ストーリー
「パリへ行く7月7日、上海一泊の予定迎えに来い、女房同伴」
昭和11年の夏、マドンナ・正岡まどかと結婚したバンドマンの波多野四郎は、魔都上海の港に降りたった。
ジャズをやめるという約束で結婚した四郎の目的はパリへ行くことではなく、実は上海でジャズをやること。
そうとは知らないまどかを連れて、ジャズ仲間のトランペット吹き、バクマツこと松本亘を訪ねる。
アメリカ人の顔役ラリーの経営するダンスホール“セントルイス"に出演していたバクマツは彼の愛人・リリーと恋仲になる。
それを知ったラリーはバクマツをリンチにかけようとするが、仲裁に入ったマドンナと四郎が“セントルイス"に出演することでバクマツを許してもらう。
左翼学生でマドンナの許婚者だった 弘田も上海へやって来るが、警察の追手が厳しく、満州へと逃げる。
昭和12年の夏。ついにバクマツとリリーは結婚、その祝いの席で、バクマツの中学時代の親友・白井中尉は日本と中国 の開戦を告げた。
昭和13年、初春。白井は大尉に昇進して南京から戻り、上海のジャズに飽き足らなくなった四郎はまどかを残して日本に帰ってしまう。
昭和15年の秋。まどかにほのかな思いを寄せていた白井はソ連国境に行くことになり、バクマツにも召集令状が届く。
そして、日本ではジャズができなくなった四郎が、再び上海に戻ってくる。
昭和16年の冬。日米が開戦し、上海でもジャズの演奏はできなくなる。やがてバンド仲間は散り散りになり……。
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