――昨年初めて移籍を経験したので、今回のヴェルディへの移籍はスムーズにいったのでは?
「そうですね。今回は移籍に対する心の準備もできていました。対応の仕方や自分の持っていき方はスムーズに行っています」
――FC東京への初めての移籍は想像以上に難しかったですか?
「そうですね。去年は自分が消えていたと言うか、チームの力になれなかったという悔しさはあります。チームの中の一人と言うより、“チーム+一人”という感じ。あの時の悔しさをヴェルディで晴らしたい。前回の反省を踏まえ、『こうしてほしい』という僕の考えを言葉で伝えながら、相手の言い分も聞いていかないといけない。今まではあれこれ口で言うよりも、プレーで見せるという考えでしたが、やはり変えていかないといけないところはあります」
――ヴェルディの印象はどうですか?
「個性は強いけど、思った程ではなかったですね。やはり、僕の印象では黄金時代のヴェルディが強烈でしたから」
――ヴェルディは3年ぶりにJ1を戦うわけですが、そもそもJ2に落ちるチームではないですよね。
「天皇杯で優勝した翌年にJ2落ちですからね。チーム力として、J2に落ちるチームではないですよね。でも、現実にJ2落ちしたわけですから、どこかに原因はあるはずです。選手だけでなく、会社にもおごりがあったかもしれないし、サポーターも厳しく言わなかったかもしれない。ひとつ言えることは、J1はそんなに甘くないということです。だから1年間、選手やチームだけではなく、会社、サポーターも含めて一丸になって戦わないといけない。誰かが欠けてはいけないんです」
――ヴェルディは可能性のあるチームですよね。
「もちろんあります。やはり若いチームは勢いに乗っている時はすごくいいけど、落ちていくと何もできないというのがあります。でもヴェルディは若い良い選手もいるし、ベテランもいる。若手とベテランがうまく融合し、助け合ってシーズンを戦っていけば、大きな問題には直面しないと思います」
――柱谷(哲二)監督から役割について何か要求されましたか?
「まず大前提として『自分のプレーをしてくれ』と哲さんに言われました。他のチームでは年齢のことも言われたけど、哲さんは『年齢は関係ない。自分のプレーをピッチ上で発揮してくれ』と言ってくれました。自分の中で非常に大きな言葉になりましたね」
――自分のプレーと言えば、攻撃参加ですね。
「昔はFWをやっていたし、攻撃的なところが持ち味なので『どういう風にすれば点を取れるか』と試合中常に考えています。それと、サッカーを楽しむという意識。試合は勝たないと楽しくないので、そのバランスが大事になってきます。チームの一人としてバランスを考えて、自分を抑える局面と自分の持ち味を出す局面を判断していかないといけないですね」
――ヴェルディの中でご自身の役割は何ですか?
「サッカーだけではなく、ひとつのキッカケでスポーツは大きく変わります。僕はそういうキッカケをチームとして作れるのが、強いチームだと思う。チームはキッカケを作れる選手がいるだけで変わってきます。そのキッカケを僕が作り出せたらなと思っている。勝者のメンタリティというものを挙げたらキリがないけど、ジュビロの時は優勝すれば優勝するほど、欲が出てきた。勝てば勝つほど、名波(浩)さんを筆頭に僕らは試合内容を求めていったんです。試合は勝たないとつまらない。でも楽しいサッカーができないと、勝ってもつまらない。ヴェルディもそうだったと思うんです。だから、名門復活のために自分のできることをやっていきたいですね」
取材・構成:碧山緒里摩(ぴあ編集部) 撮影:スエイシナオヨシ
福西崇史
福西崇史
1976年9月1日、愛媛県生まれ。181cm、77kg。東京ヴェルディ所属、MF、背番号23。'95年、ジュビロ磐田に加入し、シーズン半ばからレギュラーに定着。以後、ボランチを中心にトップ下やリベロなどGK以外のポジションを担い、ジュビロの黄金時代を築く。'07年にFC東京に移籍し、今季から東京ヴェルディに加入。J1リーグ通算320試合59得点('07年終了現在)。日本代表としても'02・'06年W杯に出場する。国際Aマッチ出場64試合7得点。