音と静寂の〈間〉を辿る、ドビュッシーを中心としたクラシックの演奏会
「音楽とは音と音のあいだにある空間である」
ドビュッシーのこの言葉には、ただ音が連なるだけでは捉えきれない、静寂と響きが交錯する深淵が示されています。その“間”にこそ、作曲家の思索、演奏者の情熱、そして聴き手の想像力が溶け込み、音楽は真の生命を得るのです。
日本には、能や襖絵、枯山水の白砂に象徴される〈間〉の美学があります。京都で磨かれてきたこの感性は、余白にこそ奥行きを見いだし、月光が闇を照らす刹那のように、沈黙によって響きを際立たせます。
京都の夜空に浮かぶ月が古の詩心を映すように、音と音のあいだの〈間〉は皆さまの記憶をそっと照らし、長い歴史と今この瞬間――“時のあわい”を静かに結びつけることでしょう。雅びな古都の情景に想いを馳せつつ、〈音〉と〈間〉が生む幽玄の響きをどうぞご堪能ください。
【プログラム】
ドビュッシー:ピアノトリオ ト長調
ドビュッシー:パンの神に祈るために
ドビュッシー:レントより遅く など