――霧矢さんが演じる主人公、シュテルク・バリンカイはどんな人物なのでしょう?
「幼い頃に国を追われて亡命し、いろんな土地を渡り歩いてきたことで、心に傷を負ってはいるんですが、本質的にはとても奔放で大らかな人物なんです。怖いもの知らずで、どこででも生きていけるような。そのイメージのままに、私自身が持っている明るさや豪快な面を引き出して演じたいですね。トップという立場に立たせていただけることになって、舞台に1人きりで立つ場面が多くなったんですが、このシュテルクという生命力溢れるキャラクターなら、2000人を前にしてもパワーで負けることなく、お客様との一体感を感じながら演じられると思います」
――ヨハン・シュトラウスのオペレッタが原作のミュージカルということですが、音楽や作品のテイストもオペレッタ風なのですか?
「そうですね。ヨハン・シュトラウスの曲はもちろん、オリジナル曲も織り交ぜたミュージカルになっているので、音楽的にも楽しんでいただけると思いますし、私もいろんな曲を歌わせていただきます。ストーリーの分かりやすさや、登場人物の多さもオペレッタならでは。ジプシーたちや兵士たちなどの、たくさんの人たちが歌い踊るシーンでは、タカラヅカらしい華やかさも堪能していただけるのではないでしょうか」
――ショーの方は、トップスターとして初めてのオリジナル作品になりますね。
「とても新鮮な気持ちで稽古に励んでいます。ロックのリズムにのせたエネルギッシュなプロローグで始まり、エキゾチックなシーンやジャズっぽいスーツのシーンなどを挟んで、フィナーレナンバーに至る、というオーソドックスな見せ方のショーなので、それぞれの個性が引き立つ出方ができそうですね。『スカーレット・ピンパーネル』のフィナーレで踊った蒼乃(夕妃)とのデュエットダンスがお陰様で好評を頂き、今回のショーに寄せていただいている期待も大きいと思いますので、その期待に応えられるようなコンビネーションをお見せしたいです」
――月組にとって、どんな公演にしたいですか?
「前回の『スカーレット・ピンパーネル』は、作品の力に助けられたところもあったと思うんです。でも今回は、『ジプシー男爵』もオペラをタカラヅカ版にアレンジしたオリジナルな作品ですし、ショーも新作ですから、ここが新生月組の力の見せどころ。自分たち次第で良くも悪くもなる。だから作品を活かしながらも、私はもちろん、蒼乃や龍(真咲)、明日海(りお)といった月組生それぞれが持てる力を発揮して、いい作品に仕上げたいですね」
取材・文:永田理子 撮影:奥村達也
▼宝塚歌劇月組 『ジプシー男爵-Der Zigeuner Baron-』/『Rhapsodic Moon』
9月3日(金) ~ 10月4日(月) 宝塚大劇場(兵庫県)
10月22日(金) ~ 11月21日(日) 東京宝塚劇場(東京都)
[出演]霧矢大夢 / 蒼乃夕妃 / 他
□一般発売:9月19日(日) 10:00