――ドイツに旅立つ前にいきなりボーフムにアジャストできると予想していましたでしょうか?
「移籍自体が突然の話だったので、『これぐらいはできるだろう』とか『これぐらいはやらないと』とか、あんまり考えずにドイツに行きました。ドイツに渡ってからも、とにかく必死にやるだけでしたね」
――デビュー戦で2アシストを決めたことと、チームが契約期間の2年半というスパンで小野選手を見てくれたことも、好スタートの要因になりましたよね。
「そうですね。1月上旬にドイツに行った時はまだ足の状態が良くなかったにもかかわらず、チームが長いスパンで見てくれたのは自分としても嬉しかったですね。まずは半年、チームと一緒にできたのは自分にとっても非常に良かった。100%じゃないにしても、まずまずの働きはできましたから」
――左足首のケガもありましたが、新たなシーズンもケガとの戦いもあります。
「一番最初のケガ('99年シドニー五輪一次予選フィリピン戦での左ヒザじん帯断裂)以降は、自分のイメージ通りのプレーができたのはあまりないんです。その中で自分ができることをやってきたという感じですね」
――イメージは年々高まるのに、思うようにいかないジレンマは相当辛いですよね。
「悩めるうちは幸せなんじゃないですか。悩めなくなったら、楽しみも努力もなくなってしまう。サッカーは楽しいものですから、その辛さも乗り越えられるんです」
――ボーフムでの後半戦4ヵ月を経て、今季が勝負の年になりますね。
「そうですね。挨拶は終わったという感じです。今回は合宿からチームに合流できますからね。チームで一緒にいられる時間が長いので、次のシーズンは本当にやっていかなければいけない」
――新たなシーズンに向けての手応えと課題を教えてください。
「ブンデスリーガは中盤を省いてロングボールを多く使う傾向がある中で、僕の役割は中盤をしっかり作ることです。見ていても楽しいサッカー、やっている僕らも楽しいサッカーがボーフムでもできればいいなと思いますし、時間をかければできるという手応えも感じました。この新しいシーズンに向けて、合宿でしっかりとチームメートと話をして、いい連係ができるようにやっていきたいですね」
――1部と2部を行ったり来たりしてきたボーフムで楽しいサッカーができるかどうかは、シーズン序盤が大事になってくるのでは。
「そうですね。シーズンにうまく入れれば、自分たちのサッカーを確立できると思うんです。逆に結果が出ないと、ロングボールに頼ってしまう可能性もあります」
――ブンデスリーガ開幕の1週間前には、横浜F・マリノスとのプレシーズンマッチもあります。ただのプレシーズンと言うよりも、重要な試合になりますね。
「そうですね。やるからには負けるわけにはいかないですし、開幕に向けてのいい調整をしていきたいですね」
――同日には浦和レッズ×バイエルン・ミュンヘンもありますので、レッズファンはどちらの試合に行くのか、迷う人も多いでしょうね(笑)。
「さすがにこっちの試合には来てくれないとは思いけど(笑)。来てくれれば、もちろん嬉しいですけどね。とにかく僕は試合に集中していくだけです。来てくれた人たちが見て楽しいと思えるサッカー、僕らもやりながら楽しいサッカーをしていきますので、たくさんの人たちが来てくれることを願います」
取材・構成:碧山緒里摩(ぴあ編集部) 撮影:岡本寿
小野伸二
小野伸二
'79年、静岡県生まれ。175cm、74kg。'98年、清水商高を経て、浦和入り。'01年にオランダの名門・フェイエノールトに移籍し、UEFA杯やリーグ優勝に貢献。'06年にレッズに復帰し、'08年にボーフムへ。代表でも'98年W杯で18歳で選ばれ、翌年のワールドユース準優勝した黄金世代の中軸を担った。W杯は3大会連続で出場し、国際Aマッチ55試合6得点。