草も」
――さすが何度も日本でツアーをされているだけあってお詳しいですね! ちなみに、これまでの日本でのコンサート。お客様の印象はいかがですか?
ブラッド「お客様の反応は素晴らしいですよ! お客様にどうすればリラックスして聴いていただけるか、ノリやすいか…といったことは、これまでの公演を重ねる中で、出演者とお客様が共に歩み寄りながら一緒に作り上げてきたんだなあ、と実感しています」
――ブラッドさんはよく日本語でMCをされますよね。
ブラッド「『ディズニー・オン・クラシック』というコンサートは、それ自体が非常に大きなプロダクションで、様々な要素や魅力があるのですが、突き詰めていけば、お客様お一人お一人に対して音楽を届けることに尽きる訳ですよね。だからMCの時でもお一人お一人に伝わるように、できるだけ日本語でお話するようにしています」
――私がコンサートを拝見したときも、オーケストラのメンバーやソリストの紹介を日本語でとても流暢にされていて。会場全体の雰囲気がとても温かくなっていったのを覚えています。
ブラッド「もてなしてくれた食事を断らずに食べるということと同じかな。難しい言葉を憶えようと努力している人には、助けてあげようと思うのが普通ですよね。ことわざではありませんが『言語を習得することでその国のソウルを感じることが出来る』ということもよく言われることです」
――なるほど。ではキャリーさんは日本で初のコンサートとなりますが、日本人に対するイメージはどうですか?
キャリー・アンダーソン「芸術をとても大事にしてくれる人々だと聞いてます。アメリカでのコンサートとはまた違った経験ができると思うので楽しみです」
――『ディズニー・オン・クラシック』では毎回テーマに基づいた楽曲のセレクト、そしてアレンジがありますよね。
ブラッド「そうですね。今回で言えば“Miracle~愛が輝く時”というテーマが自然と編曲に活きてくるかもしれません。ただ、ディズニーの楽曲には常に、まほうにかかったような、夢の世界といった共通のテーマがありますから、やはりそういう世界を表現できるように常に心がけています」
――では具体的に今回のプログラムの聴き所についても教えてください。まず第1部は、ディズニーランドのテーマパークの音楽ですね。
ブラッド「数年前の『ディズニー・オン・クラシック』でもパーク音楽を特集したのですが、皆さん好きな楽曲あるでしょうし、有名で楽しく聴きやすい音楽ばかりなので、また楽しんでもらえると思いますよ。あと第1部で忘れてはいけないのが、映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』の曲です。最大の特徴はシンフォニー・オーケストラのサウンドを存分に味わってもらえるということです。やはり『ディズニー・オン・クラシック』というコンサートタイトルだけに、クラシック音楽の迫力をぜひ体験して欲しいですね。」
――『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』の映画の曲をつなぎ合せた組曲のようなかたちですか?
ブラッド「そうです。シンフォニー風の組曲のような感じですね。今回はオーケストラのプレイヤーたちのソロをフィーチャーしたものにしようと考えています。いわば“オーケストラのためのコンチェルト”。トータル16分くらいの大きなスケールの曲になります」
――コンサートの前に映画を見て、想像を膨らませるのも楽しいかもしれませんね。
そうですね。皆が映画と一緒にこの組曲を好きになってくれると嬉しいです。
――続く第2部は『美女と野獣』です。こちらは映画のストーリーをハイライト形式にしたものでしょうか?
ブラッド「皆さんが知っている『美女と野獣』の曲は全て入っていますよ!」
――ここではベル役のキャリーさんが大活躍ですね。
キャリー「ベルは私の大好きなキャラクターなので、演じることが出来てとっても嬉しいです。でも好きだからこそ難しいチャレンジともいえますね。それから第1部でも、映画『ムーラン』のリフレクションという曲を歌うので、こちらも楽しみにしてください」
――ちなみにブラッドさんが『美女と野獣』で好きなキャラクターは?
ブラッド「野獣の召使のひとりでシェフのルミエールが好きかな。僕も食べものが大好きだし(笑)。『人のためにお腹いっぱいなるまで料理を作ってあげる!』という心意気も好きですね」
――コンダクターのことをシェフといいますからピッタリですね。
ブラッド「ありがとう。『リトル・マーメイド』の「レ・ポワソン」という曲があるのですが、そこにもシェフが色々な料理をするがシーンがあって好きですよ」
――キャリーさんは『美女と野獣』の王子のような方があなたにアプローチしてきたらどうしますか?
キャリー「全く何も知らずに急に野獣がやって来たら、とっても驚くはず(笑)。でも大切なのはどうやって相手と時間を過ごし、その人のことを知ることが出来るかだと思います。でもビーストはとっても体が大きいからちょっと怖いですね(笑)」
――ブラッドさんは自分の娘さんがビーストのような彼を連れてきたらどうします?
ブラッド「ちょっと厳しい反応しちゃうかもしれませんね(笑)。自分の娘を愛するがゆえに、時には彼に対しては厳しくなることがあるかも」
――今年の日本ツアーは全部で38公演。これまでで最多ですね!
ブラッド「せっかく日本に来るなら限界までやろう!と毎回話しています。約3ヵ月ですからスケジュール的にも命一杯ギリギリの公演数になります」
――毎回、東京フィルハーモニー交響楽団のメンバーたちと長期間のツアーを行なううえで、リラックスしたり、気を引き締めたりと工夫していることはありますか?
ブラッド「『ディズニー・オン・クラシック』は、楽曲がとても難しいので、まず飽きることがありません。一人ひとりのメンバーが担っているポイントも非常に重要ですし。他のコンサートでは一度リハーサルをすると、それを最後まで続けていくことが多いのですが。『ディズニー・オン・クラシック』では、毎回リハーサルをして新しいものを作るために色々変化を加えているんですよ。東京フィルのメンバーは非常に向上心が強いので、いつも音楽が新しく生まれ変わるような心持ちで演奏することができます」
キャリー「昔『マンマ・ミーア!』という舞台で、3年間ずっと同じ役を続けたことがあります。もちろん毎回同じステージですし、コンディションが優れないときもありました。けれど観に来てくださるお客様にとっては、それが初めてかもしれない。最後かもしれない。高いお金を払ってコンサートを観に来てくださるお客様のことを考えれば、すぐに気持ちが切り替わって、私には良いショーをみせる責任がある!という思いで臨んでいます。あとは私はやっぱり歌うことが大好きなので、音楽が始まってしまえば、もう止めることはできませんよ(笑)」
――日本でのとっても長いツアー。期間中に行ってみたいところはありますか?
ブラッド「各地の歴史的な名所にはもちろん行ってみたいです。あとはツアーのメンバーにアウトドア好きがいるので、皆で外でリラックスするのもいいですね」
――それでは最後に日本のファンにメッセージを。
キャリー「皆さんには日常のことを忘れ、リラックスして楽しんでもらいたいです。ぜひ私たちのメッセージを受け取ってもらえればと思います」
ブラッド「今回で8回目になりますが、ずっと足を運んでくれている熱いファンの皆さん。また今年もぜひ最新版の『ディズニー・オン・クラシック』を観に来てください! そしてディズニーが好きな方、また素晴らしい音楽が好きな方にも、今回こそ運命の機会だと思って、ぜひ足を運んでみてください」