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@ぴあインタビュー

「みんな我が子」 長塚京三×麻実れい×朝海ひかる

「みんな我が子」 長塚京三×麻実れい×朝海ひかる
アーサー・ミラー不朽の名作として、初演から60年以上経った今も上演が重ねられている『みんな我が子』。第二次世界大戦後のアメリカを舞台に、ある家族の裏庭での1日が描かれる。今回演出を手がけるのは、巨匠ハロルド・プリンスの一番弟子であるダニエル・カトナー。この話題作の上演を前に、父親ジョー役の長塚京三、母親ケイト役の麻実れい、息子クリスが思いを寄せるアン役の朝海ひかるの3人に話を訊いた。

――アーサー・ミラーの傑作ですが、改めて脚本を読まれての感想は?



長塚「演劇青年だった僕ら世代の人間にとっては、とても思い入れの深い作品なんです。演技法までが含まれているような、お手本のような戯曲。これは演出のダニエル・カトナーさんも言っていましたが、『アーサー・ミラーに学べ』というのが今回の僕のテーマですね」



麻実「非常にシンプルに、淡々と進んでいくのですが、非常に深く、大変豊かな作品。それだけにこれを演じるのは大変だろうなと(苦笑)。でも演劇人生の今というときに、こういうやりがいのある課題を与えていただけたのは、すごくありがたいと思います」



朝海「私も最初、これは手強い作品だなと思いました。サッと読んでしまうと、見過ごしてしまうことがたくさんある。でも皆さんと稽古を進めていくことで、たくさん発見があり…。だから最初の印象からは、どんどん明るい未来に変わっていきましたね(笑)」



――それぞれの役柄をどう捉え、演じるに当たって意識していることは?



長塚「僕が演じるジョーは、60代で、人生のある決着をつける男。この役は僕にとっての到達点と言いますか、いつかこれをサラッとできるような俳優になりたいと思ってきたんです。そして今、僕もジョーと同じ60代。果たして僕はそう演じられているのか、今、自分に突きつけられている気がしますね」



麻実「ケイトは従順な妻であり、2人の息子の母親なんですが、ある理由から常に心が震えているような、何層もの思いを抱えます。ケイトの明るさの中に隠された心の痛み、重さを感じながら母として女として強さを表現できればと思っています。」



朝海「ジョーとケイトの夫婦が旧世代だとすると、私が演じるアンは新世代の代表。同じことでもこの両者では、捉え方も見る角度も違うというか。だからアンを演じる上では、若い人たち特有の考え方等を大事にしていきたいなと思います」



――お三方との共演について楽しみなことは?



長塚「特に麻実さんとは同年代でもあり、どうしても一度はご一緒しなくてはいけないという方ですよね。また仕事に対する向き合い方が、僕に通じる部分がある気がして…。とてもいいコラボレーションができると思います」



麻実「私も長塚さんとご一緒するのは長年の夢でしたので、非常に嬉しいです。しかも同じ舞台に、同じ宝塚出身のひかるさんもいらっしゃる。とても幸せです」



朝海「ありがとうございます! 麻実さんはずっと憧れの方でしたから、本当に感激です。私にとってはお2人の演技を見るだけでも刺激的ですし、たくさんのことを学ばせていただきたいなと思います」



――最後に、本作を通してお客さまに感じて欲しいこととは?



麻実「今薄れている、人間対人間の絆を感じていただきたいですね。生きるという事への思いを抱いてお帰りいただけたらと思います」



朝海「悲劇的ではありますが、ある意味とても前向きな終わり方。その姿から、人間が生きるとは?ということを改めて考えていただけると思います」



長塚「そういったことを含め、これはもう傑作中の傑作ですから。ぜひご覧ください!」




取材・文:野上瑠美子 撮影:山本直洋


▼「みんな我が子」
12月2日(金) ~ 18日(日) 新国立劇場 小劇場(東京都)
12月20日(火) ・ 21日(水) サンケイホールブリーゼ(大阪府)