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チケットぴあインタビュー

村田和人

村田和人
80年代、「一本の音楽」でブレイクした村田和人。ソロ活動と並行し、山下達郎のアルバムやツアーにも参加。90年代、サザンオールスターズのサポートでも知られる斉藤誠、「ウイスキーが、お好きでしょ」の作曲家でもある杉真理、あるいは伊豆田洋之や鈴木雄大など、さまざまなアーティストと組み、さまざまなユニットでも活動。そして08年。自主制作アルバム『NOW RECORDING』をきっかけに村田和人の新時代が幕を開けた。

──村田和人リブート、と言えそうな活動状況ですね。


「90年代末頃からは、ニュー・アルバムも作ってなかったし、ライブもほとんどやってませんでした。なぜなら、当時は音楽学校の先生になっていたので。先生の仕事は、そもそもは週3日だったのが、ありがたいことに各方面から次々に声をかけていただいて、気がついたら月曜から土曜までの9to5になっちゃったんです。しかも、卒業生たちから個人的にレッスンして欲しいってリクエストされ、それがほぼ毎日4時間ずつ。だから、1日13時間労働。おかげで体を悪くしてしまって。その頃、音楽仲間や同世代の知人が立て続けに逝っちゃった。そんなきっかけがあったので、自分自身の事をじっくり考えたんです。そして、自分の音楽活動をもっとやろう、という気持ちが固まりました。まだ音楽をやりたかったから。で、ライブをやり始めたら、95年以来ニューアルバムを出してないのに、村田を待っててくれたお客さんが来てくれるんですよ。そのお客さん達に何かお返しをしなきゃと思って、08年の春に自主制作盤を出しました。それがめぐりめぐってユニバーサルミュージックのスタッフの耳に届いて、「うちでやりませんか」と、声をかけていただき、09年の『ずーーっと、夏。』からメジャーレーベルに復帰したという経緯です。ライブも年間100本を目指して、音楽学校の仕事を徐々に削り、一昨年は60本、去年は80本、今年はどうにか85本を達成できそうです」


──村田バンド、ソロ弾き語り、ユニット、共演など、変幻自在ですね。


「どれも楽しいですよ。ギターだけ持って一人で行く場合は、楽屋もないようなライブハウスもあります。それも面白い。楽屋がないから、開場になってお客さんが入ってきた時点で、もうすでに村田がそこにいるわけです。だから、最初に入ってきたお客さんに「どこから来たの?」と話しかけたり(笑)。話していると、お客さんが一人増え、二人増えして、話の輪も広がって行き、「この人はどこそこから来たんだって。君はどこから?」みたいな話になって。開演する頃には、全員お友達(笑)。でも、今回の『村田バンドでアルバムコンプリート・ツアー』のような場合は、そういう雰囲気とは、また違います。バンドでやる場合は、お客さんを違う次元に連れて行きたいんです。バンドでやるようなホールや、それなりの規模のライブハウスは、ステージが高いですよね。客席より一段高い。そういうときは、ステージから客席に降りて握手して回ったり、「どこから来たの?」と話したりする事を、お客さんも望んでいないんじゃないですかね。バンドでやる場合は、フレンドリーであるより颯爽としていたいですね。演奏が終わったら、日常の見えない村田のまま、ステージを去ったほうが余韻も残るし」


──村田さんにとってライブとは何ですか?


「1つは自分への喜び。曲作りも自分への音楽的喜びですけど、ある程度の時間がかかるわけですよ。作曲もレコーディングも。でも、ライブはリアルタイムな喜び。ライブをやっていると、自分の中の何かがささやくんです、「こうやろう」「ここはこうしよう」と。それに常に耳を傾けています。そして、答える、「OK」「やってみよう」と。そうすると、自分の中の何かが「Yeah!」「All Right!」と叫ぶのが聞こえる。その繰り返しです。もう1つは感謝。もうかれこれ20年以上も村田の音楽を好きで聴いてくれてる人もいるし、わざわざ遠方から足を運んでくれる人もいるわけで。その人達に「ありがとう」だけじゃ足りないって思うんですよ。だから、新曲を作り、ライブで聴いてもらう、それが村田なりの最大の感謝の表現だと思ってます。その2点ですね」


──ニュー・アルバム『ずーーっとずっと、夏。』も自分への喜びとお客さんへの感謝が両翼ですか。


「そうです。夏は、村田のテーマだし(笑)。小学校の夏休みが大好きでした。カンカン照りの日々、毎日のようにバットとグローブを持って、野球をやり、真っ黒に日焼けするのが定番で。中学や高校になると、ひと夏の経験じゃないけど、夏休みになると、何か素敵な事が起こりそうでワクワクしてたし。大学生になると、もっと素敵な事を覚えたりして(笑)。マチュアバンドでオリジナル曲をやるようになると、「村田の音楽は夏だね」「村田の音楽は風だね」と評価されるようになったんですよ。プロになってからも、別に頼んだわけじゃないのに、作詞家の方が夏の詞を書いてきてくれる。だから、80年代から夏を歌ってます。だけど、今のほうがやりたい事をやりたいままやっているかもしれませんね。だから、去年の『ずーーっと、夏。』と今回の『ずーーっとずっと、夏。』みたいな、2枚組にしても違和感のないようなアルバムも作る事ができたと思っています。バンドのツアーは12月だけど、ライブが始まったらライブハウスの中は真夏。村田のライブは常夏です(笑)」


取材・文:藤井 徹貫