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@ぴあインタビュー

「泣き虫なまいき石川啄木」 段田安則

「泣き虫なまいき石川啄木」 段田安則
昨年惜しまれつつ他界した作家・井上ひさし。彼が石川啄木を主人公にした、『泣き虫なまいき石川啄木』が上演される。早世した孤高の歌人。本作ではそんなイメージを覆す、人間味あふれる石川啄木像が紡ぎ出される。演出を手がけるのは、名優・段田安則。『夜の来訪者』以来二度目の演出舞台で、現代最高の戯作者が遺した傑作評伝劇に、いかに挑むのか?

――井上作品にも多数ご出演されていますが、中でも評伝劇の魅力とは?



「それは井上さんならではの視点のおもしろさだと思います。井上さんの戯曲では、その人物についての資料を読むだけではわからなかった横顔が、魅力的に伝わってきます。今回の石川啄木で言えば、家族というわずらわしさと格闘しつつ、必死にいい作品を生み出そうとあがいている。そういう姿は僕にも共感できるところがありますし、どんどん身近な魅力ある人物に思えてきました」



――本作で演出を手がけられるのは二度目となります。



「幸いなことに、これまで錚々たる顔ぶれの演出家さんと仕事をする機会に恵まれてきました。その経験をお手本に、皆さんの「いいとこどり」ができないかなあ、と考えています(笑)」



――啄木(本名=一)演じる稲垣さんとは、かつて舞台でも共演されていますね。



「5年前に『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』でご一緒しました。2人だけのシーンもかなりあって、その時にも感じたのですが、結局俳優というのは、いくら役を演じていても、その人の人間性が滲み出てしまうものです。吾郎くんは、その人間味に嘘がなく、そこがとても心地よい。おそらく、一の飄々としたところとか、次第に苦悩を深めていく繊細な心の動きは、吾郎くんの色にとても合うのではないかと思っています」



――段田さんは一の父・一禎役で出演もされます。



「先日、盛岡の石川啄木記念館に行ってきたんです。そこには実際にお父さんが愛用していた煙管や扇子などが飾られているんですが、それを見た瞬間、パッとイメージが広がりました。文字の中だけの人物であったのが、そこに実際に生活していたんだというリアリティが迫ってきて。その感覚を大切にしつつ、作品の中で役を生きることができればなと思います」



――この物語を通して、お客さんにどんなことを感じてもらえたらと思いますか?



「人というのは、どんな境遇にあって、どんな才能を持っていても、普段の生活の中から生きる術を見つけていくしかないと思うんです。そして生きるって結構大変だけれども、その中でも希望は見つけていけるんだと。きっとそういったことを、一たちの姿を通して、感じていただけるんじゃないかと思います」



取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己


▼「泣き虫なまいき石川啄木」
10月7日(金) ~ 30日(日) 紀伊國屋サザンシアター (東京都)
[出演・演出]段田安則
[出演]稲垣吾郎 / 貫地谷しほり / 渡辺えり / 西尾まり / 鈴木浩介
□一般発売:
8月28日(日) 10:00
※インターネットでの受付なし