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@ぴあインタビュー

大規模修繕劇団 旗揚げ公演「血の婚礼」 窪塚洋介

大規模修繕劇団 旗揚げ公演「血の婚礼」 窪塚洋介
昨年、初舞台となった『血は立ったまま眠っている』のテロリスト役でも好評を博した窪塚洋介。その研ぎ澄まされた知性と繊細さは、清水邦夫(作)&蜷川幸雄(演出)の名作『血の婚礼』で、ふたたびスポットを浴びることになるだろう。やり場のない情熱や人生の不安を抱えた人々が、雨の降りしきる路地で繰り広げる愛憎のドラマ。詩情とユーモア、ダイナミックな仕掛けが交錯する舞台に「身を委ねる」と語るその真意とは――。

――昨年『血は立ったまま眠っている』で初舞台、それも初の蜷川演出を経験されましたが、その手ごたえはいかがでしたか。



「えもいわれぬ最高の経験でしたね。やっぱりバーンと板の上に出て、頭の先から足の先までお客さんに見られながら役を生きるっていうのはハードルが高いし、そのぶん感動も大きかったです。蜷川さんはもう、僕にとってはジェダイ・マスターのような存在。問答無用にいろんなことを分からされるんですよ。稽古場や本番ではもちろん、観客として観にいった作品を通じても伝わってくるものがある。だからこそ、普段は自分で考えてるせりふや作品の意味といったことも、全部、蜷川さんに委ねられるって思えるんですよね。それって僕の場合、あんまりないことなんですけど。」



──『血の婚礼』は生々しい愛憎劇ですが、その一方で、謎の相手との無線交信を続ける少年、どこからともなく現れる鼓笛隊など、幻想的な要素も持った作品です。



「そういう現実的じゃない世界が、ビデオ屋だったりコインランドリーだったり、昔の親戚関係だったりっていう現実の中に落とし込まれている。そのギャップが滑稽で面白かったですね。出てくる人たちもものすごく真剣に生きているんだけど、どっかネジがはずれててコミカル。笑わそうとはしてないんだけど、そこがかえって可笑しい、みたいな。ただやっぱり根底に流れるメッセージはあって。途中でとある女の人のスピーチの場面があるんだけど、その端々に作家の清水さんの想いが感じられる。僕もまだそれをうまいこと言葉にできないんだけど……そこはジェダイ・マスターの力を借りつつ、自分のやるべきことをまっとうし、楽しめればいいんじゃないかな。」



──窪塚さん演じる「北の兄」は、元・花嫁泥棒。この男の第一印象はどうでしたか。



「僕だったら花嫁を奪っといて、何年後かに相手の男に再会して、いきなりパスタの話はしない(笑)。だから彼もやっぱり、ネジが外れてて。でも、花嫁泥棒するくらいには肚が据わってもいる。そのアンバランスさが楽しいし、すごく体験したい人生だなと思いました。この役に限ったことじゃないけど、こういう仕事をしてると、いろんな人生を体験できますよね。で、本気で取り組めば取り組むほど、その一つひとつは豊かになり、後で「あ、あいつなにやってんのかな、今」みたいに思い出したりもできる。それはすごく得してるなって思ってて。でも、逆に言えばそれだけ入り込める役じゃなかったら、子供や友達と遊んでた方がいいとも思うんですよ。だから僕はいつも、本当に燃えられる役を選んでやっているつもりです。」



──降り続ける雨の中での演技、また東京公演は体育館の中の特設劇場での上演ですし、出演者の皆さんもお客様も、いつもとはひと味違う劇場体験ができそうです。



「楽しみですよね。雨はね、ウィル・スミスみたいに「ミネラルウォーターにして」って言おうかな、なんて(笑)。でもやっぱり日本の修繕中に「大規模修繕劇団」って名乗ってやるくらいですから。僕らの芝居を楽しんでもらって、生きる気力を感じてもらいたいですよ。江戸時代から言うじゃないですか、「元気があればなんでもできる」って(笑)。」




取材・文:鈴木理映子 撮影:源 賀津己


▼大規模修繕劇団 旗揚げ公演「血の婚礼」
6月24日(金) ~ 7月30日(土) にしすがも創造舎体育館 特設劇場(東京都)
8月6日(土) ・ 7日(日) 新潟市民芸術文化会館 劇場(新潟県)
8月18日(木) ~ 21日(日) 森ノ宮ピロティホール(大阪府)
8月27日(土) ・ 28日(日) 北九州芸術劇場 大ホール(福岡県)
[出演]窪塚洋介 / 中嶋朋子 / 丸山智己 / 田島優成 / 近藤公園 / 青山達三 / 高橋和也 / 伊藤蘭 / 他
□一般発売:東京=発売中
      福岡=5月15日(日) 10:00
      大阪=5月22日(日) 10:00
      新潟=5月28日(土) 10:00