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チケットぴあインタビュー

三谷幸喜の初ものづくし3作品 三谷幸喜

三谷幸喜の初ものづくし3作品 三谷幸喜
初めてのチェーホフ作品の演出、初めての『なにわバタフライ』のロングラン、初めての文楽への新作書き下ろしと演出と、今年の三谷幸喜は、「初ものづくし」で、3か月も連投する。昨年は4本もの新作を書き下ろしたが、その勢いは全く止まらない! 「新しいことをやってみたい」という三谷の意欲が、三つの「初」に結びついた。翻訳劇、一人芝居、古典芸能と全く趣向の違う3作品に、今から注目と期待が集まっている。

――初めてのことばかりですが、挑戦しようと思ったのはなぜですか?



去年もそうだったんですが、同じところに留まっていてはいけないと思って。僕は喜劇作家ですから、最終的には純然たるコメディに戻るつもりでいるんですけど、今はいろいろなことに挑戦してみたいんですね。「予想したのとは違うけど面白かった」と言ってもらえるようにしたいです。



――――三谷さんはこれまで自作ばかりで、他人の作品を演出するのは今回が初めてですね。しかも、日本でも人気の高いチェーホフの『桜の園』です。



以前から興味はあったんですよ。でも、見に行くと何故か寝てしまうことも多くて(笑)。台本はとても面白いから、ぜひやってみたいと思いました。『桜の園』は喜劇なんです。チェーホフ本人もそう書いているし。だから喜劇としてきちんと演出したい。なんで出てくるのかよく分からない人物も結構いるんですが、ひとひとりが個性的で、笑える要素はたくさんありますし、その人が存在する理由を、ちゃんと見つけて、丁寧に描きたいですね。とにかく他人の台本を演出したことがないので、その点ではかなり新鮮で、ドキドキします。



――浅丘ルリ子さんの相手役が市川しんペーさんです。意外です。



ロパーヒンは、自分の土地を取られて一番嫌なタイプは?と考えて決めました。しんぺーさんは、パルコの『リタルダント』を見て、あ、ロパーヒンだ!と思いました。



――3回目の上演でついに100回公演を越えるロングラン作品となりますね。



一人芝居の堅苦しさをなくしたいというのが、最初からのテーマで、かなりできたと思っているのですが、もっともっと、軽くさらっとやって、すごい!というものにしたいです。その場で思いついてしゃべっている、そんなハイレベルまでいきたいですね。



――戸田恵子さんが素晴らしかったです。今年は改訂は?



前回(再演)がベースですが、稽古で変わってくると思います。やっぱり、これまで戸田恵子さんが経験なさったことがあるだろうし、それを活かさない手はないと思うので。最近、ますます、舞台の上で自由自在になっているなあと感じるので、楽しみです。



――50年演じ続けられる作品にしたいそうですが。



戸田さんの動きが遅くなって上演時間が3時間を越えたらやめようと言ってるんですが(笑)。いつでも、どこでも、戸田さんさえいれば上演できる、そういうものを目指しています。



――三谷さんは歌舞伎をお書きになっていますが、文楽は初めてですね。元々、興味は持っていたんですが?



僕は人形劇が好きで。NHKの『三銃士』を書かせてもらった流れで、文楽を見るようになったのですが、すごく面白いと思いました。この面白さをもっと伝えなくてはいけないと。最初に見た文楽で、心中場面で衝撃を受けました。今まであんなに生き生きとしていた人形が、人形使いさんに置き去りにされて本当に物になってしまう。人形でなければできないことですよね。文楽の可能性の広さは凄いと思います。



――新作『其礼成心中』は、やはり喜劇になるのでしょうか?



笑える文楽にしようと思っています。それが文楽の方たちの希望でもあるので。心中が流行ったせいで商売が傾いてしまった饅頭屋の夫婦の話です。心中しようとしている恋人たちを、親父が止めに入るって、面白そうだなと思いついてしまって(笑)。



――古典芸能に参加するときのポイントはあるのですか。



歌舞伎もそうですが、僕は文楽について詳しいわけではありません。僕のような外部の人間がやる時には、ファンとしての視点を大事にしようと思っています。専門家の方はたくさんいらっしゃるわけで、専門的になるほど、客観性がなくなるというか、お客さんが何を楽しみに来るかということが、だんだん遠ざけられてしまうこともあるので、僕は常にファンとして、文楽で何が見たいかに立ち返りたいですね。それは、歌舞伎、ミュージカル、大河ドラマ、何をやる時にも同じで、そのスタンスは崩さないようにしようと思います。




取材・文:沢美也子 撮影:源賀津己


▼2012年 初ものづくし3作品
三谷版「桜の園」
6月9日(土) ~ 7月8日(日) PARCO劇場 (東京都)
7月25日(水) ~ 29日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 ホール (神奈川県)
7月12日(木)~22日(日) 森ノ宮ピロティホール (大阪府)
[作]アントン・チェーホフ [演出]三谷幸喜 [出演]浅丘ルリ子 / 市川しんぺー / 神野三鈴 / 大和田美帆 / 藤井隆 / 青木さやか / 瀬戸カトリーヌ / 高木渉 / 迫田孝也 / 阿南健治 / 藤木孝 / 江幡高志
■一般発売:
東京・神奈川=4月22日(日) 10:00

「なにわバタフライN.V」
7月5日(木) ~ 8日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ (大阪府)
7月11日(水) ~ 22日(日) PARCO劇場 (東京都)
7月25日(水) 電力ホール (宮城県)
7月28日(土)・29日(日) 道新ホール (北海道)
8月7日(火) 金沢市文化ホール (石川県)
8月9日(木) サンポートホール高松 大ホール (香川県)
[劇作・脚本・演出]三谷幸喜 [出演]戸田恵子
■一般発売:
北海道・石川=4月21日(土) 10:00
東京・大阪=4月22日(日) 10:00
香川=5月12日(土) 10:00
宮城=本サイト取扱なし

三谷文楽「其礼成心中」
8月11日(土) ~ 22日(水) PARCO劇場 (東京都)
[劇作・脚本・演出]三谷幸喜 [出演]竹本千歳大夫 / 豊竹呂勢大夫 / 鶴澤清介 / 吉田一輔 / 他
■一般発売:
4月22日(日) 10:00