チケットぴあインタビュー
【前編】西荻の会「ロング・ロスト・フレンド」 伊東四朗×佐藤Ｂ作
インタビュー後編
【前編】
「また一緒に何かやろうよ」。ジャンルや職種を問わず、あらゆる酒席で交わされるであろう常套句だ。けれどこの人たちは、幾度も盃を重ねながら、それを口にした覚えがどうもないという。伊東四朗、角野卓造、佐藤B作、松金よね子、あめくみちこ。うまい酒を飲み、うまいものを食す、至ってのんきな大人の会合。いつしか「西荻の会」と呼ばれるようになったその集まりが、ここへきてついに、腰を上げることに相成ったわけである。
――そもそも、今回の企画の言い出しっぺはどなたでしたか。
伊東「……誰が言い出したんだっけ。」
佐藤「いや、まったく覚えてないです。」
――「このメンバーで芝居をやろう！」といった話になることは？
伊東「なかったですねえ。考えてもみなかった。」
佐藤「だって、大変ですもんね。」
伊東「一度言い出してしまったら、「じゃあお前責任持てよ」なんてことになるしね（笑）。」
佐藤「基本的に、酒飲んでダラダラしゃべってるだけなんですよ。角野卓造が仕切り役で、店を決めたり、みんなに連絡をしたり。」
伊東「いろんな店に連れていってくれるんだよね。でも結局、10秒しかいなかった店があったな（笑）。カウンターに座ったとたんにビールが出て、飲み終えたら角野が「さ、次行きましょう！」って。あれはいったい何だったんだろう。」
佐藤「しかもその店を出るときに雨が降りだして、お店の人に傘を借りましたもんね（笑）。」
――不思議な会合ですね。
佐藤「でも居心地がいいんですよ。みんなちゃんと大人で、優しさがあって、でも譲れない何かを持っている。」
伊東「私は長年生きてきて、飲み仲間ができたのはこれが初めてなんです。いつも家で飲んでいるから。家族に「お父さん、ずいぶんニコニコして出かけていくねえ」って言われますよ（笑）。」
――そんな顔ぶれの中に、作・演出としてG2さんを迎えられるわけですね。
佐藤「台本を読ませていただきましたけど、今までご一緒してきた作家陣とはまったく違った印象を受けました。」
伊東「そうね。他の作家さんだと「たぶんこういう感じだろうな」というのがだいたい読めるんだけど、今回はそれがまったく読めない。同じカードゲームでも、トランプと百人一首くらい違うと思う。」
佐藤「聞けばG2さんは、小劇場からミュージカルまで、ものすごく幅広い作品を手がけている。僕らはいったいどんなふうに料理されるんだろう。何だか妙にときめいてきますよね（笑）。」
（後編に続く）
【公演紹介コラム】
不思議な縁で結ばれた、いぶし銀の喜劇人たち。そこへ人気劇作家のG2が参入して、描かれるのは「介護コメディ」。元極道の親分（伊東）が経営する老人ホームに、彼の長年の秘密を知る男（佐藤）が入居してきたからさあ大変。飛び交う憶測、入り乱れる勘違い。やがて事態は思わぬ展開に……！
取材・文：小川志津子 撮影：星野洋介
▼西荻の会「ロング・ロスト・フレンド」
2月17日(木) ～ 3月6日(日)
［出演］伊東四朗 / 角野卓造 / 佐藤Ｂ作 / 松金よね子 / 市川勇 / あめくみちこ / 窪塚俊介 / 岩佐真悠子
□発売中
