中世カルミナ・ブラーナの多彩な世界
「カルミナ・ブラーナ」といえばカール・オルフ、という認識を誰もがお持ちではないだろうか。今回我々が演奏する「カルミナ・ブラーナ」は中世の時代のもので、正式名は「ブラヌス写本」、13世紀の中世詩歌の集大成である。この写本は19世紀初頭にミュンヘン近郊のボイレン修道院で発見され、「カルミナ・ブラーナ(ボイレンの歌)」と呼ばれるようになった。
詩の多くは「ゴリアルドゥスGoliardus」と呼ばれる放浪学僧たちによって書かれた。聖職者を志しながらも教会の制度に背を向け、自由な人生を選んだ“中世の知的アウトロー”とも言うべき彼らの詩は、道徳や宗教を軽やかに茶化し、欲望を謳歌しながらも辛辣に人間心理を突く。
現代社会にも響くであろう、この中世カルミナ・ブラーナの多彩な世界を感じて頂けたら幸いである。