テレビを中心に活躍を見せ、老若男女から幅広い支持を集めるタカアンドトシ。今年、コンビ結成20年目を迎えた彼らが約5年ぶりに単独ライブを開催する。約1年間かけてじっくり準備してきた単独ライブは、彼らの原点である“漫才”を主体にしたもの。結成20年目のタカアンドトシが“漫才”にかける並々ならぬ思いとライブへの意気込みを聞いた。
――5年ぶりの単独ライブ、今、なぜ開催することになったのでしょう?
トシ: じつは、一年ぐらい前にやるはずだったんですが、場所の問題やスケジュールの関係でうまいことハマらず……。それが今年に延びてきて、「そういえば今年、ちょうどコンビ結成20年目だな」ってのが重なっただけで、「20年目の節目に単独ライブを」と狙ったような感じになっていますけど、たまたまなんですよね。
――タカアンドトシさんは、今でも2か月に一度、新ネタライブを開催されています。それと単独ライブとでは、どのあたりが違いますか?
タカ: 単純にカロリーが全然違う。新ネタライブは我々のほかに7~8組の芸人が出ているし、2か月間に1本のネタを作ればいいんですけど、単独ライブは僕らだけで新ネタ10本以上ですから。その圧倒的なカロリー差はあります。ハイペースでネタを作らないと間に合わないし、臨む姿勢は全然違いますよね。数か月で作り上げるものではなく、今年一年を単独に費やして作り上げないとっていうものですから。いつもは仕事が終わってちょっと飲みに行ったり、朝早く起きてゴルフに行ったりしていたけど、今年はそういう時間は単独ライブの準備に充ててますから。ゴルフもベストスコア更新を目標にしていたけど、今年はもう諦めましたし(笑)。
――ということは、単独ライブの構想は一年前から考えていたんですね。
トシ: 構想は昨年からあって、具体的に動き出したのが今年に入ってという感じです。
タカ: 「こんな感じでしよう」という話し合いは去年10月ぐらいから始めました。その上で細かくどんなネタにするかとか案を出し合い、できそうなネタを絞っていっているので、かなり時間をかけて作り上げている感じです。
トシ: ネタも徐々に出来上がっていって、今で8割ぐらいの完成度。あとは稽古していくような感じなんですけど……。
タカ: 昨日、ちょうど出来上がったネタを読み返していくという作業をしたんですけど、最初に作ったネタは何か月も前に作ったものだから、読み返してみると「あれ? これ、どういうことだろう?」って自分でもよくわからないのがでてきたり(笑)。そういう意味で、重症なネタが1本見つかった。その手直しもあるし、練習もしていかないといけないので、今、8割でも気は抜けないなと思ってます。
――今回のライブでは「東京五輪」がテーマで、団体や個人、歌ネタなどさまざまな競技の形で漫才にしていくそうですね。
タカ: 普通に10本を同じような感じで漫才をしちゃうと飽きられちゃいますから。だから、「漫才をこういう形にしたら、オリンピックの正式種目になるんじゃないか」ということを考えていろんな漫才の形を見せる予定です。
トシ: 今のところ、漫才のいろんなパターンはお見せできる構成にはなっています。それが面白いかどうかはまだわからないですけど(笑)。
――「東京五輪」をテーマに据えた、その意図は?
タカ: 2020年に東京でオリンピックが開催されるってすごいことで。同時にこれって漫才を世界に知らしめる、ものすごいチャンスなんですよ! 僕は、漫才はオリンピック競技になってもいいんじゃねぇかって思うんです。そういう意味で今回のライブはプレゼンの場ですから。今回の単独ライブのVTRをオリンピック委員会に送って「こんなにお客さんは沸いてるんだぞ」と見せつけたいと思っているんです。
トシ: ……僕は厳しいと思うんですけどね。彼がこう熱くなっちゃってるんですけど(笑)。
タカ: そんなん、やってみないと分からないですから!! 開会式で漫才っていう可能性もあるし!
――以前、NONSTYLEさんに「開会式で漫才のオファーが来たら?」と聞いたら「正直、笑いが取れる気がしない」と言ってましたが?
タカ: あぁ~NONSTYLEには無理だろうね。でも、オール阪神巨人師匠だったらイケると思いますよ。
トシ: いや、お前がやれよ! なに師匠に預けてんだよ! そこはお前が頑張れよ(笑)。
――では、2020年、東京五輪が開催される頃、タカアンドトシはどうなっていると予想しますか?
トシ: 44歳かぁー、何やってるんだろう。40代に突入しているから体力もガクッと落ちてるだろうし、厄年迎えて体もどっかガタ来てたりするんじゃないの(笑)?
タカ: でも、6年後でしょ? あっという間だよ、たぶん。とりあえず言えるのは、漫才をオリンピックの種目にしてくれという活動はしているんじゃないかなと。そのための今回の単独ライブですから!
トシ: 開会式に向けて漫才を稽古してるかもしれないな。英語を必死で覚えたり。
――そこで「欧米かっ!」が世界的な流行語になるかもしれませんね。
トシ: ……ならないと思います(笑)。向こうからしたら、なんでツッコまれてるかわからないと思うので。
タカ: でも、間違いなく言えるのは、漫才は確実にやり続けてるということ。僕らは漫才師ですから。
――テレビでの活躍が目立つお二人が"単独ライブ"に挑戦する理由は?
トシ: ライブは僕らの芸人としての本質が問われる場であり、根っこの部分を鍛える場所なんです。札幌にいたころは仕事もなかったので、2か月に一度、単独ライブをやっていて、そうやって僕らは育ってきた。これまでもそうだったように、ライブで鍛えた根っこはきっとテレビというフィールドにも還元できるはず。だから、根っこは常に刺激して鍛えていかないと、と思っているんです。
タカ: 単独ライブはものすごい疲れる。2時間を二人だけでやるって大変だし、準備に時間もかかるからできることならやりたくないという芸人が多いと思うんですよ。でも、僕らは漫才で世に出てきているから、漫才をやっておかないと僕らの良さがなくなっちゃう気がして。漫才はやっておかないと錆びついていくし、ネタの作り方も忘れるし、どんどん下手になる。2か月に1本の新ネタライブをやるのは、定期的にネタを作ることで感覚を鈍らせないためですから。
トシ: 本当は面倒くさがりの二人なので、単独ライブの作る工程を考えると「単独かぁ……」と気は重くなるけど、僕らの単独ライブを見たいと期待していただけるのはありがたいし、言ってもらえる内が華だと思うので。しんどいけど、まぁやらなきゃいけないものなんだろうなと。僕らは元々漫才で認めてもらった部分がありますから。漫才だけはちゃんとやっておきたいという気持ちもあるんです。
――漫才で世に出たという気持ちが強いんですね。
タカ&トシ: (声を揃えて)そうですね。
トシ: 世に出たのもそうですし、今、テレビ番組でやっているのも基本的には漫才の延長だと思っています。こいつがボケて俺がツッコむという漫才のスタイルはMCの中でもやっていますし。
タカ: 僕らはそれしかできないと思ってますから。
――最後にライブに向けてメッセージを!
トシ: コンビ結成20年目ということもあって、久々の単独ライブに気合い入ってます! 来ていただいた方に楽しんで満足しもらえるライブに絶対にするので、みなさん、ぜひ来てもらえたらと思います!
タカ: オール新ネタということで、正直、今の段階でどうなるか本当にわかりません。面白くないかもしれない。
トシ: やめなさい!
タカ: 面白くなかったら面白くなかったで"事件"ですから。いずれにしてもライブに来てもらって、目撃者になってもらいたいです!

タカ(1976年4月3日生まれ、北海道出身)とトシ(1976年7月17日生まれ、北海道出身)により、1994年にコンビ結成。札幌でデビュー後、2002年に上京、「欧米かっ!」というフレーズや「タカトシらいおん」などのキャラクターで一気にお茶の間の人気者に。現在、『もしものシミュレーションバラエティ お試しかっ!』(テレビ朝日系)、『ペケ×ポン』(フジテレビ系)など多数のレギュラー番組を持ち、子どもから大人まで幅広く支持されている。