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『男はつらいよ』ティーチイン上映会レポート

『男はつらいよ』ティーチイン上映会レポート

レポート

8月23日、ぴあカードとシネマズ by SHOCHIKUの企画による「映画は観るだけじゃない!『男はつらいよ』と出会うティーチイン上映会」がぴあプレミアム会員限定30組60名様をご招待して開催された。松竹本社試写室での上映の後、引き続き会場で行われたトークショーでは、シネマアナリストの八雲ふみねさんの司会で、山田組で助監督を務められていた五十嵐敬司さん、寅さんに関するテレビ・ラジオで活躍されている娯楽映画研究家の佐藤利明さんが「男はつらいよ」の制作現場や渥美清さんの貴重な裏話などを披露した。

『男はつらいよ』は45年前の1969年8月に劇場公開された記念すべき“寅さんシリーズ”の第1作。物語は……。20年ぶりに柴又に帰って来た寅次郎(渥美清)。おいちゃん(森川信)やおばちゃん(三崎千恵子)に歓迎されるが、翌日、さくら(倍賞千恵子)が勤めている電気メーカーの部長に紹介された相手との見合いに同行し縁談をぶち壊し大げんか、再び家を飛び出してしまう。奈良で病気療養中だった娘・冬子(光本幸子)を迎えにいった御前様(笠智衆)と旅先で偶然会った寅次郎は冬子と御前様と柴又に舞い戻る。一方、「とらや」の裏の朝日印刷で働く博(前田吟)は会社の寮からさくらの部屋を見ながら密かに彼女に想いを寄せていた……。朝日印刷のタコ社長に太宰久雄、題経寺の寺男・源公に佐藤蛾次郎、最終作まで不変のキャストも登場。“寅さん”ファンにとっても、これから“寅さん”に出会う人にとっても必見の第一作だ。

上映会後のトークショーは、五十嵐さんが「助監督辞めて大分経ちますので、かなり錆がついていますけれど、今日はどんな質問されるか楽しみにして参りました」佐藤さんは「今日はとても感激しています。45年前の8月にこの会場の前にあった銀座松竹で僕が6歳の時にこの第一作を観たのがすべての始まりです。こんな幸せなことはないと思っています」と挨拶しトークショーが始まった。

まず始めに会場の皆さんからいただいた一番多かった質問をおふたりに。渥美さんはどんな方でしたか? 「オンとオフがはっきりしていましたね。渥美さんは芝居が始まるまでセットの片隅の小部屋で静かにされているのですが、一旦テストが始まるとガラッと変わります。山田監督はテストが多い方ですが、テストを重ねながら渥美さんのエンジンがかかってくる。するとまるで別人の様になっていく……というのが常でした」と五十嵐さん。佐藤さんは「今日観ていただいた第一作で、20年ぶりに帰ってくる寅さんに妹・さくらが『お兄ちゃん?』『そうよ、お兄ちゃんよ!』とハイトーンで答える台詞がありますが、最初は現場では普通に静かに『そうよ、お兄ちゃんよ』だったそうですが、テストを重ねるうちに渥美さんが急にハイトーンでやったところそれが可笑しかった……。この場面から寅さんのトーンが出来たんです」と後に山田監督や倍賞千恵子さんが語られていたエピソードを披露した。

山田監督からの注文で一番難しかったのは? との質問には五十嵐さんが「いつも難しいですよね(笑)。夢の話ですかね。西部劇の夢の話を撮ったとき、B班3人のスタッフで撮影に行ったときのことが思い出に残っていますね」と答えると「あのシーンは第16作葛飾立志篇の冒頭ですね」と佐藤さんがつけ加えた。

ロケ地はどのタイミングで決められていたのですか? 「常に神社や宿屋が必要なのですが……。あらすじが出来た段階でロケハンにいくのですが、途中電話で連絡をとりながら、第一稿が出来たところで不足分を新たに探していきました。本数重ねるとストックが出来てきましたので忙しい時はストックから選んだりもしていました」当時の苦労を五十嵐さんが語ってくれた。

寅さんのトレードマークであるあのジャケットは毎回作っていたのですか? 「実は今日この会場に衣装部の本間邦仁さんがいらしています。この質問はぜひ本間さんからお答えいただきましょう」と佐藤さんが会場にいらした本間さんを紹介。「最初は確か借りていたのですが……。あの格子の生地がなくなってしまいましたので、それを特注で生地を織って、そこから10着分作りました。衣装を取り替えるタイミングは、襟が立たなくなるのが基準でした。あと一着しかないなというときにそろそろ次を発注しようか? というときに渥美さんが亡くなって……。寂しかったですね」と思い出を語ってくださった。

さらに、沢山の方からいただいた質問です。いまの時代、寅さんが求められていますか? 「難しいですね、寅さん風の生き方は一般的でないですね、テキ屋さんの風情も変わっていますからね。だんだん立派になって気風が消えて、模範的な暮らしをし、悪態もつかなくなると寅さんらしくなくなりますよね」と五十嵐さん。佐藤さんは「48作のシリーズの中で渥美清さんが演じてきた”車寅次郎”という人が求められているのだと思います。寅さんは人の話を聞いてくれる、人の幸せを思うことが寅さんの幸せ。そんな寅さんはいいコトバをいうじゃないですか。それは寅さん以外には言えないコトバですよね。寅さん的な人生を送ってきた人ではないと言えないコトバですよね。“こういう人がそばにいたらいいな”と思う人が今また映画を観ている。古い映画じゃなくて、今を生きている我々が“車寅次郎に寄り添ってもらいたいな”と思うのです」「なかなか上手な答えですね(笑)」と五十嵐さん。

ここで会場に来られていたサプライズゲストを紹介された。「第8作・寅次郎恋歌で旅役者の坂東鶴八郎一座の花形女優・大空小百合こと岡本茉莉さんです」と佐藤さん。「皆さんの出されている質問すごくいい質問でした。わたしも聞きたいことをよくぞ聞いて下さったなと……、おふたりの回答も素晴しく、ためになったり、勉強になったりいたしました。こういうシュチエーションもいいなと思いました。今日この場に来られてとても幸せです」と岡本茉莉さんがお話され、トークショーは終了した。

引き続き行われたプレゼント抽選会では、ぴあ発行のMOOK「東京老舗名店」が5名、「男はつらいよ」全作品からお好きなDVDが3名に当たり会場は大いに盛りあがった。ゲストと参加者全員での記念撮影の後、最後に五十嵐さんからは「いろんな質問をいただいて、忘れていたことを思いだせて幸せです。寅さんの現場を離れて23年経ちましたが質問されてみると意外と思い出せるものだなと……。自信がつきました。皆さんこれからも楽しんでください」佐藤さんは「今年は、第1作公開から45周年ということで様々な場所でいろいろな企画が続きます。これからも寅さんの魅力をメッセンジャーとして皆さんにお伝えしながら一緒に楽しんで行こうと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いします」と挨拶され、ティーチイン上映会は終了した。

取材・文・撮影:イシイノブミ

■シネマズ by SHOCHIKU 公式サイト ⇒ cinema.ne.jp/

『男はつらいよ』ティーチイン上映会
『男はつらいよ』ティーチイン上映会
『男はつらいよ』ティーチイン上映会
『男はつらいよ』ティーチイン上映会
『男はつらいよ』ティーチイン上映会

八雲ふみね的視点! 『男はつらいよ』(第1作)と出会うティーチイン上映会

今回のテーマは、ズバリ『男はつらいよ』。松竹株式会社OBで山田組チーフ助監督の五十嵐敬司さん、娯楽映画研究家の佐藤利明さんをゲストにお迎えしました。

山田洋次監督の名作『男がつらいよ』シリーズ。長きにわたり愛され続けている、言わずと知れた下町人情喜劇映画です。その第1作が公開されたのが、45年前の1969年8月27日。松竹試写室で『男はつらいよ』第1作を見てティーチインを行う。まるで「寅さん生誕」をみんなでお祝いしているかのようなひと時でした。ゲストが繰り広げる「寅さんトリビア」に、お客様の瞳もキラキラ。知っていそうで知らなかった『男はつらいよ』の魅力を再認識出来たのではないでしょうか。

さて、今回で20回目となったティーチインシリーズ。これまでに類を見ない企画だけに、開始当初は、運営チームもナビゲーターを務める私も手探り状態。そんな情景を、昨日のことのように思い出します。20回目の開催で『男はつらいよ』の第1作を上映することは、運営チームにとっても“原点に戻る”きっかけになったように感じます。このティーチインイベントも映画ファンの皆さんに長く愛されるイベントとなりますように…。 私自身も身が引き締まる思いのティーチイン上映会となりました。

八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。映画に特化した番組を中心にレギュラーパーソナリティ経験多数。 機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
■公式サイト ⇒ http://yakumox.com/

男はつらいよ

『男はつらいよ』第1作(1969年8月27日公開作品)

監督:山田洋次
出演:渥美清・倍賞千恵子・光本幸子・前田吟・三崎千恵子・森川信・太宰久雄・笠智衆・佐藤蛾次郎ほか

『男はつらいよ』公式サイト ⇒ http://www.tora-san.jp/index.html


■『男はつらいよ』DVD(HDリマスター版)発売情報
寅さんのDVDがHDリマスター版、お求めさすい価格(1,800円+税)で新登場!
特典には、完全バリアフリー再生機能(日本語・英語字幕/音声ガイド)や撮影時のオフショット満載の特典映像付き。
HDリマスター版DVDは好評発売中!

■『男はつらいよ』衛星劇場にて放送中
衛星劇場では「男はつらいよ」公開45周年記念として第1作から放送をスタート。(月2本更新)

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