――『チェス』は、ABBAの男性2人が音楽を担当しています。
浦井「僕は世代的にABBAをあまり知らないんです。今回、この作品の楽曲を聴き、クラシックとかロックとか、いろんな要素がふんだんに散りばめられていたり、自然と身体がノッてくるメロディがたくさんあって素敵だなと思いました。」
石井「そうか、健治はアバをリアルタイムで知らないのか!僕は中学高校の頃からABBAが好きで、その素晴らしさは一晩でも語れるけど(笑)。『チェス』の歌稽古をしてみて、彼らはポップス作家のイメージがあるけど、オーケストラの譜面も書けるようなクラシックやミュージカルの素養があって、それをひた隠しにして、ヒットシングルを作っていたんだと改めて気づきました。」
――それぞれの役についてお聞かせください。
石井「僕は寒いのが苦手なのにロシア人の役です(笑)。アナトリーのナンバーは、1幕最後の「アンセム」をはじめ、クラシック的な香りの曲が散りばめられている気がします。なぜ彼が、フレディのようなロックではなく、そういう曲を歌うのか、掘り下げたいですね。皆さん、歌唱力も素晴らしいけど、根っこは役者なので、僕も役者としてコンサートバージョンを演じようと思います。」
浦井「アービターのナンバーはそれほど多くはないんです。チェスの世界大会で、フレディとアナトリーという、米ソのチャンピオンが対決するわけですけど、それが東西冷戦と 掛けてあって、審判役のアービターはそのテーマをも俯瞰しているんです。1人別空間にいるような存在だからこそ、歌っていない時の佇まいや雰囲気も、大切に作っていけたらと思います。「チェス」は作品自体にファンも多いですし、プレッシャーも感じますが、このカンパニーならではのものを作れるかと思うと嬉しいです。」
――コンサート形式についてはいかがですか?
浦井「役のフィルターが少し薄れる部分もあると思うので、なぜこの役を、荻田先生やプロデューサーさんがこの役者に振ったのか、見えて来るような気がします。セットも、チェス盤のような感じになるらしいので、その上で生身の役者が歌っている姿がチェスの駒に見えたら面白いですね。演劇的にも音楽的にも、それぞれの個性や歌声を活かして役作りしていけたら、自ずと物語も際立ってくるのではと思います。」
石井「板の上に乗ってる時に、素になるのが僕は嫌なんですよね。見えていなくても、袖の中からもう役でいたいので、コンサートバージョンで椅子に座っていたとしても、僕はアナトリーでいたいです。まあ、荻田先生に、「カズさんだけなりきり過ぎ」と言われれば変えますけど(笑)。」
――お2人は既に息もぴったりですね。
石井「健治がここにいてくれたら大丈夫です。僕は目は大きいけど視野が狭いので(笑)、いつもフォローしてもらってるんですよ。その健治がストーリーを紡いでくれるので、僕は猪突猛進でアナトリーを歩んで行ける気がします。」
浦井「逆ですよ。カズさんは包み込んでくれると言うか、器が大きい方なので、とても安心できます。またご一緒させていただけることがすごく嬉しいです。あの名曲「アンセム」をカズさんの声で聴けるのも幸せです。」
▼CHESS in Concert
1月26日(木) ~ 29日(日) 青山劇場(東京都)
2月10日(金) ~ 12日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪府)
[出演]安蘭けい / 石井一孝 / 浦井健治 / 中川晃教 / AKANE LIV / 池谷京子 / 大野幸人 / 角川裕明 / 田村雄一 / ひのあらた / 横関咲栄
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