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チケットぴあインタビュー

堂島孝平×佐野元春

堂島孝平×佐野元春
2005年12月、堂島孝平が主催するイベント『SKYDRIVERS HIGH TOUR 2005』に、再び佐野元春が登場する。90年代『THIS』というイベントで、若い世代のミュージシャンを集め、コラボレートし続けてきた佐野元春。昨年2月、佐野は20歳年下の堂島が主催する中野サンプラザでのイベントに初めて招かれ、競演した。それ以来、佐野は『COUNTDOWN JAPAN 04/05』『ap bank fes'05』など、新しいオーディエンスの前に積極的に現れ、演奏し続けている。

佐野「ポップ音楽というのは世代ごとに完結しがちで、20年間僕は自分のファンだけのためだけに一生懸命だった。今は、僕のほうから、僕の新しい音楽を聴いてくれる人を探しに行きたいんだよね。それをまだまだ、もっともっとやってみたいと思っているんだよね」

堂島「それは最高にかっこいいですね」

佐野「堂島君のファンは、堂島君以外の音楽でも、楽しむことを知っている人たちで、僕が出て行っても何の違和感もなく、やりやすかった」

堂島「それはたぶん、僕が昔、佐野さんのライブに行って教えてもらったことを、僕がステージに立って伝える側になって、同じマインドや肌触りとかを、お客さんに知ってもらっているからだと思いますね」

佐野「初めて堂島君の音楽を聴いた時、大滝詠一さんのカバーをやっていた。2つも3つも下の世代なのに、大滝さんの普遍的な楽曲が、世代を越えて歌い継がれているのは、素晴らしいなと思いましたね」

堂島「僕が佐野さんの音楽を初めて生で聴いたのは92年か93年頃で、ちょうど自分が10代の多感な時に、リアルタイムに『スウィート16』を聴いた世代なんですよね」

佐野「僕も音楽をやっていて、いろいろな世代に聴いてもらいたいというのは夢ですからね。それを堂島君がかなえてくれた」

堂島「佐野さんの音楽って、決して懐メロに聴こえないんですよ。それが凄いことだと思う。だから『80年代の佐野さんが好きなんで一緒に演ってください!』というのとは違うんですよね」

佐野「ステージで昔の曲をやっても、古い曲をやってる感じがしない。今夜のオーディエンスが喜んでくれるだろう曲を、深く考えずに選んで演っている」

堂島「佐野さんが『今日は僕の懐かしい曲をやっているけど、昔を懐かしむためでなくて、今を楽しみたくてやっている』と言ったら、その瞬間、お客さんが『わー!』って大喜びで。本番のその場でぱっと言えるのは、いつもそう思っているから伝えられるんだなぁと。このイベントやってよかったなと思いました」

2年前の初競演で、堂島は『ガラスのジェネレーション』『SOMEDAY』『アンジェリーナ』など、佐野の初期の代表曲を中心に選んだ。

佐野「思い切り僕の曲のポップ・チューンが並んでいるよね。僕の曲には他にもロックンロールとかいろいろなタイプがあるけど、普段こんなポップ・チューンばかりの選曲は自分のコンサートでもあまりやらないから…」

堂島「いや、本当にないと思いますよ」

佐野「だから『これは面白くなりそうだ』と自分もわくわくしたんだよね。」

堂島「あえて、普段の佐野さんだったらやらないことをやるのが、ここでしか見られない佐野さんの姿を見られるのが、イベントの意味があるかなと。佐野さんのファンも、初めての人もみんなお客さんは嬉しそうでしたねー。」

佐野「ポップ・チューンを演奏する時は、お客さんの自然な笑顔を見られるのが一番嬉しいよね。」

今回、全国4ヶ所を廻るツアーに備えて、堂島は、今回のメンバーである八ツ橋義幸(G/Belfast)、tatsu(B/LA-PPISCH)、渡辺シュンスケ(Key/cafelon)、小松シゲル(Ds/NONA REEVES)、大森はじめ(Per/東京スカパラダイスオーケストラ)、加藤雄一郎(Sax/natsumen)と、リハーサルを重ねてきた。

堂島「リハやってて、佐野さんの曲は転調したり、1番と2番がちょっとずつ展開違うとか、みんなリハの時にテンパるんですよ…(笑)」

佐野「ああ、それはバンド泣かせだよね(笑)」

堂島「今回11曲くらい練習していて、前回の曲に加え、僕が好きな『スウィート16』の曲が増えてます」

佐野「僕の見解では、1回目を上回るポップ曲の塊ですよ」

堂島「なかなかない、と思いますよ」

佐野「先輩後輩という意識はないです。ポップ音楽が好きな仲間に呼ばれて歌う。世代は違ってもポップ音楽が好きという感覚を共有できる仲間たちに呼ばれて歌いに行く、というのが素晴らしい」

堂島「たくさんのミュージシャンも観に来てくれそうな気がします」

東京・大阪公演には、スペシャル・ゲストとして、東京スカパラダイスオーケストラから茂木欣一(Ds)とGAMO(Sax)のふたりが参加する。

佐野「前回の中野サンプラザはドラムスが欣ちゃんだったね。彼がスカパラのメンバーになる前、フィッシュマンズとして『THIS』に出ていて、今は堂島君のバンドメンバーとしても叩いていて、そのイベントに僕が出て歌う。欣ちゃんはザ・ハートランドのメンバーだった古田たかしのドラムを完コピしていて、僕は歌いながら若い頃の古田がいる錯覚に陥るほど、驚異的にばっちりなんですよね。今回NONA REEVESの小松君がドラムだけど、彼は今回の僕の新作「星の下 路の上」でも叩いてくれていて、彼らも堂島君に負けないポップ・チューンを歌っている。ポップ音楽つながりって、確実にあるんだなってことを知ることができた。僕は常にこの世代で突っ走っていてあまり周りが見えないし、つながりがどこにあるのか意識してなかった。僕がずっと自分の存在が点のようなもので、他とつながってるかわからなかった。堂島君がやってきて、こんなふうにつながっているって、教えてくれましたね」

堂島「僕も。佐野さんとの出会いのきっかけになった、数年前のザ・ハートランドの再結成イベントに呼んでくれたのが杉真理さんだったりして…」

佐野「僕のコピーをしている若者がいるって聞いて、『無謀だな』って思った」

堂島「それ、面白いから、ライブで言ってください(笑)」

佐野「その時、堂島君が『スターダスト・キッズ』を歌いだして。あ、いま僕が歌う『スターダスト・キッズ』よりこっちがいいな」と思って、はっと目が覚めさせられた一瞬がありました。そういう人が今までいなかったから。理屈じゃないんだよね、世代でも年代でもない。ポップな感覚を分かち合う仲間たちが、ミュージシャンにも聴き手にもいて、それが集まったらすごい場になるよね。ポップという感覚を遊べるかという部分だと。このライブは、その辺の素敵な感じを知ってる人が集まるんじゃないかな」

堂島「あの…、僕は来年2月で30歳になるんですけど、佐野さんは、30歳の頃どんなこと考えてました?」

佐野「30歳の時は『Time Out』というアルバムを作っていたね。日本はバブルのピークに達しようとしてやけにピカピカな時代で、音楽もやけに金ピカになっていって、その世の中に「ちょっと待った」っていうメッセージで、バンドメンバーだけでのしょぼくれたサウンドを出してた。90年代になってファンも『いったいどうしたんだ?』って思ったよね。そんな頃、もう一つ下の世代でバンドでデビューする人たちがいっぱい出てきた。僕は同世代のミュージシャンより、彼らにライバル心を持つようになった。その後にバンドブームが来たわけだけど。僕はいつも目の前のものに斜に構える癖があるんだよね。まあ、20代から30代になる時は心も揺れ動くから」

堂島「僕も底抜けにポップな曲をやる人たちでいうと、同世代ではなく下の世代が気になる。初めて買った佐野さんのアルバムが『Time Out』で、大好きなんです。今回の選曲を考えていて、最初は『Time Out』からの曲も入れていたんですが、とてもシンプルで今の自分とリンクする気分があるなと…」

佐野「それは同じ年に作ったからだよね」

堂島「すごくそれで気持ちが紐解かれました。納得できすぎて気味悪いくらいですけど…」

佐野「本当の大人は「僕は大人になった」とは言わないよね。まぁ子供だったんだよなと」

堂島「うーん、さらに楽しみになってきました。素敵なイベントになると思いますね」

佐野「ポップっていうのは一種の洒落っ気だからね。10代の連中でも持っている奴、持ってない奴もいる。60代で僕より上の人でも持っている人もいる。その感覚を持ってる人の集まりにしたいよね、それはかっこいいと思う」

堂島「まったくもってその通りですね。それがまさに言いたかった(笑)」


取材・文 ぴあ

堂島孝平×佐野元春

堂島孝平×佐野元春(写真)

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