――元々、HICKSVILLEの3人と片寄さんはロッテンハッツで一緒に活動していた間柄ですよね。これまでこういった形で対バンする機会はなかったと思うのですが、今回一緒にやろうとなった経緯というのは?
片寄明人 「前々から会う度に、みんなでやりたいねって話はしていたんですけどね」
木暮晋也 「ちょっと前に『にほんのうた』っていう企画があって、一緒にやったんだよね」
片寄 「そうそう。坂本龍一さんのレーベル“commons”でやっている『にほんのうた』っていう企画があって、それに真城と木暮くんと僕の三人で瀧廉太郎さんの『花』をカバーして。一緒に歌って演奏するのは、久々だったんだよね。それが楽しくて、またHICKSVILLEとChocolat&Akitoで一緒に何かやりたいねって話にはなったんだよ」
木暮 「なったね。なったけど、話はすぐには進まなくて(笑)。そうこうしているうちにTwitterに片寄が登場してきて、僕はちょっと前にTwitterは始めてたんだけど。それで、Twitterを通して連絡をもらって、そこから具体的に話を進めようってなったんだよね」
真城めぐみ 「HICKSVILLEなんて、バンドを解散してると思われてたから(笑)。でもTwitterで、“まだ、やってたんだ”なんてコメントもあって、ここのところライブもちょこちょこやってたから、その流れもあってできたらいいなって」
――『にほんのうた』で、片寄さん真城さん木暮さんの3人が集まったきっかけは何だったんですか?
片寄 「その企画をやっていたひとりが、ショコラの事務所の社長さんで、ロッテンハッツの大ファンだったんだよ。それで、『真城と僕で歌ってくれない?』って、話があって」
真城 「そうだったんだ。ありがたいね」
片寄 「それで木暮くんも呼んでオケを作ったら、楽しいかなと思って声をかけたのがきっかけなんだよ」
――『にほんのうた』のライブもやられてましたよね?
真城 「やったね。それもすごい楽しかったよね」
――久々に一緒に音を鳴らして、どうでしたか?
木暮 「それまで片寄にはあんまり会ってなかったから、それがなかったら今回のライブの話にもならなかったかなって思うよね」
中森泰弘 「やっぱり顔を合わせないとね」
片寄 「久々に一緒にやったレコーディングもめちゃめちゃスムーズだったしね。木暮くんのギターも上手くなってた(笑)」
真城 「木暮っち、ロッテンハッツ解散後フィッシュマンズのサポートやって、鍛えられたんだよ(笑)」
――ロッテンハッツ解散が’94年。その後、ロッテンハッツは、GREAT3とHICSVILLEに分かれたわけですが、一緒にライブをしたことはあったんですか?
真城 「1回だけ、パワーステーションでライブしたことがあったよね」
片寄 「別にアンコールで一緒にやるわけでもない、ただの対バンって感じでね」
木暮 「あの時は解散して3年くらいは経ってたんだけど、今考えると楽屋はピリピリしてたかなと思うね」
真城 「楽屋がひとつしかなくてね。険悪ってことではないけど、何を話していいかわからない感じだったな」
中森 「さすがにあの時は、ロッテンハッツの曲を一緒にやろうとは思わなかったよね」
木暮 「当時は、もう一緒にやることはないって思ってたからね。一緒にやることがないから分裂したと思うし(笑)。今はやっと、そういう時期が来たのかなって思うね」
片寄 「人生は巡るものだなと思うよ。何より、6人全員がずっと続けていることがすごいかなと思うよね」
木暮 「最近、それを周りからよく言われる。ロッテンハッツだったメンバーは、みんな音楽を続けてるねって」
――ロッテンハッツが活動していた当時、ロッテンハッツの音楽っていうのは、他にはないサウンドでしたよね。新鮮というか斬新というか・・・・・・。
真城 「浮いていたというか(笑)」
木暮 「全然空気が読めてなかったね、僕らのバンドは(笑)。当時、流行ってた音楽をメンバーが誰も聴いてなかったんだよね」
片寄 「ストーン・ローゼズすら、リアルタイムで聴いてないんだよね」
木暮 「だよね。ロッテンハッツが懸命にがんばろうとしていた時期って、空前のマンチェスター・ブームだったんだよ」
真城 「我々は真逆行ってたもんね(笑)」
片寄 「ロッテンハッツは、出てきたころはわりとネオアコに分類されてたんだよ。フリッパーズとかブリッジとか、あの辺と仲良かったんだよね。その中に、アメリカン・テイストというかオールドタイムなことをしている僕らが何故か混ざっているっていう」
真城 「アコギを使っていたから、ネオアコに分類されてたっていう(笑)」
片寄 「そういうことだったんだろうね(笑)。最初のライブは、英国音楽っていう雑誌の企画ライブで、木暮くんと僕でふたりで出たんだよ」
――そのころは確か、“ソウルジュテーム”って名乗ってたんですよね?
片寄 「そうそう(笑)」
木暮 「片寄が提案してきたのが、“ソウルジュテーム”で。正直、それはキツイなって思って(笑)」
片寄 「(笑)。ロッテンハッツは、木暮くんが付けたんだよね。ロバート・ワイアットの『オールド・ロッテンハット』っていうアルバムからとって。でも、なかなか覚えてもらえないバンド名だったね。ロックンハッツとか挙句の果てには十返舎一九って言われたり(笑)」
中森 「ポッテントットっていうのもあったね」
真城 「その点、GREAT3はよく出来たバンド名だよね」
片寄 「それはロッテンハッツの反省を活かして、わかりやすいのにしようと思ったんだよ」
――Chocolatさんは、ファースト・アルバム『one too many chacolat』でロッテンハッツの『NO REGRETS』のカバーをされていますよね?
Chocolat 「そうなんですよ。本当に真っ直ぐでピュアでいい曲で大好きな1曲ですね」
――Chocolatさんから聴いた、ロッテンハッツの音楽のイメージは?
Chocolat 「フェアグランド・アトラクションとかカクテルズっぽい感じ。サバンナ・バンド的な、コンセプトがひとつあっていい音楽を鳴らしていて見ていて楽しいバンドは好きなんですよ。ロッテンハッツは、そういうバンドのイメージですね。だから、今回すごく楽しみです。あと6人が全員歌えるっていうものすごいですよね」
真城 「木暮っちは、そんなに歌ってなかったけどね(笑)。あの頃のレコーディングは、プロトゥールスとかないから、コーラスは千本ノックみたいにやったよ(笑)。その分、ライブでも上手くなっていったけどね」
――ロッテンハッツの音楽って、今聴いても80年代~90年代初頭の匂いがしないというか、今新しいバンドが出てきて鳴らしているって言われても違和感がないと思うんですよ。
Chocolat 「やってることとか音楽性とか、私もそう思います」
片寄 「そう思ってもらえるといいですけどね」
真城 「そういう意味では、歌詞とかも寒くないと思う」
Chocolat 「それ大事ですね」
片寄 「木暮くんもそうだけど、ソングライティングとかずっと変わってないよね」
木暮 「ロッテンハッツをやるまで、変なことやってたからね(笑)。それまでみんな、ライブハウスで60’sっぽいバンドが好きだったり、サイケデリックなバンドとかやったりしてたから。それを終えて集まったから、ロッテンハッツはいい感じで馴染んだんだろうね」
片寄 「ロッテンハッツを始めた時は、王道じゃないけど、ポップスをやりたいなと思ってたんだよね」
――今のお互いの音楽性やスタイルって、それぞれどういう風に感じますか?
片寄 「HICKSVILLEは、随分ライブを観れてないんだよ」
真城 「全然進化してないよ、むしろ退化してる(笑)」
片寄 「(笑)。でも、ずっと続けているのがすごいよ」
真城 「Chocolat&Akitoは、会う度に夫婦なんだなって思うんだよね(笑)」
木暮 「最初から、ずっと一緒にやっているような。セットに見えるよ」
片寄・Chocolat 「ありがとうございます(照笑)」
――今回はまさかの、ありそうでなかったカップリング・ライブですね。
片寄 「そうですね」
真城 「よかったんじゃない。お正月明けに出来てね」
片寄 「せっかくだから、ロッテンハッツの曲もやろうと考えてますよ」
真城 「再現できるか心配(笑)」
木暮 「なんかちょっと不安なんだけど(笑)」
――会場に集まるみなさんは、セッションを期待してますよ、きっと。
木暮 「早くやる曲決めないとね」
真城 「下手したら、子育て一段落みたいな人も来てくれるんじゃないかと思うよね。だから、期待を裏切らないようにしないとね」
片寄 「ロッテンハッツのファンは、GREAT3は聴いてくれていない気がするんだよね。ロッテンハッツとGREAT3は、音楽性が結構変わったから。HICKSVILLEは、どちらかというとロッテンハッツの流れを汲んでいたから。だから、当時聴いてくれていたような人が来てくれたら嬉しいですね」
木暮 「僕らもGREAT3しか知らないっていう人にも、観てもらえるいい機会かなと」
――そして、今回のライブ会場では、ライブ以外にもお楽しみがあるんですよね。Chocolatさんが企画をされているとか?
Chocolat 「真城さんの愛犬バッカさんがすごく可愛いんです! そのバッカさんをプリントしたファブリック・グッズ、クッションとかを販売させていただこうかと思っています」 真城 「嬉しい! ありがとうございます(笑)」
――バッカさんグッズは、ホームページなどでの販売はないので、今回のライブ会場でしか購入できないんですよね?
Chocolat 「そうなんです。ここでしか買えませんので、いらっしゃるみなさんは、こちらも楽しみにしていてください」
――では、最後にみなさんからひと言づつ当日に向けてのメッセージをお願いします。
中森 「前々からChocolat&Akitoと一緒にやってみたかったライブが、やっと実現できたので、楽しめたらいいなと思います」
真城 「最近はHICKSVILLEのライブが増えて自分達的に盛り上がってきています。ロッテンハッツの楽曲も今の自分達でやったらどうなるかっていうのも楽しみで、その辺を期待して来てくれたらなと思います」
Chocolat 「HICKSVILLEのライブは、久しぶりなので楽しみにしています。それから、自分達のライブも最近5人編成になって、自分もワクワクしています。あと、ロッテンハッツの曲を生で聴くのも初めてなので、この日はめちゃめちゃ楽しみです」
片寄 「楽しみですね。長く活動するもんだなって感じますね」
真城 「曲に罪はないですからね(笑)。楽曲は、やってあげないとかわいそう」
片寄 「そうですね。随分長く歌ってない曲がたくさんあるのは、真城が言ったように勿体ないことだなと思うので、それを出来るのは楽しみ。それにつきますね」
木暮 「今回は、ロッテンハッツの部分はすごく楽しみですね。今、ロッテンの曲をやって、どういう風に響くのか興味があります」