親友の死をきっかけに親には内緒の旅に出た祥太たち。少年たちのひと夏の冒険を描く珠玉のストーリー
塾通いで終わる予定の夏休み。どこか不安げでスッキリしない空。だけど、たった1年前。ぼく達はぬけるように青い本物の夏空の下にいた。天命川でのキャンプ。隣には真っ黒に日焼けしたたくましい笑顔の親友・タケルがいた。肉眼でみる初めての天の川。星の下タケルは白鷹山の伝説を語りだした。
「天命水って知ってる?白鷹山の頂きから流れる水なんだ。その水を飲んだ人は、心からの願いごとが叶うんだって。」「心からの願いごと?」「そう。心からの願いごとしか叶わないんだ。来年の夏、みんなで天命水を探しに行こうよ」真夜中の空の下で交わした約束。
しかし塾で忙しいショウタ達は、その約束を破ってしまう。そして、親友タケルの死。
「ぼく達がタケルとの約束を破っていなかったら」果たされることのなかった約束を胸に、アツシ、ショウタ、ノブは、天命水を探す冒険に出る。タケルと一緒に行くはずだったあの白鷹山を目指して。