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チケットぴあインタビュー

ぽこた

ぽこた
毎日、ジャンルを問わず様々な動画が数多く投稿されるサイト「ニコニコ動画」。そのニコニコ動画で人気のコンテンツのひとつが、ボーカロイド曲やアニソンなどを一般のユーザーが歌って投稿する「歌ってみた」。投稿される作品の中にはアマチュアとは思えないほどハイレベルなものも多く、そうした"歌い手"には数多くのファンがついている。最近では、そこからメジャーデビューするアーティストもいるほどで、ニコニコ動画はいわばプロミュージシャンの登竜門的な役割を担うまでになっているのだ。そんな"ニコ動発"のアーティストの一人であり、7月24日にメジャーソロデビュー2作目となるシングル「be foolish///」を発売するぽこたに話を聞いた。

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──まずはニコニコ動画に動画を投稿されたきっかけを伺います。


「最初に投稿したのは2008年。当時はまだ会社員で、25歳でした。きちんと定時で終わる会社だったので、アフター5には友だちと飲みに行ったり、資格の勉強なんかをしていたんですね。その頃に、たまたまニコニコ動画の存在を友だちから教えてもらったんです。動画を投稿できるサイトがあって、歌っている人もいるんだよと」


――当時はちょうどボーカロイドブームとあわせて「歌ってみた」が盛り上がってきた時期でしたね。


「ええ。それでニコニコ動画を見てみたら、替え歌とかモノマネで歌っている人なんかがたくさんいるという印象でした。僕は昔からGACKTさんが大好きで、声が似ていると言われることが多かったので、じゃあそれを投稿してみたらオブラートに包まない意見が聞けるんじゃないかと。それが動画投稿の最初のきっかけでしたね」


――そこから5年間、ずっと動画を投稿され続けているわけですが、ニコニコ動画の魅力はどこにあったのでしょう。


「僕はバンドで音楽をやっていたので、人に聞いてもらうことの大変さはわかっているつもりです。ニコニコ動画ならたくさんの人が聞いてくれますし、それが再生数やコメント数という数字ではっきりと見えます。知らない人が聞いてくれて、コメントしてくれることで、コミュニティが一気に広がりますよね。大人になると交友関係ってだんだん狭まっていくじゃないですか。学校だと学年で何百人もいたのに、会社や部署だともっと少なくなっていったり。それがすごく残念だなって思っていたところでニコニコ動画と出会ったんです。25年間生きてきて自分が面白いと思ったことをそこにぶつけて、俺は面白いと思うんだけど、みんなはどう思う? って検証しているような気分ですね」


――動画共有サイトですと、当時はYouTubeなどもありましたが、なぜニコニコ動画に?


「YouTubeは規模も大きかったし、海外のサービスなので、ユーザーとどうコミュニケーションをとっていいのかもわからなくて。当時のニコ動くらい規模の小さい国産サービスの方が自分の性に合っていたんです。それに僕は外で遊んでばかりいたので、PCにぜんぜん詳しくなかったんですよ。そういう初心者でも簡単に動画を投稿できるための説明がニコニコ動画は用意してくれていて、そのおかげで動画投稿が簡単だったというのもありますね」


――そうやって投稿を始めてから5年間で、メジャーデビューに至った経緯を教えていただけますか。


「ひとつのきっかけとしてあったのは会社を辞めたことですね。もう一つは、ニコニコ動画が大きくなっていく過程の中で『歌ってみた』やボーカロイドが世の中から注目されたタイミングがあって、そこでニコニコ動画の運営としては流行りものをフィーチャーしていこうという動きがあったんです。そのときに、僕が一番対外的な人間だったというのはあると思います」


――対外的というと?


「ニコニコ動画で活動されている方の中には、あまりネットの外に出たくないという人も多いんですよ。歌うにしても、あくまでニコニコ動画に投稿をしていたいだけという。その中で僕はニコニコ動画だけじゃなく、外でライブもやっていこうよというタイプだったので、オンラインとオフラインをつなげる架け橋になれたのかなと。そこからもう少し踏み込んだ話をいただいて、ライブやミュージカルへの出演などいろいろなことをやらせていただきました。でも当時は会社員だったのでどうしても活動には限界があります。じゃあ今後の話として、ソロや『√5(ルートファイブ)(※注釈)』のお話をいただき、会社を辞めてやっていこうという話になったんです」


――そこからソロデビューに至り、7月24日にはセカンドシングルとなる「be foolish///」が発売となります。ファーストシングル「タカラモノ」に続き、今回もポップな曲調の恋愛ソングですね。ぽこたさんといえばロックな楽曲でシャウトというイメージを持つファンも多いのではと思いますが。


「それについては、そもそもの話からさせてください。人って何かをしたときに褒められて嬉しかったという経験が原動力になったりしますよね。僕の場合はそれが歌だったんです。最初は褒められて嬉しいという気持ちだったんですが、ニコニコ動画に投稿するようになって、それがだんだん"喜んでくれて嬉しい"という気持ちになっていきました。だから、自分が何をやりたいかよりも、求められるものを出していきたいという気持ちが強いんですよ」


――ミュージックビデオでも顔を黒く日焼けさせてファンを驚かせましたよね。ファーストシングル「タカラモノ」では川越シェフと共演されたりと、サービス精神が旺盛だなと感じます。


「楽しませたいという意識がすべてですね。実際、かっこよさでいったらGACKTさんにはかないませんよ(笑)。僕は近所のお兄ちゃん的な立ち位置でやっていけたらと思っていますし、かっこつけること自体があまり好きではないんです。振り切ってかっこいい人だったらいいんでしょうけど、僕くらいだと中途半端なナルシストになってしまいますから(笑)」


――メジャーになって変わったなと思うことはありますか?


「意識の面では多少変わりましたね。たとえば事件に巻き込まれないように気を遣ったりするようになりました。自分で車を運転するのは極力避けるとか、混んでいる電車にはなるべく乗らないとか。僕になにかあると、今まで以上に色々な方に迷惑をかけてしまいますから。そういう意味では会社員時代とは責任の質が変わったのかなと思います」


――なるほど。


「ただ、それ以外ではさほど変わらないし、気にしてないですね。ジムにもオッサンみたいな格好で行きますし(笑)。オフはオフなので、そこは別に隠さないし、そこでかっこつける時間がもったいないと思うので」


――お話を聞いていると、とても自然体でストイックですが、ライバルなどは意識されていますか?


「誰がライバルということはないですね。朝起きることだったり、トレーニングだったり……自分との戦いです。特にトレーニングは、最近30歳になったので、一回鍛えないと下り坂ですからね(笑)。ライバルというわけではないですが、人生のバイブルはやはりGACKTさんです。彼のライブを見ていると、どういう体を作らないとあれだけのパフォーマンスができないのかがよくわかるんです。彼はすごく自分に厳しい人間で、誰に負けたくないとかじゃなく、"誰にも負けたくない"んですよ。僕も僕でリスペクトするところはしつつ、がんばっていこうと思っています」


――ではぽこたさんがアーティストとして大事にしていることを教えていただけますか。


「会社員だったときに思っていたことがあって、それは"自分よりちゃんと働いてがんばっている上司のいうことじゃないと聞きたくない"ということです。だからこそ、自分もちゃんとがんばる人間にならないといけないと思っています。僕の親は銀行員で非常に堅かったので、ずっとそういう人生が正しい道だと教えられてきたんですね。もちろんいろんな世界を知った上でその道を選ぶのは素敵なことなんですが、でも僕は限られた道しか知らずに25年間生きてきて、ニコニコ動画のおかげで違う世界があることに気づいた。ニコニコ動画のユーザーは若い人が多いので、自分の歌や言葉で何か人生の手がかりをつかんでほしいなと思っています。ただ、そのときに僕自身ががんばっていないと、説得力がありませんよね。"この人の言葉なら聞いてもいいんじゃないかな"と思ってもらえるような人格形成をしていきたいですね」


――最後に「√5(ルートファイブ)」としての活動についても教えてください。8月5日(月)には「a-nation island」への出演が決定していますよね。意気込みなどを聞かせてください。


「ニコニコ動画ってメディアなんですよ。そう考えると、ニコ動を知っている人イコール、仲間なんです。それってすごくぬるま湯なんですよね。ニコ動のアーティストを応援するのって、日本代表を応援する感覚と近いと勝手に思ってます。でも『a-nation island』はそうじゃなく、ニコ動というメディアの力が通用しない場所です。そういうところでライブをすることは、自分たちにとっても大事なことだと思います。『a-nation island』に来られる方に、ちゃんとしたパッケージとして『√5(ルートファイブ)』のプレゼンテーションができるステージにしたいですね」


ニコニコ動画に投稿を始めて5年。一般の会社員だった青年はメジャーデビューを果たし、『a-nation island』の舞台に立つまでになった。しかしその姿勢には気負うところはまったく感じられない。あくまでも自然体で、ファンに求められるものを出していく。それが彼の「道」なのだ。


(※注釈:ニコニコ動画出身の男性ミュージシャン5人で2011年12月に結成されたボーカルユニット。メンバーは、ぽこたの他に「蛇足」「みーちゃん」「けったろ」「koma'n(こまん)」。)


取材・文・写真: 山田井 ユウキ



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<公演情報>
「a-nation island Asia Progress ~Blue Ocean~」


8月5日(月) 18:00開演 国立代々木競技場 第一体育館 (東京都)
【席種・料金】一般指定席-6900円

[出演]AAA / BEAST / D☆DATE / JONTE / 三浦大知 / √5(ルート・ファイブ) / SHOW / U-KISS / 他 [DJ]TORA / DJ 2-YAN / PARTY ANIMAL CREW

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