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チケットぴあインタビュー

月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』千葉雅子(作家)×高田聖子

月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』千葉雅子(作家)×高田聖子
女優・高田聖子には、おなじみ新感線とはひと味もふた味も違う、もうひとつのホームグラウンド、月影番外地がある。1995年「、月影十番勝負」という名でスタートさせ、計10作品。2008年からは現在のユニット名「月影番外地」で、今回が2回目の公演。 今回の作家は、猫のホテルの千葉雅子。「月影」シリーズには、過去2作品を書き下ろし提供している常連である。作家、演出家、出演者4人、その全員が女性。徹底的な話し合いを通じて、この作品を立ち上げてきた月影ファミリーの絆を、劇場で感じ取ってもらいたい。座長・高田聖子と作家・千葉雅子にインタビューした。

――千葉さん、戯曲提供だけでなく、役者として出演したくなりませんか?



千葉「それは確かにありますけどね。2006年、月影チームに初参加したとき、脚本を書いて、舞台にも出た。ものすごく納得のいく経験で、いい思い出になっています。ただ、今回は、最初から作品の方向性がしっかりしている。自分が出演もして、その上で、なおかついいものを書くとなると、ハードルがちょっと高いかな。今回はひたすら書く、という立場がいい。アラフォーの女性たちの世界を、しっかり書く」



――千葉さん自身、この作品の登場人物たちと同じ世代です。書きにくい? 書きやすい?



千葉「書きにくいです。わたしは照れ屋。自分が抱えるくよくよを作品に変える作業なので、書きにくかったりします。その一方で、同世代の女性たちの言葉を戯曲に落とし込んでいく作業でもあるんですが、その言葉には、ぐっとくるものがあります」



高田「今回は、自分の中で、飾って、武装していた部分を取り除く作業。千葉さんにも、武装している部分があるはずで、ともに、赤裸々に脱いでいくってことでしょうね」



千葉「隠してきた部分を堀り進めなくてはね」



高田「その結果、宝物にたどり着ければいいですよね。あえて苦行の道を選んでいる。演出の木野花さんからも、苦行しなさいよ、って言われます。苦行の後の、一杯のおかゆのおいしさを欲しているんだと思う」



千葉「わたしも同じで、苦行なくしては進めない人間。というか、今回は、全員が苦行派(笑)。苦行しなくちゃ、許してくれないですよね」



――苦行派のみなさん、打合せはどういうところで?



高田「最初は飲み屋さん。あるときは喫茶店、ファミレスにも行ったり、メンバーの自宅で話し合ったり。でも、料理で楽しくなったりして、ちょっと話しては和んで、おっといけない、と軌道修正したりしてね。そこは、みんな苦行派なので(笑)」



――きちんと軌道修正するところが苦行派ですね。



千葉「たくさん本を読みましたよ。あとは、雑誌「婦人公論」の特集とか。TVで女性の生き方を扱ったドキュメンタリーを観たり、あとはコミックとか、映画も。知り合いの人の話をみんなで披露したり。かなり早い時点から、「結婚するの? それともこのままひとり?」っていう、生々しい40代の女性の人生がテーマになっていた気がします」



高田「わたしたちって、しゃべる方なのかな?」



千葉「そうじゃないでしょ。むしろ、聞き役タイプの方が多いと思う。ワーワーしゃべりあう、という雰囲気ではなかった」



――みなさんがどんな風に議論して、話し合ったか、という雰囲気が、この芝居のトーンに反映されてるんじゃないかな、と思っているんです。



千葉「チームのムード……。確かにそうですね、芝居のトーンと切っても切れないものがあるかもしれない」



高田「今回の芝居は、物事をよく考える人たちの芝居だと思う」



千葉「おしゃべりを楽しむよりも、一歩下がって、きちんと考えてから意見を言うムードでしたから。芝居とミーティングのムードが寄り添っている、と言えるかもしれないです」




取材・文:戸塚成(ぴあ)


▼月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』
8月4日(水)~13日(金) ザ・スズナリ(東京)
[劇作・脚本]千葉雅子 [演出]木野花
[出演]高田聖子/坂井真紀/宍戸美和公/渡辺真起子