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チケットぴあインタビュー

月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』高田聖子×坂井真紀×宍戸美和公×渡辺真起子

月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』高田聖子×坂井真紀×宍戸美和公×渡辺真起子
女優・高田聖子が、新感線での活動と並行して行っているユニット、月影番外地。1995年から「月影十番勝負」名義で10作品、2008年からは現在のユニット名「月影番外地」で、今回が2回目の公演。個人のユニットで、これだけ長く続くシリーズは、ほぼ前例がない。地に足をつけて、さりげなく、でも、こだわるところにはこだわって。月影の芝居作りも、いい年のとり方をしている。 猫のホテル・千葉雅子の書き下ろし、演出家は木野花、出演者4人も全員が女性である。40代の女性の人生を、さらり、じわりとすくい取る作品。本番を間近に控えた稽古場で、役者4人にインタビューした。

――それぞれの役名とキャラクターを紹介してください。



高田聖子「根津あゆこです。空港の中にある惣菜屋の雇われ店長をやってます。ひとり暮らしがしっくり来はじめていて、その一方で、『それもどうかな?…まあ、いいか』と思い直している昨今。43歳です」



坂井真紀「赤木京。有機野菜を作っていて、根津さんのところへ野菜を届けています。家が農家。性格的には、男まさり。口の利き方が悪い。風変わり。以前マンガ家を目指していて、その夢に破れて、実家で有機農業を営んでいる女性です。諦めきれない夢を抱えて悶々と日々を送る40歳です」



宍戸美和公「与那嶺富子、45歳です。根津さんのお店の常連。ほぼ毎日来店していて、謎な人。そこそこお金を持っている。ずっと不思議な人のままですが、ラストにちょっと、どんな人なのかが見えてきます。うんちく、というか、役に立たない知識をつい持ってしまうタイプ」



渡辺真起子「渡瀬ルリ子、42歳、元CAで、現在はマナー講師。おせっかいで寂しがりや、現在不倫中。マナー講師であるところを除けば、何となく自分と近いです。マナーがないので苦労してます。以上(笑)」



――稽古場の雰囲気はどうですか?



高田「大人っぽい、かな」



宍戸「いい匂いがする。坂井さんから(笑)」



坂井「学校みたいですね。木野さんが先生で」



渡辺「本当、学校みたいだよね。女子校ってこういうところなのかな、って想像した」



――木野さんの演出は、どういう感じ?



坂井「核心をポーンと衝かれる」



高田「その場での答えを出すというより、そこにたどり着くまで待ってくれる。一緒に考えてくれたりする。悩んでも、つまづいても、よくないこととは言わない。そこが大事」



渡辺「目線を合わせてくれる。他人に目線を合わせるのって、むずかしいと思うんです。ましてや、わたしのように、若くて経験のない人間の目線に合わせるのは。そういう接し方がうれしいんです」



宍戸「木野さんが与那嶺のお手本演技をやってくれることが多くて、そのまんま与那嶺みたいって、いつも思っちゃうんですよね」



――どういうところを観てもらいたいですか?



渡辺「ふと、自分の中に照らし合わせてみて、その人の時間に立ち返ってもらえたらうれしい。自分のことや、友達のことを、考えるきっかけになれば」



宍戸「わたし、友達、少ないんですけど、わたしが演じる与那嶺もそう。彼女は、45歳にして、ちょっとづつ友達が増えていく。観ている人たちに、友達を増やしてほしいな、と」



坂井「ひと言で言うと、共感していただけたらいい。わたしの役は、マンガ家で、有機農業で、生きているかぎりもがいている。そこは、観客のみなさんと一緒。聖子さんが演じる根津さんには、40代の女性の沁みるところ、ずっしり感じます」



高田「わたし、よく芝居を観に行くんですけど、芝居とは別のことを考えることがある。この芝居もそう。演じられていることを見ながら、別のことを考えてほしい。年をとってくると『こんなもんだ』とか『こういう感じかな』みたいに、ラインを引きたくなる。でも、そういう(ラインを引く)ことは、大した意味はないな、と思ってもらえたら」




取材・文:戸塚成(ぴあ)


▼月影番外地『ジェットの窓から手を振るわ』
8月4日(水)~13日(金) ザ・スズナリ(東京)
[劇作・脚本]千葉雅子 [演出]木野花
[出演]高田聖子/坂井真紀/宍戸美和公/渡辺真起子