──解散から3ヶ月ほど経過しましたが、今振り返ってみてどういう思いがありますか?
「当時はいろんな感情があったけど、時間が経つにつれあれで良かったんじゃないかなと思います。
ファンの人にはすごい驚きだったと思うけど、もともとPIERROTってバンドは、セールスだったりライブの動員だったりで好き勝手にやってきた。
突然終わるっていうのも、へんに落ち目になってフェイドアウトして終わるっていうより、なぜそこで?っていうタイミングでさらっと終わってしまう感じだよね。
あれはあれで最後まで貫いて“らしい”なって思いますね。」
──そんな中、シングル「DECIDE」がリリースされます。これは、事実上のラスト・ライブとなった日比谷野外音楽堂を彷彿させる内容になってますね。
「けじめとして、第1歩を考えた時に、まず過去から逃げたくないなって。
バンドが解散してガラっと変わって、それまでの過去を否定して、何事もなかったように、別人のように売れ線狙いのポップシンガーにはなりませんから(笑)。
そういうことはやろうとしても出来ない人間なんで。
キリトっていう人間が、バンド解散という大きな出来事を経て、第1歩目がどういう形で出るかってところで、絶対そこは自分の考えは曲げられなかった。
多くの人が過去の傷から逃げたり避けて通っていくようなことも、やっぱり長年PIERROTってバンドで、キリトっていう人の生き方を見てきた人にとっては、それはキリトのやり方じゃない。
傷は傷で隠すどころか、それを武器にするぐらいのあざといやつなんですよ。あざといっていうかしぶといっていうか。」
──歌詞のみならず、サウンド面でもヘビーですよね。だけど、悲壮感だけで終わらなく、開けていく感じ。
「傷をほじくり返すようなまねをしたけど、なんでそれをしたかっていうところに意味がないと駄目だから。
単に晒し者にして嘆きで終わるのも嫌だし、自暴自棄で終わる曲を作ってもしょうがない。
自分もそうだし、聞いた人もそうだけど、その傷と向き合うことで、本当の意味で前に進めるっていうことにしないと意味がない。」
──今までのソロ活動のスタンスとして、歌を聞かせるという面があったと思うのですけど、バンドが解散したことによって、そのスタンスに変更はあるのでしょうか?
「もちろん歌ありきではあります。ただ、意識的には使い分けてはいないとはいえ、やっぱり自分の中でこっちの要素はバンドにみたいな、そういう住み分けはあったと思う。
だけど、今はバンドがなくてキリトっていう名義だけでやることになった。今回の「DECIDE」に関して、シングル決める時に、メーカーの人だったりスタッフの人だったり、自分の周りには全部話しましたよ。
もうスタンスが違うんだ。本当にこれが新しいキリトしての第1歩だから、それまでとはまるで次元が違うものだと思って欲しい。そこはバンドで11年間ずっと自分の考えで貫いてきたから、とにかく妥協したくない。当然、結果は出さなくちゃいけないけど、結果の出し方が問題なんだと。そこは作品だったり活動スタンスに関しては譲れないものがある。自分のやり方を貫いた上で、妥協しないで、自分のスタンスも貫き、そして結果も出す。今まで自分がバンドでやってきた、そして貫いて出してきた結果を、僕はもうキリトっていう名義で全部実践していかなくちゃいけない。この曲はわりとヘビーな曲だし、前回の「TEAR」と違って、入り込みずらい部分があるかもしれないんだけど、違うんだと。それでも分かってくれる人は絶対いるから、パッと聞きポップじゃなくても大丈夫だと。」
──リリース後、ツアーがもうすぐ始まりますが、どんな内容になると思いますか?
「去年のツアーを観た人はびっくりするぐらい全然空気感が違う。
去年は1stツアーっていうのがあって、手探りの状態でスタイルを作っていたから、初日はどういう感じなんだろって自分でもビジョンが湧かなくて。やってみて掴んでった感じがあって、ファイナルにはひとつのスタイルが出来たと思う。すごい音楽を楽しんでいるスタンスというか。それが見てる人には新鮮だったということもある。ただ、PIERROTのキリトっていうのは別人だったりするんで。ものすごく張り詰めた緊張感だったり、完成された世界観だったり、ストイックに作っていくことがあったと思うけど、今は全部込みですよね。」
──やはりファンの中にはいろいろ不安に思っている人もいると思うんですよね。そんな人たちに何か言えることがあれば聞かせてください。
「今年はいろいろあった激動の年ですが、昔から歌詞の中でいつも取り入れてたメッセージとして現実に立ち向かえる強さをもった部分というのがあったから、それをまさに自分自身が体現してる状態。昔から言ってる通りなんだよっていうのを、今度は自分が活動スタンスそのままで見せ付けていくと思う。キリトっていう単体の人間は、バンド以上に何してかすか分からんよって。
驚かす意味じゃなくて、楽しんでもらえる領域で安心させませんよ。」
──それと、気になる今後についてもちょっと伺いたいんですが、バンドを作るというお話も聞いてますが。
「発表する時はドカーンと発表するつもりなんですが(笑)。
そうですね、バンドはやろうと思ってます。どういうものになるかは、いろいろ期待を膨らませて予測しといてください。ただ言えるのは、ご心配なく、絶対悪い意味で間違えたりするわけがないでしょう、と。」
──そんな今後も含め、いろいろ楽しみにさせて頂きます。では最後に、名古屋のライブを楽しみにしてる人たちに対して一言お願いします!
「新しい第1歩なんで、ゼロから始めようと思っています。名古屋の人は観る目が厳しいと思うから、前回のソロツアーで名古屋に来た時はすごい盛り上がってくれたけど、それとは全然別の意味で第1歩だと思う。だから全然シビアな目で観てもらっても構わないし、それで結構。でもその厳しい目に応える自信もあるし、驚かせる自信もあるんで。それに、今回のツアーはいろいろ挑戦したい。自分を未知なる部分に放り込もうと思っています。」
取材・文:小坂井友美(ぴあ編集部)