―――糸井さんはカナダ・モントリオールにあるシルク・ドゥ・ソレイユ本社にも行かれたとか。白を基調とし、モノを工房で一から作り上げる、広さと遊び心のあるデザイン性に富んだ理想的なオフィスをご覧になって、お仕事に関して刺激を受けられましたか。
「はい。本社の位置も知っていますし、その場所の歴史も知っています(笑)。もともと仕事の刺激を受けたくて、シルク・ドゥ・ソレイユに興味がありました。大道芸人の集団からスタートしてアイディアを出し合いながら現在の世界規模になった企業のシステム、いま東日本大震災で叫ばれているような地元の雇用創出など、シルクが実践しているのは彼らが考えて磨いて作ってきたものばかり。スタッフの個人の尊重や、国際的なチームを作る時のやり方など、考え抜いたことが継続してやれているのは憧れでしたから、お客さんとしてだけでなく、学びたいという気持ちでシルクとの付き合いが始まったのです」
―――『ZED』で糸井さんがコレは好きだと思われるところは。
「『ZED』の見どころは高さです! (天に向かって)棒が4本伸びているような演目『ポール&トランポリン』(写真中)は大好きです。あと高い位置で綱渡りする『ハイワイヤー』。あとは空中ブランコの『フライング・トラピス』(写真下)。高いところの演目が割と(他のシルクの公演に比べて)はっきりとやれているものが多いですね。他の公演に比べて空中戦が多い。あとバベルのタワーを作る『バンキン』も」
―――『ZED』を既に5回は観ていらっしゃる糸井さん。1回観るごとに発見はありますか。
「僕は解説向きの人間ではなく、1回1回観るごとに普通の観客に戻ってしまうんですよ。(前回観た内容の)記憶がないんです。申しわけない。でも、『ZED』のオープニングはいつ見ても良いですね。今は意味にとらわれ過ぎている作品が多いので、ああいう「ただビックリする」という場面は観ていてとても楽しいです。あと『ZED』のクラウンは特に良い。演出が良い。泣けるんですよね。友情の物語なのですが、誰かが誰かを探しているということだけで素敵ですよね」
Photos:RedDogStudio,Kishin Shinoyama,Costumes:Reneé April (C) Cirque du Soleil Inc.