――題材に"移動"を選んだ理由は?
「ヨーロッパ企画のメンバーは全員京都に住んでいるので、ほかの劇団さんに比べて、移動の多い集団だと思うんです。それで感じたのが、移動している時って何か独特の空間性があるということ。例えば自転車に乗っている時だけ歌ってしまうのも、止まっている人たちから切り離された、独特の体感があるからだと思うんです。で、その独特な体感から、コメディを作ったら面白いんじゃないかと」
――ただ"動き"はやはり映像向きで、舞台で見せるのは非常に難しいような……。
「そこなんですよね。やっぱり舞台でやるべきことは、ある場所の時間が満ちていく話。でもやり方によっては、舞台でも"動き"が見せられる気がして。それに"動き"には場所を移動する面白さと同時に、人間の体が運動している状態の面白さもある。その両方をうまく見せるには何が一番有効か、今、舞台美術家の長田佳代子さんと相談していているところです」
――4年ぶりにゲスト(中山祐一朗、山本真由美)も参加されますが、話し合いやエチュードを重ねて作り上げるヨーロッパ企画の作り方を考えると、劇団員だけの方がやりやすいのでは?
「確かに僕らの作り方は特殊で、以前はスタッフさんも入れてなかったですからね。でもスタッフさんに入ってもらうことで明らかに拡張した部分はありますし、外部から役者さんに入ってもらうことでも、拡張する部分は絶対にあるはず。また僕らとは違うベクトルの、突出した面白さを持ったお2人が入ることで、よりバカバカしくなるんじゃないかと思いますね(笑)」
――外部公演を手がける機会も増えましたが、そういった経験を踏まえての本公演とは?
「『これ面白いか分かんないけどやってみよう!』ってことが許される場所が、ヨーロッパ企画だと思うんです。だから本公演でやるのは、今一番僕らが試したいこと。今回はそれが集団による移動であり、お客さんにはこれまでにない体感をしてもらえる舞台になるんじゃないかと思います」
▼ヨーロッパ企画「ロベルトの操縦」
8月26日(金) ~ 28日(日) 京都府立文化芸術会館(京都府)
9月8日(木) ~ 18日(日) 本多劇場(東京都)
9月22日(木) ~ 24日(土) サンケイホールブリーゼ(大阪府)
9月29日(木) ・ 30日(金) ももちパレス 大ホール(福岡県)
10月2日(日) アステールプラザ 大ホール(広島県)
[劇作・脚本・演出]上田誠
[出演]石田剛太 / 酒井善史 / 角田貴志 / 諏訪雅 / 土佐和成 / 中川晴樹 / 永野宗典 / 西村直子 / 本多力 / 山脇唯 / 山本真由美 / 中山祐一朗
□一般発売
京都・東京=発売中
大阪・福岡・広島=7月30日(土) 10:00