トライしたら、「いいよ!」やります(山田)
ラグビーネタ、考えます!(真栄田)
ジャパンラグビー トップリーグ2011-2012もいよいよ、プレーオフに突入する。昨季、プレーオフトーナメントでMVPに輝き、パナソニック ワイルドナイツの初優勝(優勝時は三洋電機ワイルドナイツ)に貢献した山田章仁選手と、高校時代にラグビー沖縄県選抜としてプレーした経験を持つ、「怪物フランチェン」ことスリムクラブ真栄田賢にラグビーの醍醐味、楽しさを熱く語っていただいた。
- 真栄田:よろしくお願いします。山田さんの私服姿、初めて見ましたけど、モテそうですね。成功した不動産屋かITの社長みたい。
山田:いやいや、こちらこそよろしくお願いします。真栄田さん、イメージ通りですよ。声もそのまま。ラグビー、やられていたんですよね。
真栄田:はい。大したことないですけど。
山田:ラグビーつながりって、親近感わきますよね。小さいときから?
真栄田:子どものころは野球とか柔道をやっていたんですが、とにかく肥満児で。中3のときに110キロ、175センチありましたから。それで、高校に入ったらラグビー部の先輩に誘われて。
山田:よくある。部活始めるきっかけは、だいたい6~7割その類。
真栄田:練習きつくて、40キロぐらい落ちましたけど。最初はロック、それからナンバー8をやっていました。山田さんがラグビーを始めたきっかけは?
山田:姉が二人いまして。女っぽく育ったもんですから、父が男らしいことをさせたいと5歳からラグビースクールに入れられました。ラグビーしかやったことがないので、ほかのことをやってきた真栄田さんがうらやましいです。
真栄田:ずっとバックスですか?
山田:高校時代は主にスタンドオフで、バックスは一通り。でも、実は一度だけ高校の練習試合でフォワードをやったことがあるんです。でも、キツさが全然違う。「絶対ムリ。もうできません」と監督に言いました。
真栄田:僕も一度だけバックスをやったことがあるんです。ケガ人続出で仕方なく。でも逆に、バックスはムリ。一発で失点につながるから心の負担、緊張感が違います。
山田:真栄田さんがセンターだったら、相手はビビりそうですけどね。
真栄田:そんなことないですよ。お笑い番組とかご覧になりますか?
山田:好きですよ。真栄田さんのことも「怪物フランチェン」の頃から見てます。「いいよ!」
真栄田:いやぁ、感激だな。山田さんに言ってもらえるなんて。ラグビーやっている方って、明るい方が多いですよね。
山田:ラグビーの試合はよくご覧になるんですか?
真栄田:はい。明日(2月5日)も元木さん(由記雄、神戸製鋼コベルコスティラーズ・アドバイザー)に誘っていただいて見に行きますよ。
山田:元木さんとお友だちなんですか?
真栄田:以前、メアドを交換させていただいて。トップリーグだけでなく、大学の試合も行きます。今年の帝京大と天理大の大学選手権決勝はおもしろかったですね。
山田:真栄田さんの憧れの選手は?
真栄田:同じナンバー8の伊藤剛臣さん(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)。法政大学の頃から好きでした。華やかで。フォワードのイメージを一新されましたよね。
山田:40歳のいまも現役ですからね。
真栄田:まさに鉄人! 学生の頃から、まわりのナンバー8は外国人選手が威張っていたというか、目立っていましたけど。自分なりに伊藤さんのマネしてました。全くできてないけど。山田さんの憧れのプレイヤーは?
山田:やっぱり同じポジションの大畑さん(大介、神戸製鋼コベルコスティーラーズ・アンバサダー)。トライゲッターでしたから、中学・高校とずっと憧れていました。
真栄田:山田さんもウイングでトライゲッター。いまチームではどんな役割、位置なんですか? ベテランと若手の間ぐらいだと思うんですけど。
山田:プレーではウイング、トライを獲るポジションですけど、それ以外では特にないですね。チームをまとめるという点では何もできないで、端っこにいるだけです。
真栄田:そんなことないでしょ。チームメイトに山田さんみたいな選手がいたら心強いし。「とりあえず、山田にまわしとけ」って。僕たちも山田さんがボールを持つとワクワクしますもん。何かやってくれそうで。
山田:そこが自分の仕事場ですし、カメラに写るチャンスですから。
真栄田:そうそう。スタンドの声援は聞こえてますか?
山田:はい。うれしいですよね。グッと後押ししてくれるようで。ラグビーを見に行かれるときはどなたと?
真栄田:ほとんど嫁さんです。前は相方(内間政成)でしたけど。
山田:どんなところを見ているんですか?
真栄田:自分がフォワードだったので、ボールを追いかけるというよりはフォワードのプレイヤー、特にサボっている人を探すのが好きなんです。
山田:おもしろい!
真栄田:特に味方がピンチのとき、どんな気持ちなんだろうなって。笑っちゃいますよね。「早く戻れ!」って。山田さんはプレイヤーとして、ご自身のどんなところを見てもらいたいですか?
山田:カンタンに言えば、山田章仁を見に来たらいいんですよ、ハイ。
真栄田:カッコイイなぁ。
山田:ラグビーを見に行くというと、なんか構えちゃうでしょ。でも、ボールを持って走るところとか、タックルとか、キックとかワンシーン、ワンシーンを見に来て欲しいです。
真栄田:僕もそう思いますね。ややこしいルールとか戦術とかじゃなく。プレーの一瞬、一瞬。いろんな体型の選手がいて、それぞれ個性があって。バックスならスピードがあって、キックしたボールがものすごく飛んでいったり。難しい角度からゴールを決めたり。フォワードなら地味だけど、渋いタックルを決めたり。
山田:ルールなんてわからなくても、おもしろさはわかってもらえると思うんです。
真栄田:スクラムのガツンと当たる音。タックルのバシッと入る音。キックのバーンとボールを蹴る音。
山田:目で見る迫力はもちろん、耳で聞く迫力もありますからね。そして、「ボールが来たときの山田を見てくれたら、満足して帰れる」と。
真栄田:いいですね。
山田:コレ、チームから言えと命令されているんです(笑)。
真栄田:いまはトップリーグ・プレーオフトーナメント優勝、そして日本選手権優勝が目標だと思いますが、その先の目標は?
山田:とりあえず代表になること。候補にはなっていますけど、まだなっていないので。
真栄田:おかしいですよね。山田さんが日本代表に選ばれていないなんて。みんな桜のジャージを着た山田さんを見たいのに。
山田:ありがとうございます。
真栄田:将来の夢というのは?
山田:ぜひ、海外に挑戦したいですね。サッカーとか野球とか海外でプレーする選手が大勢いて、それが子どもたちの憧れになっていますよね。自分が海外で日本人プレイヤーとしての強みをしっかり見せていければ、ラグビーの人気も高まると思うので。
真栄田:ラグビーファンとして、せっかくこんなにおもしいスポーツなんだから、もっともっと広まって欲しいと思いますし。その使命を担う星のもとに生まれたのが山田さんだと思いますから。僕もラグビーネタでもやりましょうか。
山田:すべったら大変ですよ。あたためて、あたためて、バーンと出して大うけしてください。
真栄田:ラグビーやっていた芸人さんて結構多いんですよ。雨上がり決死隊さんの『アメトーク』(テレビ朝日系)で「ラグビー芸人」特集やろうと盛り上がっていますし。チームもつくって、タッチフットやったりしているんです。ジャパンのジャージ着て。
山田:すごいですね。
真栄田:それがね、ルールがおかしくて。みんな太っちゃって走れないから、小杉さん(竜一、ブラックマヨネーズ)が決めたんですけど、走ったらペナルティ。歩くんです。
山田:おかし過ぎますね。
真栄田:ぜひ一度、パナソニック ワイルドナイツさんと試合したいな。でも、その前に。明日は東芝ブレイブルーパスとリーグ戦1位通過をかけた大切な試合。調子はいかがですか?
山田:プレーオフの相手がどこかとかではなく、1位通過して勢いをつけたいとチーム一丸となっています。僕自身は悪くないですよ。よくもないか。
真栄田:山田さんらしいプレーをしてもらえたら十分だと思うので、いつも通りのプレーを期待しています。貴重な人材ですから、ケガだけには気をつけて。
山田:「いつも通りのプレー」とおっしゃていただいて、とてもうれしいです。大一番ということでついつい力が入りますけど、平常心で普段通りやります。
真栄田:神戸製鋼コベルコスティーラーズとサントリーサンゴリアスとの試合の次ですよね。仕事だけど、ギリギリうまくやって見させていただきますね。応援します。
山田:ホントですか。それじゃ、トライしたら「いいよ!」やっちゃおうかな。
真栄田:エッ、約束ですよ。カメラに向かって。
山田:わかりました。
真栄田:そうしたら、よしもとからオファーが来ますから、新喜劇も出てくださいね。
山田:僕が!?
取材・文/宮崎俊哉(CREW) 撮影/新関雅士
山田章仁
やまだあきひと 1985年7月26日、福岡県生まれ。181cm/85kg。パナソニック ワイルドナイツ所属。ポジションはウイング。小倉高校、慶応義塾大学卒。7人制・U23・U19日本代表で活躍。トップリーグ2010-11リーグ戦ベスト15。
真栄田賢
まえだけん 1976年3月1日、沖縄県生まれ。183cm/78kg。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。内間政成とお笑いコンビ「スリムクラブ」で活躍。M-1グランプリ2010準優勝。高校時代、ラグビー沖縄県選抜として国体出場。