── 今回のアルバムはデビューから発表された300曲以上の中から、ファンの方からのリクエストも受けての選曲だったそうですね。
「デビュー25周年にちなんで25曲をピックアップしよう、となりまして。私にとって自分の作った曲は自分の子供のように愛おしいものなので、ベストアルバムに入れられないものがたくさんあるというのは非常に後ろ髪引かれる思いだったんですけれども。ウェブ上でリクエストを募って、その意見も参考にさせていただいたことと、過去の集大成のベストアルバムではなくて、これからのベストアルバムという気持ちで作りたかったんですね。なので、これまで親しんでもらった曲や、ありがとうという気持ちだけでなく、これからこの曲よろしくね、という曲も入れたかったのです。これまでCDに入ったままライブで弾くことのなかった曲もこれから育てていこうと思い選曲しました」
── 曲順を決めるのも大変だったのではないですか?
「私の中で決まっていたコンセプトは『微笑みの鐘』という新曲が、今回一番伝えたかったメッセージです。微笑みをもたらす鐘が日本中世界中に響きますようにという思いで作った曲なんですね」
── これは震災後に作られた曲ですか?
「そうです。自分がピアノで何を届けられるか、音でひとりでも多くの人に笑顔を届けたい、という思いから『微笑みの鐘』のメロディーが生まれたんです。なのでこの曲は一番、今私が伝えたい曲として1曲目にしました」
── 西村さんのピアノは語りかけるように響きますね。
「私にとって曲を作ることは語りなんです。言葉より先にメロディーが浮かぶんですよね」
── 美しくて優しい音色なんですが、強さも感じますね。
「ピアノというと優しいというイメージがあると思うんですけれども、優しくいるためにはしっかりした芯の強さが必要だと思っています」
──コンサートでの朗読のコーナーも定着していますね。
「子供たちにもすごく喜ばれますね。子供たちの感性が豊かだなと思うのが、音でも情景を思い浮かべてくれるし、「ピアノの音を聞いて、優しい気持ちになれたので、今日帰ったらお母さんに優しくしてあげます」とか、自分の環境に当てはめて感じてくれているんですよね。私のほうが本当に力をもらいますね」
── 震災で失われたピアノを被災地へ届けようという<スマイルピアノ500>という活動もされていますが、被災地の小中学校へのコンサートもされたそうですね。
「はい。街の様子はまだ瓦礫だらけ、子供たちが遊んでいた運動場に仮設住宅が並んでいたり、目の前にまだまだ惨状が残っている状態なんですね。でも子供たちは私の姿が現れた瞬間に「ピアノの人がきた~!」って駆け寄ってきてくれて。家族を失って笑うことができなくなっていた子もいたんですけれども、私がピアノを弾いたり、リズム遊びをしたりすることで笑顔を取り戻してくれて、すごくはしゃいで賑やかな時間を過ごすことができました。「つらいことばっかりだったけど、久しぶりに西村さんのピアノで笑うことができました」と言っていただいて、私自身がピアノの持つ力を再認識させられた感じです」
── 9月からツアーも始まりますね。
「今回の震災で東北だけでなく日本中の人がいろいろ思うところもあるでしょうし、直接被災されてなくても心を痛めておられる方も多いと思うので、みんなで笑顔になれる楽しいライブにしたいというのがテーマですね。今年はおかげさまで25周年ということで、いつもよりスペシャルな華やかで楽しいライブにしたいなと思います」
── では、みなさんにメッセージを!
「コンサート会場では<スマイルピアノ500>の募金箱も設置する予定です。ピアノのコンサートって難しそうとか、緊張すると思われている方も多いと思いますが、気楽に楽しめるコンサートなので、ぜひお越し下さい」