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チケットぴあインタビュー

福島千里(陸上女子短距離)

福島千里(陸上女子短距離)

日本女子スプリント界の記録を次々と塗り替える福島千里。彼女はどのようにして日本の頂点に立ち、アジアを制覇し、世界と戦えるようになったのか? 5月8日(日)・等々力陸上競技場でのセイコー ゴールデングランプリ川崎を前に、福島を直撃した。
――昨年11月のアジア大会は、体調が悪い中での2冠獲得。見事でしたね。

最初の100mの時は、本当に「良かったな」という感じしかしなくて。前の年のアジア選手権も勝っていたから、自分の中では「勝ちたい」じゃなくて「勝たなきゃ」と思っていたんです。だから「うれしい」より「よかった」と思うのが先でした。


――大会前の捻挫は厳しかったようですね。5・6日は練習できない状況の中、心配する中村宏之監督には、逆に「先生、大丈夫ですから」と言っていたとも聞きました。

捻挫をした時は中村先生も「もう終わった!」と思ったかもしれないですね。実際には聞いていませんけど……。あの時は私も、走れなかったからアジア大会へ行けないかもしれないと思って青ざめました。本当は、私もけっこう落ち込んでいたんですよ(笑)。


――ケガから建て直したばかりでなく、100mの決勝では途中でウズベキスタンの選手にリードされながらも硬くならずに走ったのもすごい精神力でしたね。

捻挫をする前にスタート練習をけっこうやっていたけど、自分では「あれもダメ、これもダメ」と言っていたんです。そうしたら先生に「理想よりよくないかもしれないけど、ちょっとの失敗ならこれでもいいというくらいに思って完璧を求めるな」と言われたんです。だから決勝のスタートもビデオで見たらかなりの失敗だったけど、その時は「失敗した」と思っていなかったからよかったんですね。


――でもスタートでは、捻挫した左足が最初に着いた時の動きはかなり遅かったですね。

あれは遅かったですね。私も初めてビデオを見た時はビックリしました。地元に帰ったら「もうダメだと思った」と言ってくれる人もいましたから。でも自信になったと言うか、「あの状態でも勝てたんだ」と気持ちはありますね。追い込んで勝つというパターンは好きじゃないけど、いざとなったら出来るのかなって。


――なかなか結果を残せなかった高校時代に比べ、北海道ハイテクAC入りしてから急激に伸びたのはなぜですか。

1年目はケガをしてしまって全然結果を出せなかったんです。でもそれからは練習に対する気持ちも変わって、地道な体づくりにも取り組むようになりました。それで運よく北京五輪へ出ることが出来て、それで「もう一度五輪へ来たい。世界で戦いたい」と思えるようになったんです。


――その頃は世界と日本のレベル差は大きかったですよね。そこで戦うことへの不安はなかったんですか。

不安はなかったですね。それがきついことかどうかもわからないですし。


――速く走りたいと必死にやっていたら世界の方がだんだん近づいてきた感じなのですか。

これまでの結果を見ると、そういう風にきているのかなと思いますね。北京の頃は目標もすごく曖昧だったのが、今は明確になったかなと思うし。走るたびに記録も結果もついてくるのが楽しいけど、今度は世界で戦えるか戦えないかという楽しみも出てきたと思います。


――これまでの日本の女子短距離選手たちが、出来なかったことをやっているという自負みたいなものはありますか。

そういうことは感じてないし、だから自由な感じでやれているのだと思います。これからが厳しいかもしれないけど、きついことがあっても、きついと思わなければ大丈夫だと思います。


――でも去年は少し苦しみましたね。日本選手権では涙も流したし。ただ、11秒2台をコンスタントに出しましたね。

けっこう出せましたね。広島(織田記念陸上)と大阪(大阪国際グランプリ)と鳥取(布施リレーカーニバル)と南部記念。それに国体も。しかも全部の11秒2台が同じ感覚ではなかったのもすごくうれしいですね。それに11秒30もけっこう出しましたよ。日本選手権とスイスで。


――ビッグゲームではない、初めて経験した海外遠征での11秒30は価値がありますね。

スイスへ行った時の最初のレースだったけど、あの時は楽しめたし、ビックリしました。みんながドドドドッとゴールになだれ込むような、競って、競ってのレースだったから。それで3位に入れたのも驚いたし、11秒30だったからすごくうれしかった。


――そんな経験の積み重ねが、苦しい中でもキッチリと勝てたアジア大会へつながったと思います。今年にはどうつなげたいですか。

アジアで一番になったので、あとの目標は世界だから。まずは世界選手権で予選を通って準決勝へ進出することですね。アジアをクリアできたから、それだけに出来るかなというのもあるかな? まだあまり思ってはいないけど(笑)。


――アジア大会後は忙しそうでしたが、ここまでは順調にきているようですね。

そうですね。だから今年はやっぱり世界選手権でしっかり走って……。ちゃんと走った時の自分の位置を知って、ロンドンへ向かって行けたらいいなと思います。


――ロンドンでしっかり戦うための、準備の1年ですか。

そうなればいいですね。北京五輪の経験があって今の自分があると思っているので、ロンドンは行く、行きたいとかじゃなくてちゃんと走りに行きたい。そうじゃないと北京へ連れて行ってもらった意味が全然ないと思うから。


――準決勝まで行って、そこでどこまで戦えるかですね。

自分がちゃんとベスト記録近くで走らないと意味がないと思います。11秒5くらいでしか走れなかったら、来年ロンドンへ行けても意味がないと思うので。ちゃんと大舞台で走れる力をつけておきたいし。


――悪くても11秒2台前半は?

今度は2次予選がなくなり、予選の次が準決勝ですから、11秒2じゃないと通れないでしょうから。前回のベルリンは11秒52で1次予選を通ったけど、今度は絶対にそれじゃ無理ですね。どんな展開になるのかわからなくて怖いけど、予選1本だけで帰ってくるのはショックですから。まずはちゃんと走らないといけない。


――1本目からキッチリ走らなければいけないですね。

大阪国際グランプリみたいに1本だけのレースもあったから大丈夫かなとは思うけど……。でも大丈夫かなぁ。速くなっていますかねぇ……。


――絶対に速くなっていますよ。

そうだといいんですけどね(笑)。


取材・構成:折山淑美


福島千里
ふくしまちさと。1988年、北海道生まれ。北海道ハイテクノロジー専門学校ハイテクAC所属。2008年日本選手権100mで初優勝を飾り、日本短距離界のトップに躍り出る。同年日本人女子として56年ぶりに出場した北京五輪100mで1次予選敗退、翌年の世界陸上では日本女子初の100m2次予選進出を果たす。2010年アジア大会は44年ぶりとなる日本人女子100m優勝を達成し、日本陸上競技連盟のアスレティック・アワードでアスリート・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)に選出される。100mで2度、200mで3度も日本記録を更新する。自己ベストは100m11秒21、200m22秒89。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/chiasto0627/)。


★福島選手出場予定!
▼「セイコーゴールデングランプリ川崎」
□日程:5月8日(日) 14:25
□会場:等々力陸上競技場(神奈川県)
□席種:
カテゴリー1-3000円(メインスタンド/自由)
カテゴリー2一般-2000円(サイドスタンド・バックスタンド1階/自由)
カテゴリー2高校生以下-1500円(サイドスタンド・バックスタンド1階/自由)
カテゴリー3一般-1000円(サイドスタンド・バックスタンド2階/自由)
カテゴリー3高校生以下-500円(サイドスタンド・バックスタンド2階/自由)
※小学生未満は無料。
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