――3本のストーリーが舞台上で進行し、やがて絡み合う……という作品とのことですが、なぜこのような構成になったのでしょう?
後藤「それぞれ、ずっと頭の中に持ってたストーリーなんです。メモなんかしないタイプだから、思いついたストーリーが何本も常に頭の中をグルグル回ってるんだけど、1本ずつやってたら何年かかるかわからない。じゃあ混ぜよう! と(笑)。だから俺の周りの人や、今回のスタッフもそうだけど、このストーリーをずっと前から知ってる人が何人もいるんですよ。音尾君には詐欺師の役を演じて貰うんだけど、そのストーリーもそう」
――そんな音尾さんは、今回後藤作品に初出演ですね。
音尾「後藤さんの作品は実にわかりやすく、面白さと感動が同居している。笑わせて最後はきキューッと締めてくる、それがすごく見ていて気持ちいいんですよね。だからこの人といつかご一緒してみたいな、と思ってたんですよ。ただ、何年も温めてきた話だということを聞かされる度にプレッシャーが(笑)。だから稽古何日目かに逃げ出すかもしれません(笑)」
後藤「逃げるの!? 子役キョトンとするよ!?」
音尾「大丈夫です、脱走癖は今のところ無いです(笑)」
後藤「……なんだろうね、このTEAM NACS特有のいい感じのうさんくささ(笑)。なんかこの感じが詐欺師の役に合うな、と思ったんですよ(笑)。あと、NACSメンバーの中ではどこか線が太いでしょう? 子供にうわっと気持ちをぶつける役柄には合うんじゃないかな、と」
音尾「でも僕の出演するエピソードとか本当に“いい話”なんですよ。よくこんな話を思いつくな、と。だから早く稽古に入りたいですね」
後藤「稽古しまーす、って言って1時間くらいゲームしたりするよ?」
音尾「いいですね。楽しめちゃいますよ、僕」
――NACSを離れての外部出演、という気負いはあるんでしょうか?
音尾「それは特にないですね。チラシを見て、自分の名前の後ろに『TEAM NACS』と書かれてるのを見て改めて実感する、っていう。ただもともと、すごく人見知りなんですよ。最近、舞台は1年に1本くらいになってるので、現場に入ると映像のお仕事とのギャップがあったり。それがまた人見知りに輪をかけるので(笑)。だから今回は、とにかくまっさらな状態で参加したいな、と」
――公演時期は夏ですが、そこでクリスマスの話というのが面白いですね。
後藤「『トワイライト・ゾーン』(1959年から1964年まで放映された アメリカのテレビドラマシリーズ)が大好きなんですよね。最も影響を受けた作品と言っていいかもしれない。この『トワイライト~』が普段は恐い話が多いんだけど、毎年クリスマス時期にすごく美しく、心温まる話を放送するんですよ。それをやりたいなと」
――では今回は満を持して“泣ける”作品、ということで。
後藤「3本のストーリーそれぞれに主人公がいるし、見る人によってどの役柄に感情移入するか違うと思う。いろんなことを感じて帰っていただけるんじゃないかな、と思います」
取材・文:川口有紀 撮影:源賀津己
▼<PARCO PRODUCE>『スリー・ベルズ』~聖夜に起こった3の不思議な事件~
8月10日(火) ~ 29日(日) PARCO劇場(東京)
8月31日(火) 電力ホール(宮城)
9月2日(木) 札幌市教育文化会館 大ホール(北海道)
9月7日(火) 名鉄ホール(愛知)
9月11日(土)・12(日) 森ノ宮ピロティホール(大阪)
[出演・劇作・脚本・演出]後藤ひろひと
[出演]音尾琢真/団時朗/岡田浩暉/石丸謙二郎/佐戸井けん太/明星真由美/ちすん/ウーイェイよしたか/他
後藤ひろひと
音尾琢真