――ドラマのファンだったとのことですが、当時獅童さんはまだ9歳ですよね?
「もともとは両親がいつも楽しみに見ていたと思うんです。でも気がついたら、自分も毎週一緒に見るようになっていて。たぶん始めは、ビジュアル的なことだったと思うんですよ。自分と同じように、男の人が白塗りをしてる。それでテレビに出てるって感じが珍しくて」
――その作品に今度はご自身が、舞台で挑戦されます。
「不思議ですよね。運命のような気もしますし、とてもやりがいもある。僕のやる沼田って役は、非常にアナログな男だと思うんです。人間的で、情にもろくて、悪そうなんだけど実はいい奴っていう。歌舞伎にも登場するような役で、それはつまりアナログ的だってことですから。今回はその"アナログ的"というか、"人情"みたいな部分を大事にしていきたいと思います」
――"名作ドラマ"という意味でのプレッシャーはありませんか?
「(即答で)ないですね。歌舞伎がそれの繰り返しですから。もちろんご先祖さまが代々大切に演じてこられたという、感謝の念はあります。でも常にそこを突き破っていかないと、怖くて舞台にも立てません。だから今回もドラマの匂いのような部分は残しつつ、まったく新しいものとして、守りよりも攻めの姿勢でいきたいなと思っているんです」
――舞台化に当たり脚本を『赤い城 黒い砂』を書かれた蓬莱竜太さんが、演出を『浪人街』では脚本だったマキノノゾミさんが手がけられます。
「単にドラマの焼き直しではつまらないですからね。そこに蓬莱くんというスパイスが加わることで、現代にこれがどう生まれ変わるのか。それは一演劇ファンとしても楽しみで。また演出のマキノさんには、どんどん厳しくして欲しいなと思いますね。岩松了さんの時(=『羊と兵隊』)もそうだったんですけど、自分がひた隠しにしてる一面を引き出された時の気持ちよさっていうか。それはもちろん恥ずかしいことでもあるんですけど(笑)、やっぱり役者っていうのは、常に新しい自分に巡り会いたいですから。今回も今までにない中村獅童が誕生するでしょうし、それを僕自身、大いに期待しているんです」
取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己
ヘアメイク MASATO(PRIMAL)
スタイリスト 長瀬哲朗
コート/nude
その他/スタイリスト私物
▼「淋しいのはお前だけじゃない」
6月17日(金) ~ 26日(日) 赤坂ACTシアター
7月1日(金) ~ 3日(日) 御園座(愛知県)
7月6日(水) ・ 7日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫県)
[出演]中村獅童 / 長谷川京子 / 平岡祐太 / 草刈民代 / 他
□発売中