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@ぴあインタビュー

「猟銃」 中谷美紀

「猟銃」 中谷美紀
おそらく、おびただしい数の舞台出演のオファーがあったであろう中谷美紀。初舞台に選んだのは、井上靖の代表作のひとつ『猟銃』だった。ひとつの不倫から見えてくる人間の業、複雑な愛憎を、愛人、愛人の娘、妻という3人の女性が書いた手紙で描き切った傑作小説を、ほとんどひとりで演じるという。

――初舞台でありながら、大変な作品を選ばれましたね。その理由は?



「過去にお話をいただいた時は、人前に出るのは緊張するし恥ずかしいし、企画書をいただいた段階で、生意気にも「まだ無理です」と会社を通じてお断りしていました。でも『猟銃』を演出されるのは、すでに知己のフランソワ・ジラール監督で、情熱を直接伝えていただいたことが大きかったと思います。監督は本当に情熱豊かな方なんですよ。以前、『シルク』(08年)という映画でお仕事をしましたが、俳優のやる気を引き出すのがとても上手で、なんとなく「できるんじゃないか、やってみよう」という気持ちになります。」



――では最初から前向きに受け止められて?



「いいえ。実はこのお話をいただいたのは5年くらい前でした。その時は「原作を読んで好きな役を選んで」と言われて原作を読んでみたら、3人とも魅力的で、つい、「全員を演じたい」と言ってしまいました。その後「なんて大変な役を引き受けてしまたのだろう」と後悔し、何通もメールをいただいたのに放ったらかしにしていて……。昨年監督が来日されて久しぶりにお会いした時、監督の熱意に導かれるように「イエス」とお答えしました。」



――3人の女性のどこに、それぞれ魅力を感じたのでしょう?



「まず最初に出てくる薔子(しょうこ。愛人の娘)は、幼さ、あどけなさを残しているんですけれども、大人達の秘密を知ってしまい、その秘密にちょっと魅力も感じている。女性としては、開き始めたつぼみ、でしょうか。みどり(妻)は、一見華やかで自己顕示欲もあるように思うんですけども、一方で実は最も日本人らしいというか、本当の思いを口に出さずに生きてきた奥行きを感じます。彩子(愛人)もまた、秘密の想いを隠して生きていたんですが、(みどりと反対に)慎ましい。でもある意味、一番うわてですよね。」



――日本公演の前に、まずカナダで上演ですね。この作品のために何かレッスンはされますか?



「監督からの提案で、アレクサンダー・テクニークという、身体のムダな力を取って行くメソッドを体験します。もともと俳優だった方が開発した、本来は姿勢を正すためのメソッドなのですが、あえて正しくない身体の使い方をすることによって生まれる声の変化を探して、3人を演じ分けるのに使いたいとのことです。」



――それ長い手紙を3人分、せりふとして覚える、それだけでも単純に大変ですが、3人の女性の演じ分けも大きな課題ですね。



「初舞台にしては大変な作品を選んでしまったと思いますが、恥をかきに行くつもりで体当たりします。」




取材・文:徳永京子 撮影:舞山秀一
ヘアメーク:高城裕子
スタイリスト:島田美奈子
ネックレス Bettina Specker(gallery deux poissons)


▼「猟銃」
10月3日(月) ~ 23日(日) PARCO劇場(東京都)
10月29日・30日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫県)
11月27日(日) 京都芸術劇場 春秋座(京都府)
[出演]中谷美紀 / ロドリーグ・プロトー
□一般発売:7月30日(土) 10:00