――ボニーとクライドについて、今どんなことを考えていますか?
濱田「ミュージカルやストレートプレイの主人公は芯が強いとか、すごくロマンチストだとか、何かしら決定的なものを持っているんです。でもボニーは普通の人で、なぜあんなセンセーショナルな事件を起こすのかが理解されづらい。だからこそカリスマ的存在として人々の憧れを集めたんだと思うけど、その分演じる上での手がかりが掴めない。感情的なものがセッティング出来なくて、今からドキドキしてます(笑)」
田代「自分の中にあるけれども、今までの役では求められなかった感覚を外に出してあげることが多くなると思います。犯罪を犯すにしても、ボニーには目立ちたい気持ちがあるけどクライドは決してそうじゃない。見た目で男っぽさやアウトローさを出すというよりは、彼の内面に寄り添った表現にしたいです」
濱田「こんなふうに万里生くんがクライドのことを話すのを横で聞いてると、ボニーのインスピレーションがバンバン湧いてくるんです! ひとりで考えてもあんまり出て来ないんで、今たっぷり充電してました」
――8月の記者会見で初めてデュエットを披露した感想はいかがでしたか?
田代「いや、気持ちよくて! 濱田さんがスコーンと歌って下さるから、〝俺も?!〟って感じになりました」
濱田「同じところで間違えたんだよね。それってやっぱりお互いの呼吸で歌えてるから?」
田代「ってことにしときましょう(笑) 作り込んだものではなく、その場にしかない〝生もの〟として一緒に歌えたことがすごくうれしかった」
――おふたりの共演、そしてワイルドホーン作品の日本初演を楽しみにしているお客さまへのメッセージを。
田代「日本初演は今回しかないので、それを絶対に目に焼き付けてほしいです。それから注目してほしいのは衣裳やメイクなどに、日本のトップレベルのクリエイターが参加していること。新感覚の作品になると思うし、今を生きる皆さんの感覚に合ったものを必ず届けられると確信してます」
濱田「自分の中のボニーは初日から千秋楽まで、もっと言えば公演が終わっても成長し続けていくと思うんです。それは共演者の方々とのやり取り、劇場という空間、そしてそこに来てくださるお客さまがいるから。彼女の成長過程、そして万里生くんのクライドとのコンビがどんな仕上がりになったかを確かめに来てください」
取材・文:山上裕子 撮影:星野洋介
▼ミュージカル『ボニー&クライド』
2012年1月8日(日) ~ 22日(日) 青山劇場 (東京都)
2012年1月28日(土)・29日(日) 新歌舞伎座 (大阪府)
[劇作・脚本]アイヴァン・メンチェル[作曲]フランク・ワイルドホーン
[作詞]ドン・ブラック[演出]田尾下哲
[出演]濱田めぐみ / 田代万里生 / 岡田浩暉 / 白羽ゆり / 藤岡正明 / 中河内雅貴(Wキャスト) / 中山昇 / 芝崎健太 / 戸室政勝 / ヨウスケ・クロフォード / 徳垣友子 / 家塚敦子 / 保科由里子 / 宇野まり絵 / 明星真由美 / 岸祐二 / つのだ☆ひろ / 戸井勝海 / 池田有希子 / 木場勝己
□発売中