――<Dezille Brothers>っていうバンド名は、どなたの発案だったんですか? <出汁(だし)>っていう由来が、ものすごくインパクトあるなぁと(笑)。
椎名「この名前の前は<椎名純平&The Soul Force>っていう名前でやってたんですけど、今回はバンドでいこうよってことになって、じゃあ名前をどうするってなったときにいっぺんみんなで集まって色々考えたんです。そのときに、ドラムの白根(白根佳尚)が出したのがこれだったんです。……………(沈黙)。話、思いっきりはしょりましたね」
SWING-O「(笑)もうちょっと膨らましたほうがいいんじゃない?」
竹内「(笑)じゃあ、俺が! バンドでやるなら、<椎名純平>は取ろうよと。じゃあ<The Soul Force>なのかって考えると、そんなパンチのないバンド名でいいのかみたいな話になり、なんかもっとパンチのある、言い方は悪いけどもうちょっとダサいバンド名にしようよって話になったんですよね。色んなバンド名が並んだときに、<なんだこのバンド名!?>ってなるような。最初、俺、<SOULの王将>って言ったんですけど(笑)」
――(笑)餃子の美味しいお店のような。そうならなくて良かったかな、と……。
SWING-O「(笑)アルバムタイトルも彼(白根)の発案で。バンド名の候補で思い出したのが、<すいか泥棒>とかなんとか……」
椎名「<悶々クレイジー>、<悶々コズミックバンド>っていうのもありましたね」
竹内「(笑)その中に、<Dezille Brothers>があって……。<Dezille>っていいよね、俺らの<出汁(だし)>が出てるみたいだし、って。<ファンク汁>が出てるみたいな感じで、いいねいいねって」
――(笑)もう本っ当に、名は体を表してますよね。めちゃくちゃファンキーで、グルーヴィーなサウンドで。椎名さんは、オフィシャルサイトのインタビューで、自身が嗜好する音楽について<生音のファンクを感じさせる音楽>っていう表現をされていました。
椎名「そうですね。僕がそもそも、<生>のほうが好きなんです。打ち込みが嫌だとかそういうことでは全然ないんですけど、僕が欲しい感じはやっぱり<生>でやるほうがいいなっていう。それに、ちょっと話それるんですけど……。今回このアルバムを作ってた中で、メンバーと曲を一緒に作るっていう共同作業をやったんですね。そういうのって、やっぱり、ひとりでやってると出てこないようなものがお互い出てきたりするんですよね。極端な話、バンドって、なんかそういう人と人の化学変化みたいなところがあって」
――そういう化学変化も、人と人が反応し合うっていう<生>なやり取りから生まれるものですね。音からも、レコーディング現場はすごく良い雰囲気だったんだろうなっていう感じが伝わってきますし。
SWING-O「それはもう、間違いないですね。今回、こういうバンドとしての形式でやるのは初めてでしたけど、元々セッションだったり、色んな現場も共にしてきたわけですから。でも、いよいよ曲が仕上げだなっていうときに、ちゃぶ台ひっくり返すヤツがいたり……(視線は竹内のほうへ)」
椎名「だいぶ根にもたれてますね!」
竹内「アーッハッハッハッハッハ!(ひたすら苦笑&爆笑)」
SWING-O「(笑)でも、そういうアイデアにいざ乗っかってみると、面白くて。僕の想定とはちょっと違う形だけどさらに面白い形が出来ましたよね。基本、<笑っていたい>感じの人達なんで、メンバー全員が。だから、楽しい中にも、そういうクリエイティブな部分での、良い意味でのぶつかり合いもしたうえで完成したアルバムだと思います」
竹内「メンバーみんなスキルも経験もあるから、どんなふうにも行けるんですよ。逆に言うと、そこが結構怖いところでもあるんだけど……。色んなことをやり過ぎて、アルバムとしてとっ散らかっちゃう危険性もあるっていうところで。でも、そこでSWING-Oが、<バンド感>を出せたうえでのバラエティーさを作ろうよみたいな感じでまとめてくれて。一発録りで、ベーシックを良いものに出来たうえに、<良いほうに転ぶな!>っていうアイデアをぶつけてみるっていうプラスアルファを狙うこともできたというか」
――そういう作業が出来るのは、皆さんのスキルがあってこそですよね。メンバーの皆さんは、キャリアもテクニックも超本格的な方がたばかりですけど……。これだけ本格的な音を出している人たちが、さっきのバンド名の由来からも分かると思うんですが(笑)、こんなに遊び心豊かな音楽を作っているっていうのも興味深いんです。
竹内「そこ、大事だよね!」
椎名「重要ですね! こういう音楽って、例えばいわゆるR&Bだとかそういうのって、やってる国が国なら上半身裸で<(ファンから)キャーッ!>とか言われるようなタイプの音楽だし。<こっちにおいで、ベイビー!>みたいな感じも、上手く日本化することは可能ではあると思うんですけど……。<こっちにおいで、ベイビー!>な感じをそういう人たちと同じようにやってたって勝てねぇぞ、っていう。だったら違う土俵で勝負するべきだしって思っていたのがひとつと、これはダンス☆マン(6曲目「アフロガール」を提供)さんに言われた話なんですけど……。日本でブラックミュージックをやってるようなバンドって、なんか、<笑い>が足りないと。ブラックミュージックってそもそもユーモアと結構切り離せないところがあるし、ヒップホップとかにしても、シリアスなメッセージがある一方で、ちょっとニヤッとさせられるような要素があったり。日本では、そっちの要素をちゃんとやってる人達ってそういないんじゃないかなと。そういうところにきっちり向き合いたいなと思っていたのは、ありますね」
――サウンドは超本格的でも、一見さんお断り的な敷居の高さはないっていう。そういうユーモアセンスがあったりすると、こういう音楽を聴いたことが無い人もすんなり入れて楽しんでもらえそうな気がします。
椎名「だと嬉しいです。僕らがそういう人だからそういう歌詞だし、そういう音になるのかなっていうのは感じますね。本質的にみんな<人好き>だし、<人懐っこい>し。それに、小難しいっていうか、<上手い!>みたいな感じは、このプレイヤーたちならみんないつでもできると思うんです。だけど、それは……」
竹内「そう。<俺、上手いぜ!>みたいなの、絶対、俺やらねぇ(笑)。そんなんダメっすよ! だって、やっぱここは日本なんだし。一般の人っていうか、音楽がちんぷんかんぷんな人にこそ伝わって欲しいっていうのは、俺は常日頃思ってるんで。だから、カッコつけるっていうよりかは、そのカッコつけるパワーをバカするほうに向けたいので」
椎名「ていう竹ちゃんの考え方は、結構、Dezille~の考え方そのものな気がしますね」
SWING-O「僕も、そこらへんを歩いている人も気になるようなバンドでありたいと思ってるし、例えばフェスなら、他のバンドが目当てだった人がウチを観て<何これ!>ってなってくれるところまで行きたいし。そういうエンターテインメントであり、ライブではそれにさらなるマジックを起こしていける空間っていうのを作っていけたら良いなっていう。ブラックミュージックファンにはすでに伝わるものが出来てると思うので、より一般の人に伝えるにはまだまだ色々できると思うので。だから、僕の中でこのアルバムは、フェスも含めてもっとライブに呼んでね! っていう名刺代わりみたいな作品ですね」